チュニジアの古都・世界遺産「カイルアン」の見どころを巡る

チュニジアの古都・世界遺産「カイルアン」の見どころを巡る

更新日:2020/11/20 17:58

大竹 進のプロフィール写真 大竹 進 元旅行会社勤務、元旅行専門学校講師
首都チュニスの南165kmの内陸部に位置するカイルアン(フランス語でケロアン)は、670年北アフリカを征服するためウマイヤ朝から派遣された総督ウクバ・イブン・ナーフィによって建設され、その後歴代アラブ王朝の首都として栄華を誇った古都です。北アフリカにおけるイスラム発祥の地でもあり、北アフリカ最古のモスクや、イスラム教の創始者ムハンマドの同志が眠る廟などもある見どころの多い町をご紹介します。

北アフリカ最古のグランド・モスク

北アフリカ最古のグランド・モスク

写真:大竹 進

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グランド・モスクはこの町を建設したウクバ・イブン・ナーフィによって670年に創建され、彼の名に因んでシディ・ウクバ・モスクとも呼ばれており、北アフリカ最古のモスクです。シディとは聖という意味です。現在ある建物は9世紀に改築されたものが原型で、その後何度も改修が行われ現在に至っています。

ミナレット(尖塔)の高さは31.5m、最下段は728年建造でイスラム世界で最も古いものです。大理石が一面に敷き詰められた中庭には、中世から使われていた礼拝の時間を告げる日時計がありますが、この中庭は中央の排水溝に向かって緩やかに傾斜し、地下に造られた貯水槽に雨水が貯められる様になっています。

北アフリカ最古のグランド・モスク

写真:大竹 進

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礼拝堂の中はイスラム教徒以外は入れませんが、入口からは内部をのぞく事が出来ます。カーペットが敷き詰められた奥にはミフラーブ(メッカの方向を示す壁の窪み)が見えます。

内部で使用されている柱はローマやビザンチンの遺跡から流用されたもので、よく見るとそれぞれの柱のデザインや色が異なっている事が判ります。

北アフリカ最古のグランド・モスク

写真:大竹 進

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中庭を取り囲む回廊にもローマやビザンチンの遺跡から流用した柱が使われていますが、モスク全体で414本使用されています。
列柱の並ぶ回廊は素敵な写真スポットにもなりますね。

<グランド・モスクの基本情報>
開館時間:8:00〜14:00 ※金のみ12:00閉館
休館日:なし
入場料:共通券で入場可(共通券についてはまとめ欄に記載)

マグレブで最も美しいシディ・サハブ霊廟

マグレブで最も美しいシディ・サハブ霊廟

写真:大竹 進

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シディ・サハブ霊廟はイスラム教の創始者ムハンマドの同士で聖者であるアブ・ザマ・エル・ベラウィが眠る霊廟です。シディとは聖、サハブとは友人という意味です。7世紀に創建されましたが、オスマン帝国時代の17世紀に巡礼者のための宿、モスク、神学校などが付け加えられて、ほぼ現在の姿になりました。

マグレブで最も美しいシディ・サハブ霊廟

写真:大竹 進

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聖者の棺は美しく飾られていますが、彼はムハンマド専属の床屋であったと言われ、生前ムハンマドのあご髭3本を常に持ち歩いていたため、廟にはこの3本の髭と共に埋葬されています。

マグレブで最も美しいシディ・サハブ霊廟

写真:大竹 進

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この廟はマグレブ(チュニジア、アルジェリア、モロッコ地域)で最も美しい霊廟と言われ、透かし彫りが美しい化粧漆喰の壁や色鮮やかなタイル張りなど、ずっと眺めていても見飽きない、素晴らしい装飾に彩られた霊廟です。

<シディ・サハブ霊廟の基本情報>
開館時間:
(5/1〜9/15)7:30〜14:00
(9/16〜4/30)8:00〜15:00
※金のみ13:00閉館
休館日:なし
入場料:共通券で入場可(共通券についてはまとめ欄に記載)

アグラブ朝の貯水池

アグラブ朝の貯水池

写真:大竹 進

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9世紀に造られた貯水池で、建設当時は14の貯水池がありましたが、現在では4つが残されています。

中世では最高技術のもので、水はケロアンから36km離れた山から水道によって運ばれ、最初に浄化用貯水池(写真左奥の小さな貯水池)に入れられ、その上澄みを大水槽に流し込んで町へ供給しました。現在でも市民の重要な水源になっています。

アグラブ朝の貯水池

写真:大竹 進

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写真は先程とは別の貯水池ですが、奥の浄化用貯水池からその上澄みを手前の大水槽に流し込む部分をアップしたものです。1200年も前にこの様な貯水池が造られていた事に驚かされますが、それが今も尚現役として機能している事には驚嘆します。

アグラブ朝の貯水池

写真:大竹 進

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貯水槽から横に伸びるこのかまぼこ型ブロックの上部には幾つか穴が見えますが、かつてはここから水を汲み上げていました。

<アグラブ朝の貯水池の基本情報>
営業時間:
(5/1〜9/15)7:30〜18:00
(9/16〜4/30)8:00〜17:00
※金のみ13:00閉館
休業日:なし
入場料:共通券で入場可(共通券についてはまとめ欄に記載)

街歩きが楽しいメディナ

街歩きが楽しいメディナ

写真:大竹 進

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メディナとは「町」という意味ですが、現在はその周りに新たな町が広がっているので、通常「旧市街」を表しています。

メディナのメインゲートはマハティール広場に面したショハダ門(殉教者門)ですが、これは1952年にフランスから独立のために立ち上がった人々がここで処刑された事に因んでいます。メディナは東西1.3km、南北1.7kmの広さがあり、高さ8m厚さ2mの城壁がぐるりと周囲を取り囲んでいます。

街歩きが楽しいメディナ

写真:大竹 進

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メディナの中にはビル・バルータという井戸がありますが、伝説によるとこの町を建設したウクバ・イブン・ナーフィが槍を立てた所から水が湧きだし、これがビル・バルータとなり、メッカの聖水と地下で繋がっていると言われています。ラクダが井戸の周りを回って20mの深さから水を汲み上げています。

街歩きが楽しいメディナ

写真:大竹 進

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メディナ内は甘いお菓子マクルードの専門店や丸いアラブパンなどの食べ物屋、民族衣装店、金工細工などの職人の店など、暮らしの匂いが溢れる店が並んでいます。

カイルアンのメディナ内は特に建物が美しく、白壁と青い窓のコントラストが素敵な家々が並んでいます。

カイルアンのお薦めホテル「ラ・カスバ」

カイルアンのお薦めホテル「ラ・カスバ」

写真:大竹 進

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カイルアンでお薦めのホテルは旧市街の端にある中世の城塞カスバを改装したホテル、ラ・カスバ。ホテルの入口は本当に城塞に入って行く様な雰囲気で、思わずワクワクします。

カイルアンのお薦めホテル「ラ・カスバ」

写真:大竹 進

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ロビーの内装もアラブの雰囲気が溢れ、情緒があります。

カイルアンのお薦めホテル「ラ・カスバ」

写真:大竹 進

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客室もアラベスク模様のタイルが壁一面に貼られ、エキゾチック感一杯!アラビアンナイトの夢が見られそうですね。

<ラ・カスバの基本情報>
住所:Av.Ibn El Jazzar-Cite la mosquee Kairouan
電話番号:+216-77-237-301

世界遺産の古都を楽しむ

カイルアンはかつての首都であり、またイスラム世界ではメッカ、メディナ、エルサレムに次いで重要な聖都でもあります。世界遺産に登録された歴史的な建物、楽しさ一杯のメディナ、アラブの香り溢れるカスバのホテル、そんな魅力に溢れたカイルアンにあなたも訪れてみませんか。

カイルアンには主な観光先を纏めて見る事が出来る便利な共通券がありますから、観光の際にはどうぞご利用下さい。

共通券:12チュニジア・ディナール(約500円)
有効期間:1日
共通券で入場出来る場所(5ヵ所)
グランド・モスク、シディ・サハブ霊廟、アグラブ朝の貯水池、シディ・アビド・エルガリアーニ霊廟、シディ・アモール・アバダ霊廟

2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/03/03 訪問

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