新幹線の駅と空港、港をもつアクセスの良い三原市は、広島県の南部に位置する歴史あるまち。小早川隆景による三原城は日本最初の海城で、JR三原駅はその三原城跡の天守台を貫き、全国でも唯一の旧本丸に位置する駅となります。
そんな三原市は「やっさ祭り」と「三原神明市」で知られ、江戸時代から神明市のシンボルとして“大だるま”が飾られ、露店には特産品のダルマが並びます。
写真:旅人間
地図を見る三原市は“だるまのまち”。この印象をより色濃くするのが、神明市で飾られている“大だるま”の先にある「極楽寺」の存在でしょう。
JR三原駅から東へ15分ほど歩き、急な坂道を少し歩けば石段の先に極楽寺の山門と「青山コレクション達磨記念堂」が目に入ります。ここは「三原だるまのお寺」と呼ばれていますが、この記念堂には約7,000個のだるまが収蔵されています。
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地図を見る極楽寺の境内に併設されている「青山コレクション達磨記念堂」は、極楽寺の前住職が収集した約1,000個のダルマ、そして寄贈された達磨コレクターの青山昭美さんのコレクションである約6,000個のダルマが展示されている日本最大規模の達磨展示館です。
ただし、この記念堂は通常公開はされていません。
見学できるのは三原神明市の3日間のみですが、希望の場合は、事前連絡でタイミングが合えば見学が出来ます。
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地図を見る2階建ての達磨記念堂のショーケースには木だるまから、土、石、蚕、陶磁器までがずらり。見た事もない珍しいものから、身近なものまで色々なダルマが並んでいます。
例えば、宝船や福の神が見られるのは仙台市の「松川だるま」です。眉毛に毛を使っているのが特徴で、独眼だった仙台藩初代藩主伊達政宗に配慮して最初から両目を描いた状態で販売されています。
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地図を見る形も色々です。印象的なのは、尖った頭に、への字の口、つぶらな瞳に、赤、青、白。これは新潟県阿賀野市の伝統民芸品の「三角だるま」になります。
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地図を見るもちろん、広島県三原市の「三原だるま」も展示されています。“願いが成るように”と、鳴り物の鈴や小石を入れ、頭が細く豆絞りの鉢巻きをしているのが特徴です。
神明市では家族の人数分のダルマを買い、背中に一人一人の名前を書き、安全や健康を祈願し神棚に祀ります。神棚から落ちない様にサイズも小さめ。1年無病息災で過ごせたら次の神明市で買いかえるのが風習です。
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地図を見る全国的に人気の「高崎だるま」は、眉毛は鶴、髭は亀を表現し、“縁起だるま・福だるま”とも呼ばれています。お腹には「福入」、両肩には「家内安全、商売繁盛、大願成就、目標達成」などの金文字が書かれています。
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地図を見るダルマは縁起の良い置物として昔から多くの人に親しまれ、願掛けとして「左目を書き入れ、願いが叶ったら右目を入れる」のはお馴染みですね。
色にも意味があり、例えば「赤」は病気や災難を防ぐ、魔除け、開運吉祥、家内安全。「白」は受験合格や目標達成、「黄」は金運、「黒」は商売繁盛など。解釈は諸説ありますが、縁起の良いダルマは身近に置いておきたくなります。
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地図を見る達磨記念堂で展示されているダルマは、日本全国を網羅して集められており、北海道から沖縄まで日本各地の特徴が見られます。その中でも「沖縄だるま」は実に個性的です。
一般的に“ダルマ”は、達磨大師の置物が「起き上がり小法師」として広まった縁起物とされていますが、この沖縄だるまは女性的で着物姿の様にも見えますね。
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地図を見るダルマに手足が無いのは、達磨大師が壁に向かって座禅を続けて手足が腐ってしまった事に因んだという説がありますが、ここでは手足のある達磨も見られます。
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地図を見る特に珍しいのは「隠れ切支丹だるま」でしょう。詳細は不明ですが、ダルマを上に持ち上げると十字架が出てくる仕組みだとか。実に見事な隠し場所です。
他にも猿の顔をしたダルマ、虎や羊などの顔をしたダルマなどもあります。探せば見た事もない珍しいダルマが次々に見つかります。
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地図を見るこの極楽寺は、1237年に三原市本郷町船木で開山された浄土宗の寺院です。三原城築城の時に糸崎町に、そして1663年に城下町の整備に伴い現在の地に移りました。
極楽寺本堂(広島県重要文化財に指定)は、江戸時代中期の1737に再建された入母屋造本瓦ぶきの本堂で背面は錣葺(しころぶき)になっています。この背面屋根の錣葺は、広島県の近世寺社建築の特徴の一つとなります。
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地図を見る本堂に入ると、向拝は設けず全体に素朴な構成で統一されています。注目は正面にみられる格子戸です。これは内陣を結界で仕切ったもので、このように結界の建具が残っているものは殆どなく、仏堂形式を忠実に継承し再建された数少ない貴重な遺構で、典型的な浄土宗本堂のつくりとなります。
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地図を見る三原市重要文化財に指定されている極楽寺の山門も必見です。近くで見上げると、蟇股(かえるまた)は表と裏で異なり、石段側は「獅子と牡丹」、その裏は「鳳凰と桐花」の彫刻です。これは桃山時代のもの。
この山門は、小早川家代々の居城であった「高山城の裏門」を移築したものと伝えられ、小早川隆景による三原城築城の後は城下の「町奉行所の門」として、幕末には三原小学校の前身「亦楽舎の門」としても使われてきました。
住所:広島県三原市東町3丁目5-1
電話番号:0848-62-2985
※青山コレクション達磨記念堂の見学は要連絡
2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
旅人間
レンタカーでアメリカの国立公園を中心に3ヵ月ほど旅した時、ガイドブックにのっていない大自然の魅力に出会い、これらを紹介したいと感じたのがライターになったキッカケ。その後、シンガポールに長期滞在し、東南…
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