大分竹田の幸せ珍遺産!「姫だるま」は予約注文から数年待ち

大分竹田の幸せ珍遺産!「姫だるま」は予約注文から数年待ち

更新日:2020/12/01 12:40

安藤 美紀のプロフィール写真 安藤 美紀 おこもり温泉宿探求家、おいしいもの探検家
無病息災や家内安全として、昔から親しまれてきただるま。皆さんは、だるま=男というイメージをお持ちではありませんか?
大分県竹田市には、女性をモチーフにした珍しいだるまがあるんです!このだるまは、人気TV番組「水曜どうでしょう」に登場して以来、大ブレイク。小さいサイズは人気が出すぎて販売を休止、予約できても数年待ちという入手困難品に…。今回はそんな大分を代表する「姫だるま」をめぐる旅をご紹介します。

「姫だるま」のモデルは江戸時代の主婦

「姫だるま」のモデルは江戸時代の主婦

写真:安藤 美紀

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その昔「起き上がり」という名前で、約380年前の江戸時代から作られてきた「姫だるま」。竹田の下級武士たちが内職としてこの民芸品を作り、歴史を紡いできました。

「姫だるま」のモデルは江戸時代の主婦

写真:安藤 美紀

だるまのモデルになったのは、下級武士・雑賀勘左衛門の妻「綾女」さんだと言われています。当時、岡藩に仕える雑賀家は、貧しさゆえに、家の中でいさかいが絶えませんでした。しんしんと雪が降る冬の夜、「綾女」さんは家を追い出され、雪の中で寒さに絶えながら一晩中復縁を願います。その姿を見た勘左衛門は改心し、鉱山奉行になるまで出世。家族の絆も深まりました。

つまり、「姫だるま」は、辛抱の末に幸せをつかんだ「綾女」さんの姿なんです。

江戸時代から変わらぬ手仕事で作られる民芸品

江戸時代から変わらぬ手仕事で作られる民芸品

写真:安藤 美紀

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そんな「姫だるま」ですが、実は作り手の減少により、一時消滅。1952年に「竹田市のみんなが元気になってほしい!」という願いで、「後藤姫だるま工房」初代・後藤恒人さんが、江戸時代と同じ製造方法や材料で復興させました。現在は、2代目となる奥様の明子さんと3代目の久美子さんが、その伝統を受け継いでいます。

工房はいつ訪れても見学可能。熟練した職人技を間近で見学できるので、見応え抜群です。

江戸時代から変わらぬ手仕事で作られる民芸品

写真:安藤 美紀

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「姫だるま」は、ベースとなる木型作りから色塗りまで、すべてが分担制の手作業。水張り1回→糊張り4回→仕上げに手漉き和紙を重ねていきます。どのサイズのだるまも乾かないと次の工程にいけないため、1体作るのに1週間から10日ほどかかります。

しっかり乾燥させた後は、美しい白肌の部分になる胡粉塗り。季節や天候によって、重ねる回数を調整して、女性らしい柔らかな白肌を作り出しています。

江戸時代から変わらぬ手仕事で作られる民芸品

写真:安藤 美紀

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「姫だるま」の格となる墨入れの作業は、2代目の明子さんが担当。先代から姫だるまづくりを継承し、明子さんの手によって1体1体命が吹き込まれます。

モデルが主婦なので、和やかで落ち着いた顔をしているのが特徴。「誰が見ても、幸せな気持ちになれますように…」という想いを込めて、明子さんは墨入れをしています。

すべてが縁起物の姫だるま

すべてが縁起物の姫だるま

写真:安藤 美紀

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「姫だるま」に描かれた模様(松・竹・梅)には、それぞれ大切な思いが込められています。

松は1年中青々と育つことから、家を潤すお父さんをイメージ。梅は寒い時期から花が咲くため、家を守る役割のお母さんをイメージ。竹はすくすく育つことから、子供をイメージしています。

また、頭部に描かれた金の菱形は、太陽をイメージしたもの。お母さんが、太陽のように明るい笑顔で家族を照らしていれば、家の中は大丈夫!という意味が込められています。

すべてが縁起物の姫だるま

写真:安藤 美紀

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後ろを向けると、白い背中に、玉ねぎのような不思議な模様が。これは「宝珠」と言い、家族みんなを災難から守る厄除け、子孫繁栄の意味があります。

そう!「姫だるま」の絵柄は、すべてが縁起物。1つも無駄がありません。

実際に、「姫だるま」が届いた3日後に「すごく良いことがありました!」とお礼の電話がかかってきたり、「商売が上手くいきました!」という話もたくさん聞くそうです。

すべてが縁起物の姫だるま

写真:安藤 美紀

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「姫だるま」を作っているのは、日本でも「後藤姫だるま工房」だけ。サイズは、4号(20cm)〜8号(50cm)の5種類。ネット販売はしておらず、電話でしか注文を受けていません。

基本的には予約注文となりますが、ここに直接来てみると、運が良ければ買える場合も。ただし、希望のサイズがあるかは分かりませんので、訪れる前に電話をしてみるのが安心です。

他にも、「手ぬぐい」(1,800円)、「巾着」(1,400円)「メッセージカード」(500円)など「姫だるま」グッズも充実。竹田のお土産にもオススメですよ。

「水曜どうでしょう」で一躍有名になった「姫だるま」

「水曜どうでしょう」で一躍有名になった「姫だるま」

写真:安藤 美紀

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この民芸品が爆発的人気となった理由は、人気TV番組「水曜どうでしょう」に登場したから。ファンの方なら、「あの高崎だるまと結婚した、だるまさんでしょ!」と思われるかもしれません。

放送から20年以上経った今でも、大泉さんとは交流が続いていて、メールでやりとりをしたり、北海道のご両親が直接買いに来られることもあるとか。大泉さんの活躍ぶりを見ていると、「姫だるま」パワーを実感しますよね。

工房には大泉さんたちの写真やサインなど、ここでしか見られない記録の数々があり、ファンの胸を熱くさせます。

<後藤姫だるま工房の基本情報>
住所:大分県竹田市吉田889-1
電話番号:0974-62-3735

食べられる「姫だるま」も!

食べられる「姫だるま」も!

写真:安藤 美紀

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竹田市は、江戸時代、岡城を中心に豊後最大の藩として栄えた岡藩のお膝元。また、難攻不落とたたえられた名城・岡城址や武家屋敷の古い町並みが今も残されています。

食べられる「姫だるま」も!

写真:安藤 美紀

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「姫だるま」の旅をするなら、竹田で一番古い、江戸時代創業の和菓子屋さん「但馬屋老舗 本店」にも足を運んでみてください。

食べられる「姫だるま」も!

写真:安藤 美紀

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ここには、「姫だるま」を型どった可愛らしい和菓子「竹田美人」があります。しっとり、ほっくり。竹田産の柚子が上品に香る、白あんに癒やされますよ。

<但馬屋老舗 本店の基本情報>
住所:大分県竹田市竹田町40
電話番号:0974-63-1811
営業時間:9:00〜18:00
定休日:元旦、年数回

竹田でほっこり癒やされる「姫だるま」の旅を

竹田の町を歩くと、さまざまな場所で「姫だるま」に出会えます。どこかへ癒しの旅に出たいとき、見ているだけでほっこほこになれる「姫だるま」の旅をしてみてはいかがでしょうか。落ち込んだ気分も、きっと上向きになれますよ!

2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

取材協力:大分県

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/11/17 訪問

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