写真:磯本 歌見
地図を見る2020年に創業150周年を迎えた京都の名料亭「和久傳」。京丹後市の峰山町で営んでいた料理旅館がそのはじまりでした。和久傳はその後、京都市内に進出し、料亭として名実ともに大きくなっていったのです。
「いずれは京丹後に必ず帰ってきます」という地元との約束を果たすために始めたのが森づくりでした。
国際的な植物生態学者である宮脇昭氏に指導を仰ぎ、地元の人たちと一緒に第1回目の植樹活動を行ったのが2007年のこと。土地に合った木を植えるのが宮脇方式。低木、高木、いろいろな種類の木を混植、密植させることによって、切磋琢磨して育っていき、強い森になっていったのです。
写真:磯本 歌見
地図を見る写真は工房レストラン「wakuden MORI(モーリ)」。元工房でその後倉庫として使われていた建物をリノベート。レストランの右に立つ木がシンボルツリーの「桑」です。
桑の木が育ちやすい土壌であったことから、その葉を好むお蚕さんを養蚕し、高級絹地として栄えた丹後。丹後にとって欠かせない「桑」は、お茶やパウダーとして、レストランのメニューに採用したり、お土産品に加工したりしています。
レストランの名前「MORI」は、イタリア語で「桑」の意。「森」とかけて命名されました。命名は、世界的な絵本作家であり、縁あって敷地内の美術館で作品を展示する安野光雅さんによるものです。
レストランと同時オープンした美術館です。
設計は安藤忠雄さん。依頼を受けて現地を視察に来た安藤さんが「和久傳」の想いに強く共感し、手がけることになりました。従来の安藤建築とは違った黒い杉板を採用。森の空気にも安野氏の絵にも溶け込むすばらしい建物です。
観光客は景色や食の素晴らしさに感動しどんどん京丹後に訪れる。また、地元の人にとっては京丹後の良さを見直すきっかけになる。そして丹後ちりめんで活気があった古き良き時代のように産業が活気付くようになれば、地元に恩返しができる。
そんな想いをもって、「和久傳ノ森」は2017年6月にこの地にオープンしたのです。
写真:磯本 歌見
地図を見るこちら、レストランの内観です。
暖炉の前に置かれたソファースペースやスタイリッシュなテーブルスペースがある広々とした空間です。窓際の席にも、ひじ掛けが付いた座り心地のよいチェアとテーブルのセットが置かれています。
提供元:和久傳ノ森
https://mori.wakuden.kyoto/「wakuden MORI」で提供する食事のコンセプトは「京丹後のおいしいものをしっかり」。京丹後=カニというイメージかもしれませんが、実は京丹後は新鮮な魚とおいしい野菜の宝庫。どのメニューにもたっぷり野菜を使っています。食べたことや聞いたことがないなど、レアな野菜を多用しているのが特徴です。
セットメニューは「お肉のセット」「お魚のセット」、お肉とお魚の両方が食べられてお菓子も付く「特別セット」があります。内容と価格はその時々で替わりますが、丹後産無農薬米コシヒカリ(自家製米)の釜炊きごはん、自家製ちりめんじゃこ、季節の野菜の漬物、汁物はどのセットにも付いています。
写真:磯本 歌見
地図を見るこちらは、単品メニューの「丹後の野菜と丹後魚の黒寿司(お汁付)」(1,900円)と「和三盆山椒ソーダ」(720円)です。
「丹後の野菜と丹後魚の黒寿司」は、やや茶色のすし飯の上に、季節の魚と4〜5種類の色鮮やかな野菜をトッピングしています。写真は、イサキの焼きしも、ズッキーニ、バターナッツ甘酢漬け、水玉胡瓜など。すし飯の量を「大・中・小」と選べるのもうれしい心配りです。小を選ぶと後悔するので念のため。
「和三盆山椒ソーダ」は、固くなる前の青くて柔らかい実山椒を和三盆でシロップつけにしたものをソーダで割った一杯。さっぱりして夏の人気商品です。
その他、デザートメニューとして、桑の葉パウダーを使ったシフォンケーキやベイクドチーズケーキ、和久傳の看板商品であるれんこん菓子「西湖」や、オリジナルクラフトビールや清酒など、「和久傳」ならではのメニューが豊富にあります。
写真:磯本 歌見
地図を見るレストランの一角に、物販コーナーがあります。和久傳の看板商品、れんこん菓子の「西湖」も人気の一品です。レストランで使っている調味料なども販売していますので、味見しておいしかったらお土産に買って帰りたいですね。
安野光雅さんのイラストの「鬼ちりめん」などちりめん各種(500円)や、和久傳の米と丹後の海水で作った塩、桑の葉パウダーを使ったお菓子などは、オンラインショップでは買えない「和久傳ノ森」限定の商品ですよ。チェックしておきましょう。
写真:磯本 歌見
地図を見る安野光雅さんにちなんだコーナーもあります。
絵本はもちろん、トートバッグ、一筆箋、絵ハガキなどが並んでいます。美術館にもミュージアムショップはありますが、レストランにも置いています。
写真:磯本 歌見
地図を見る写真は、人気の一筆箋(350円)とポストカード(各100円)、安野さんのイラストがかわいい桑のお茶(200円)です。
桑のお茶は、美術館入館の記念にプレゼントしてくれますよ。
写真:磯本 歌見
地図を見る安野光雅さんは、日本を代表する絵本作家。デビュー作の『ふしぎなえ』や『旅の絵本』は、世界中で大好評となった代表作です。
安野さんの描く繊細で柔らかな水彩画の世界にふさわしく、森に抱かれてひっそりとたたずむような美術館となることを目指して作られています。
次に現れる世界への期待を胸に抱かせる美術館に続く長い回廊を通って入口へ。杉板張りの外壁が周囲の景観に溶け込んでいます。
写真:磯本 歌見
地図を見る採光のためのわずかな開口部より外の自然を感じながら絵画を鑑賞できる展示室の内部です。
間近に見る作品の世界に、すっと引き込まれる至福のひとときを過ごすことができます。
美術館では、安野さんのやわらぎのある絵を楽しんでもらいたいと、3か月ごとにテーマを設けて全館展示替えを行なっています。安藤忠雄設計による空間と共に、絵本の世界を堪能することができます。
写真:磯本 歌見
地図を見る館内に飾られた安野さん直筆の書です。字にも内容にも味わいがあってほっこりしますよね。
本当に残念ながら、安野光雅氏は2020年12月に逝去しました。
追悼の意を込めて、2021年3月10日から6月7日まで「〜描くために生きた〜 安野光雅 追悼展」が開催されます。『旅の絵本Y (デンマーク編)』 『かぞえてみよう』ほか、晩年の作品『小さな家のローラ』『赤毛のアン』『メアリ・ポピンズ』など、心にオアシスを与えてくれる作品を展示します。
写真:磯本 歌見
地図を見る広大な敷地の「和久傳ノ森」には工房もあって、ガラス越しに見学することができます。真ん中に木が植えられ、回廊のようになった部分から、2つの建物のガラス越しに製造風景を見ることができます。
写真:磯本 歌見
地図を見るこちら、人気のれんこん菓子「西湖」の製造風景です。外から見えるように製造工程をパネルで展示し、工程に沿って、職人さんたちが手作業で「西湖」を作っています。
何だかとっても身近に感じられますよね。
写真:磯本 歌見
地図を見る工房とは反対側の方に回ってみましょう。
果樹園があり、ブルーベリーやゆず、すだちを育てています。柿は干し柿にして京都の料亭で使います。森全体が見渡せる丘に続く石段があり、そこからは美術館も工房レストランも見ることができます。
春先には、かわいらしい花が咲き、季節ごとに風景が変わる「和久傳ノ森」。景色にも食にも絵画にも癒される京丹後の名所です。
住所:京都府京丹後市久美浜町谷764
<工房レストラン Wakuden MORI>
電話番号:0772-84-9898
営業時間:10:00〜18:00(17:30 L.O.)
定休日:火曜(祝日の場合は翌日休)
<森の中の家 安野光雅館>
電話番号:0772-84-9901
営業時間:9:30〜17:00(最終入館 16:30)
休館日: 火曜(祝日の場合は翌日休)
入館料:一般1,000円、中高生600円、小学生400円
2021年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索