写真:スズキ ミズエ
地図を見るメキシコの奇祭「パラチコ」が行われるチアパ・デ・コルソは、メキシコ南部チアパス州の州都トゥストラ・グティエレスから車で30分ほどの場所にあります。チアパス州の中でも、ここは年間を通して暑く、日差しが強く乾燥した地域です。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る近くにはスミデロ渓谷があり、高さ900メートルの断崖に挟まれて川を下る景色は、なかなかの迫力。川べりにはクロコダイルや黒コンドルの姿も見ることができ、大自然を感じられる場所です。
写真:スズキ ミズエ
地図を見るチアパ・デ・コルソはメキシコ政府観光局が選ぶ“プエブロ・マヒコ(魔法にかかった村)”に選ばれた町。普段は静かなこの町が、一年にこの時だけ、魔法にかかったような状態になります。風変わりなマスクに甲高い声で叫び、町の練り歩く。それが奇祭「パラチコ」です。
祭りは例年1月8日から23日まで行われますが、儀式やパレードが行われるのは主に後半から。その頃には町にも出店が増えて、民家のバルコニーではパラチコを模った人形が飾られたりして、気分を盛り上げていきます。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る「パラチコ」とはスペイン語で“子供(男の子)のために”という意味で、祭りは18世紀に起きた出来事に由来しています。
スペイン貴族のマリア・デ・アングロ夫人が、息子の治療のためにチアパ・デ・コルソを訪れました。しばらくして息子の病は治り、慈悲深い夫人は村人たちに感謝を込めて食事を振る舞いました。その際に息子が先住民の村人を怖がらないためにと、村人は白人に見立てたお面とかつらを付けて踊りました。それが現在の「パラチコ」の姿になりました。夫人は村人たちに彼らの子供たちに、とキャンディを渡しました。その時の言葉が“パラ・エル・チコ!(子供のために!)”。夫人への感謝の思いを忘れないために、短く「パラチコ」と呼んで、祭りとして今でも残っているのです。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る奇祭の理由にその格好があります。「パラチコ」の格好はとてもユニーク。頭には竜舌蘭の一種であるマゲイの繊維でできたかつらを被ります。硬い繊維は綺麗に丸く刈られ、まるでタワシみたい。白人をイメージしたお面には必ずホクロが2つ付いていて、中には血色が悪いのものや困った表情のものまであって、みんな個性豊か!
服装は黒のシャツに、鮮やかな刺繍を施したパンツ。肩にはメキシコらしいレインボーカラーのストールを肩に巻き付け、最後に手に金属で出来た“チンチン”と呼ばれるマラカスを持って“パラチコ!”と叫びながら町中を練り歩きます。親子で参加する人も多く、最近では男性のみだった「パラチコ」にも女性の参加が増えています。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る女性たちはカラフルな花の刺繍を全てに施したこの地方の伝統衣装“チアパネカ”を着用。
女性たちの楽しみは、このチアパネカを着ること。普段とは違うドレスに気分も上がります。決して若い女性だけではなく、小さい子供からおばあちゃんまで着ている姿はとてもメキシコらしいです。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る「パラチコ」の見所はなんと言っても彼らのパレード。祭りの期間中は小さなグループで6回行われますが、一同が勢揃いするパレードはやはり最終日の23日です。100人以上のパラチコ集団が、チンチンを鳴らし、狂ったように踊りながら“パラチコ!”と叫ぶパレードは、まさに町が魔法にかかったみたい!
実はあのカツラはとても重く、踊り続けるのは意外と大変。パレードにはチアパネカを着たお母さんや彼女たちが付き添って、時々飲み物を渡したりとサポートしています。家族一体のパレードなんですね。
写真:スズキ ミズエ
地図を見るこのパレードには先祖代々からまとめる役を引き継いでいる家があります。その家のカツラには目印の花が付いて、お面も決して同じものは作ってはいけない決まりになっているのです。パレードはこの家から始まるのもルール。彼が歩く際には、彼を守る役の人もいて、いかに大事な存在か分かります。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る夕方になるとサンセバスチャン像も教会に運ばれて、三体の像が祭壇に揃います。そしてパレードを終えたパラチコ集団が一斉に教会に集まり、みんなのテンションも最高潮に!
神父による最後のミサの後、サンセバスチャン像を次の家族へと引き渡しが行われ「パラチコ」は終わります。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る本来「パラチコ」に決まった日程などはありませんでした。しかしカトリック教会がこの祭りを利用して、町の守護聖人であるサンセバスチャン、サンアントニオ、そしてマヤの神様の化身としての“黒キリスト”を祝う名目で1月に行うこととしました。
写真は1月17日に行われるサンアントニオ像と黒キリスト像のパレード。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る町の守護聖人であるサンセバスチャンの像は、教会ではなく毎年持ち回りで町民の間で保管されています。
1月16日にはエンラマスと呼ばれるお供え物が、周辺の村々から保管している家に運ばれてきます。お供え物のスイカやパンが長い竿に括られていたり、荷車に飾られて運ばれてきたりとちょっとユニーク。運ばれたお供え物の竿はサンセバスチャンの祭壇入口の上に吊るされていきます。
像の前では楽団の演奏で踊ったり、女中の格好をした女性たちがお酒や食べ物を振舞ったりして、みんな楽しそう。「パラチコ」とは直接関係はありませんが、こちらも彼らにとって今や大切な行事なのです。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る祭りで忘れてはいけないのが“チュンタ”の存在です。チュンタとは女中の服装をした男性のこと。8日と16日は、町の男性たちは女中になりきって町をパレードします。チュンタもこの後の「パラチコ」ではあの服装でパレードに参加!
両親が祭りの日に息子にチュンタの格好をさせることは、この町の習慣の一つ。小さい頃から着ているので、みんな綺麗に着こなしています。普段着れないスカートにメイクをして楽しんでいるみたい!男女問わず、綺麗になりたいという思いは一緒のようですね。
そんなチュンタは祭りの始まりを告げる大事な役割がありますが、「パラチコ」との関係は不明です。
写真:スズキ ミズエ
地図を見る中央広場ではたくさんの出店が出現。飲食店はもちろん、洋服や寝具、食器など生活雑貨のお店まであります。まさにショッピングモール状態です。その他に移動遊園地や特設ステージでのコンサート、ゲームアーケードと子供から大人まで楽しめるようになっています。流しのバンドも加わって、夜は昼とは違う盛り上がりです!
写真:スズキ ミズエ
地図を見る一歩路地裏に入っても、ここでも生バンドで踊るグループが!老若男女が歌って踊って、祭りを心から謳歌している姿が見られます。
丸い頭で町を埋め尽くす「パラチコ」は、一見奇祭のようですが、実は先住民とスペイン人との間の優しさから生まれた祭りなのです。その他にも町独自の文化もあり、自分が魔法の世界にいるかのよう。是非、その雰囲気を味わってください。
場所:Av. Capitan Vicente Lopez s/n, San Miguel, 29160 Chiapa de Corzo, Chis
電話番号:+52-961-616-0005
アクセス:州都のトゥストラ・グティエレスから車で約30分
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