20台前半で就職し、20台後半に結婚して子どもをつくり、30台になって新居を構えるという世界各国でごく普通に見られることが、世界でも有数な経済大国・日本でかなり困難になった。努力してもむくわれることはなく、人生の成功も夢も考えられない。涙の数だけ強くなれない。
そんな時には京都に行こう。いにしえの日本人たちも恋や人生に苦しみ、神仏に向きあいながらなんとか人生の突破口を見つけようとした。
まず、ご紹介するのは世界文化遺産の清水寺。ご本尊は、どんな人も残さず救おうとする千手千眼(せんじゅせんげん)の観世音菩薩で、人の「縁」を結ぶ仏さま。
牛若丸(うしわかまる)こと義経(よしつね)と、暴れ者の弁慶(べんけい)が出会ったのも、清水寺への参道となる五条大橋。二人は固いきずなで結ばれ、歴史を大きく変えていきますが、これも運命の出会い。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る高台に突き出すように建てられた「清水の舞台」。舞台の下には、「音羽(おとわ)の滝」と呼ばれる三筋の滝が流れ落ち、写真左から「学業」「恋愛」「長寿(健康)」のご利益があるとされています。
この清らかな湧き水は、まさしく清水寺の起源になった聖地。数千年前から湧き出た霊水で身を清め、強い運気を呼び込みましょう!
※三筋の霊水は、一つだけ選んで飲むと良いとされています。
<清水寺の基本情報>
住所:京都府京都市東山区清水1丁目294
電話番号:075-551-1234
アクセス:京阪電車「清水五条駅」、市バス「五条坂」(JR京都駅から15分)、京都バス「東山五条」
拝観時間:6:00〜18:00(変動あり)
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いては、さきほどの清水寺の敷地内にある「地主(じしゅ)神社」。良縁&恋愛成就の神、オオクニヌシノミコトだけでなく、その父母、さらに祖父母と、日本の国づくりの役割を果たした3代の神さまをおまつりしています。3代もの「縁続き」だからこそ、ものご〜いパワーを持つ恋愛のパワースポット。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「地主神社」は、清水寺を守るために建てられた神社で、歴史は清水寺よりも古く、神代(かみよ)の時代。日本という国が誕生する以前という、深い謎に包まれた聖地です。霊感の強い友人によると、淡いピンク色のオーブが幾つも見えるらしい。ものすごいパワーに満ちています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「地主神社」のパワースポットを象徴するのが、本殿前にある二つの守護石で、その名もズバリ「恋占いの石」。縄文時代からこの地にあったとされる石は、運命の扉を切りひらく強烈なパワーに満ち、一つの石から他方の石まで目を閉じたまま無事にたどり着くことができたら、恋が成就するという恋占いの石です。
修学旅行生で賑わう恋の聖地ですが、最近では噂が海外にまで広がり、浴衣や着物姿の外国人女性が多く見られます。
ちなみに、「恋占いの石」には、以下のような伝説があります。
■一度でたどり着いたら→→→安心するが良い。恋は早く成就するであろう。
■2〜3度で着いたら→→→恋の成就は遅くなりそうだ。しかし、がんばれ!
■人の助けをもらって着いた方は→→→恋の成就には人の力が必要。友だちを大切に。
<地主神社の基本情報>
住所:京都府京都市東山区清水一丁目317
電話番号:075-541-2097
アクセス:京阪電車「清水五条駅」、市バス「五条坂」、京都バス「東山五条」
拝観時間:9時〜17時
写真:沢木 慎太郎
地図を見る良縁を望む前に、まず悪縁を切りましょう!
「お札(ふだ)」がぺたぺた貼られた謎のスポット。ちょっと不気味ですが、ここは悪縁を断ち切って、良縁を呼び寄せるという「安井金比羅宮」(やすいこんぴらぐう)。清水寺からだと、「八坂の塔」へ向かい、建仁寺に行くまでの途中にあります。
敷地内には絵馬の形をした大きな石があり、まん中には丸い穴が。穴には神さまのエネルギーが集中していて、この穴をくぐると悪縁が立ち切られるといわれ、休日には行列ができるほどの人気ぶり。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「安井金比羅宮」で悪縁を切り、良縁を結ぶための参拝方法をご紹介します。
【1】まず、ご本殿にお参りする。
【2】「形代」(かたしろ)と呼ばれる身代わりのおふだに願いごとを書く(100円以上のおこころざしが必要)
【3】形代を持ち、願いごとを念じながら表から裏へくぐる(まず、悪縁が断ち切られる)
【4】次に、同じく形代を持ち、願いを念じながら今度は裏から表へ(これで良縁が結ばれる)
【5】最後は、手にした形代を、石のどこでも好きなところに貼る(以上で完了!)
ただ穴は狭く、かなりかがまないと通り抜けることができません。短いスカートの方はちょっと……。
悪縁は男女の仲だけでなく、お酒やたばこ、賭けごと、病気といったことまでさまざま。また、おふだや絵馬には恨みごともいっぱい書かれていて、読んでしまったら体温が一気に下がること、間違いなし。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「安井金比羅宮」は、「日本三大怨霊」の一人とされる崇徳天皇(すとくてんのう)をおまつりしているところ。崇徳天皇は、平安時代末期に皇位継承などをめぐってクーデターを起こしますが、失敗して讃岐の国(香川県)へと流され、恨みを持ったまま亡くなりました。
しかし、崇徳天皇は亡くなる前に、讃岐の金比羅宮ですべての欲を断ち切って、仏に向きあいました。戦いに破れて愛する人とも別れなければならなかった崇徳天皇の胸中はいかなるものだったのでしょう。「自分のような悲しい思いは、二度と起こってはならない」。崇徳天皇はこう願い、幸せな男女の縁をさまたげるすべての悪縁を切って下さるのです。
ちなみに神社の方に確認しましたが、お幸せなご夫婦やカップルがお参りしても、縁が切れることはありません。さらに、お二人がより深く結ばれるパワーをもらえるということなので、どうぞご安心ください。
<安井金比羅宮の基本情報>
住所:京都府京都市東山区下弁天町70
電話番号: 075-561-5127
アクセス:市バス「東山安井」ほか
拝観時間:午前9時から午後5時30分
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いてのご紹介は、嵯峨野にある「野宮(ののみや)神社」。京情緒が漂う竹林の道を抜けたところにひっそりたたずむ古いお寺で、縁結びの神さま「野宮大黒天(ののみやだいこくてん)」などを祀っています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る敷地内には、ゾウ亀のような大きな神石「お亀石」があり、これを撫でると願いごとがかなうとされています。たくさんの人が触っているので、石はつるつるでテカテカ。まるでマヤ文明の遺跡から出土した水晶ドクロのように光り輝いています。これはご利益がありそう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る野宮神社は、実は悲しい恋物語の聖地。平安時代の恋愛小説『源氏物語』の舞台にもなった場所なのです。光源氏は、年上の気高いお姫さまに恋しますが、二人はうまくいきませんでした。
しかし、秋の夜。京都を去ろうとする姫のもとに、光源氏はそっと訪ねます。二人が最後に会った場所が野宮神社。秋には色鮮やかな紅葉が境内を彩りますが、きっとこれは、今なお尽きない二人の恋の情熱なのでしょう。
恋や人生が苦しいのはいつの世も同じ。秋の日にも野宮神社を訪ねてください。二人の想いが真っ赤な紅葉に宿り、これを見上げる人の背中をしっかり後押ししてくれるはず。
<野宮神社の基本情報>
住所:京都府京都市右京区嵯峨野々宮町1
電話番号:075-871-1972
アクセス:JR山陰本線「嵯峨嵐山駅」ほか
拝観時間:9時〜17時
写真:沢木 慎太郎
地図を見る最後に、筆者が最も敬愛する女性が訪ねた場所を。京都の山奥にある貴船(きふね)神社。恋に生きた平安時代の女流歌人・和泉式部(いずみしきぶ)が恋や人生の苦しみを抱えながらお参りし、離れていった夫の愛を取り戻しました。
彼女は貴船で、淡い光を放ちながら闇夜に舞う蛍を見つけ、その微かな光に揺れ動く自分自身の想いを重ねます。
――あまりも思い悩むと人の魂は身体から抜け出す。このさまよえる蛍は私の魂のようだ――と悲しくも美しい歌を詠みました。
≪ことば≫に生きた和泉式部の魂が、今もゆらゆらと揺れているような貴船川。秋になるとライトアップが行われ、幻想的な光を見ることができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る貴船神社で良縁・縁結びを呼び込むパワースポットが「中宮結社」(ゆいのやしろ)。貴船神社は川に沿って3つの社がありますが、そのうちの一つが一番小さな「結社」です。七夕や紅葉シーズンなどにはライトアップが行われ、色鮮やかな新緑や紅葉が光の中に透けて見えます。
この地は、不幸を乗り越えた女性の神さまの「磐長姫命」(いわながひめのみこと)のゆかりの地。「私はこの地にとどまり、縁結びの神さまとして、訪れた人に良縁をさずけましょう」と言って、鎮まったとされる場所です。あらゆるものの良縁を結び、恋の願いをかなえる神さま。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る良縁や縁結びなど、恋愛成就を叶えるためには、「結社」の手前にある「本宮」で“結び文”を求め、ここに願いごとを書きます。そして、「結社」の敷地にある『結び処』(むすびどころ)と呼ばれる神域(写真)に、“結び文”をくくりましょう。
ちなみに貴船神社の正しいお参りは「本宮」→「奥院」→「結社」の順番が、昔からの習わしとされています。
<貴船神社(結社)の基本情報>
住所: 京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
電話番号:075-741-2016
アクセス:叡山電車「貴船口駅」、京都バス「貴船」
拝観時間:閉門なし
ご利益:良縁、縁結び
ご紹介した5つの縁結びスポットは、「清水寺」「嵐山」「貴船」の3つのエリアにあり、一日ですべてを廻るのはちょっと困難。3回に分けて訪れ、古都の風情をじっくり感じながら巡っていただきたいと思います。
最後に貴船神社のところでご紹介した女流歌人・和泉式部。恋多き女性として皮肉られた彼女は晩年、病に倒れ、死のまぎわに一首の歌を詠みます。
――この世の最後の想い出に、もう一度、あなたに会いたい――
簡素な歌に想いを託し、彼女はこの世を去ります。彼女が最後に会いたかった人は誰だったのでしょう。
これら京都の聖地をぜひ訪ねて下さい。「もう一度、会いたい」と心から思える素敵な出会いが、きっと待っていますよ!
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(2025/2/8更新)
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