毛馬閘門ってなに!?淀川河川公園付近の変な景色を歩く大阪探訪

毛馬閘門ってなに!?淀川河川公園付近の変な景色を歩く大阪探訪

更新日:2021/01/04 12:01

潮 佳澄のプロフィール写真 潮 佳澄 司書
梅田・新大阪といった大阪の中心部を流れ、大阪市内に支流が走る淀川。淀川は大阪で暮らす人にとっては日常の風景ですが、不思議な景色のスポットがあります。観光名所とはひと味違う大阪を歩くと、意外な過去がわかるかも…?

大阪の人も知らないかもしれない、淀川のちょっと変な景色を紹介します。

淀川の水を循環させる巨大施設「淀川大堰(柴島側)」

淀川の水を循環させる巨大施設「淀川大堰(柴島側)」

写真:潮 佳澄

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阪急千里線の車窓から見える巨大な七基の堰柱。見たことはあってもアレはなんのためにあるの?と思う人も多い淀川の謎とも言える施設「淀川大堰(おおぜき)」。

淀川大堰の役目は水の制御と循環です。水量を調整しつつ阪神地区1000万人以上へ水を供給する上水道となっています。大阪の人にとっては見慣れた淀川ですが、大正初期までは今の姿をしていませんでした。淀川大堰の誕生には、琵琶湖から大阪湾へと流れ出る水流をコントロールしようとした歴史が隠されています。

淀川の水を循環させる巨大施設「淀川大堰(柴島側)」

写真:潮 佳澄

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大阪北部を貫いて大阪湾に注ぐまっすぐな流れが現在の「淀川」として親しまれていますが、明治18年の大洪水をきっかけに改良工事が行われるまで、今の淀川はありませんでした。実は、都島区から南へ分岐する川がかつての「淀川」で、現在の淀川下流は開削によって造られたルートです。

川を改良する工事は14年もの歳月がかけられました。水害をもたらしていた川幅の狭い川が改良されて1本の大きな流れとなった「新淀川」。昭和後期に、人が増え続ける大阪の町へ水を供給しながら水量を制御するポイントとして「淀川大堰」が誕生しました。

東淀川区柴島の河川敷では、堰からごうごうと流れ出る川と堰柱がそびえる迫力ある景色が広がっています。

<基本情報>
住所:大阪府大阪市東淀川区柴島2丁目6
アクセス:阪急千里線「柴島(くにじま)駅」から徒歩約10分
駐車場:豊里地区駐車場(無料)

新淀川と旧淀川をつなぐ要!「毛馬閘門(こうもん)」

新淀川と旧淀川をつなぐ要!「毛馬閘門(こうもん)」

写真:潮 佳澄

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柴島の反対側、左岸の堤防を歩いていると目に飛び込んでくるインパクトがすごい「毛馬こうもん」の文字。のどかな川沿いで急に現れる理解できない文字に目を向けずにはいられません。

新淀川と旧淀川をつなぐ要!「毛馬閘門(こうもん)」

写真:潮 佳澄

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こうもん(閘門)は、川の水量を調整する役割と高低差のある川を運行する船のエレベーターとして動く役割を持つ水門のことを指します。

都島区毛馬(けま)の地から南へ分かれる「大川」は、今の淀川ルートが開かれるまで淀川の本流でした。旧淀川と新淀川が交わる地点で水量を調整し、船運をつなぐ施設として昭和49年に毛馬閘門が完成しました。

旧淀川と新淀川の合流地で重要な場所である毛馬には、淀川大堰が完成する昭和後期よりももっと前、今とは違う場所に閘門と洗堰がありました。

<基本情報>
住所:大阪府大阪市都島区毛馬町
アクセス:Osaka Metro谷町線・堺筋線「天神橋筋六丁目駅」から徒歩約20分
駐車場:赤川地区駐車場(無料)

淀川の歴史を伝える産業遺産「毛馬第一閘門(こうもん)」

淀川の歴史を伝える産業遺産「毛馬第一閘門(こうもん)」

写真:潮 佳澄

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水害をうけて淀川の大改良工事が始まったのは明治29年。旧淀川から新淀川への流れを調整する閘門は明治40年に完成しました。かつての「毛馬第一閘門」は、現在の毛馬閘門から西側に歩いて5分ほどの場所にあります。

淀川の歴史を伝える産業遺産「毛馬第一閘門(こうもん)」

写真:潮 佳澄

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レンガ造りでところどころに花崗岩が施されている壁がかつての水路にあたる場所です。2枚の大きな鉄扉の間に船が入り、船を運ぶ水のエレベーターとして稼働していました。

淀川の歴史を伝える産業遺産「毛馬第一閘門(こうもん)」

写真:潮 佳澄

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国の重要文化財に指定されている「毛馬第一閘門」は、日本でも最初期の洪水を防ぎながら水運を確保した施設として土木遺産にも指定されています。

実は、毛馬一帯は花見の穴場スポットでもあります。桜に囲まれた遺構はゆっくりと春を感じられる大阪市内でも数少ない場所。訪れるのにおすすめの季節です。

<基本情報>
住所:大阪府大阪市北区長柄東3丁目3
アクセス:Osaka Metro谷町線・堺筋線「天神橋筋六丁目駅」から徒歩20分
開放時間:
平日 9:00〜17:00
土日祝 7:00〜17:00
※6月〜8月は19:00閉園

知る人ぞ知る大正レトロ建築「水道記念館」

知る人ぞ知る大正レトロ建築「水道記念館」

写真:潮 佳澄

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大阪市水道局「水道記念館」は赤レンガと御影石が美しいネオ・ルネッサンス様式の建築です。大正3年に送水ポンプ場として建造された建物。開館は土日のみですが、休館日でも淀川堤防から建物全体を見渡すことができます。

知る人ぞ知る大正レトロ建築「水道記念館」

写真:潮 佳澄

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現在は水道の歴史を学べる展示室と浄水場の見学(2名以上予約制)ができる施設となっています。

平成24年までは淡水魚の水族館として展示・研究が行われていましたが、"水道事業の府市統合"を受けて水族館が閉館となり、存続が危ぶまれていました。ひっそりと大阪の水道を支え続けている大正レトロ建築の施設は、今の姿を遺しているうちにぜひ足を運んでほしいスポットです。

<基本情報>
住所:大阪府大阪市東淀川区柴島1-3-1
電話番号:06-6320-2874
アクセス:Osaka Metro御堂筋線「西中島南方駅」から徒歩約10分
開館日:土日祝のみ
入館料:無料
駐車場:25台(無料)

リバービューが広がる淀川の魅力

リバービューが広がる淀川の魅力

写真:潮 佳澄

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淀川沿いはハイキングやサイクリングを楽しむ人が多くいます。今回紹介したスポットも以下の順番でまわると2時間ほどのサイクリングコースです。徒歩でめぐるには時間がかかるので、ステーションで乗り捨てできるシェアサイクル・HELLO CYCLINGを使うと便利です。本格的なサイクリングコースとしては、天満橋〜毛馬閘門にかけて大川沿いを走るコースもあります。

・水道記念館→淀川大堰(柴島側)→毛馬第一閘門→毛馬閘門

毛馬閘門のある都島区側の淀川河川公園はバーベキュー広場もある広々とした公園になっているので、終着地にするとのんびり休憩できておすすめです。

大阪のちょっと変な景色を歩く淀川散歩

淀川にあるちょっと変わった景色を紹介しました。

最後に、普段は見られない施設内部に入れる機会を紹介します。毛馬閘門は「なにわ探検クルーズ」の期間限定クルーズで水門エレベーターを運行するツアーが組まれています。淀川大堰は淀川市民マラソンのコースになっているので、マラソンにあわせて訪れると普段とは違う様子の写真を撮ることができます。

水都・大阪を探検する上で欠かせない淀川の不思議な景色をめぐる旅。淀川の過去をタイムトラベルするようなスポットを訪ねてみてはいかが?

2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/11/03 訪問

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