橋梁好き必訪!東京都江東区「都市景観重要建造物」の橋巡り

橋梁好き必訪!東京都江東区「都市景観重要建造物」の橋巡り

更新日:2020/12/10 15:33

沢原 馨のプロフィール写真 沢原 馨
東京都江東区は縦横に水路が巡り、多くの橋が架かる町。橋の中には歴史的な価値のあるものも少なくありません。特に萬年橋、亀久橋、福寿橋、東富橋の四橋は江東区の「都市景観重要建造物」に指定された貴重なもの。橋梁好きなら必訪必見!特に橋に興味がなくても、時には歴史的な建造物に注目しながらの町散策もいいものです。江東区で橋巡り散歩、楽しんでみませんか。

東京都江東区は水路と橋の町

東京都江東区は水路と橋の町

写真:沢原 馨

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東京都江東区は、昔は海に面した三角州の地形で、現在の亀戸辺りに細々と人々が暮らしていたような土地でした。江戸時代以降になって埋め立てが進み、やがて現在のような町が造られていくわけですね。

そのような成り立ちの町ですから、縦横に川や運河が抜けています。水路は重要な物流インフラとして、江戸の町、ひいては東京の町の発展を支えたわけです。水路が多ければ、当然のことながら橋も多いということ。新しい橋、古い橋、大きな橋、小さな橋、いろいろな橋があって、それらの橋を巡ってみるのも楽しいものです。

東京都江東区は水路と橋の町

写真:沢原 馨

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大正12年(1923年)の関東大震災では江東区の辺りも大きな被害がありました。その復興事業の一環で架けられた橋のいくつかが、今もその姿を保っています。中でも萬年橋、亀久橋、福寿橋、東富橋の四橋は、“地域の歴史的景観を特色付けている”、“外観・敷地の状況等が建設当時の状態で保存されている”等として、江東区の「都市景観重要建造物」に指定されています。

昭和初期の面影を残し、景観も美しい、「都市景観重要建造物」の四橋、訪ねてみませんか。橋好きの方、橋のある風景の好きな方はもちろん、特に橋に興味がなくても歴史的建造物に着目しての水辺散歩は楽しいですよ。

二重のアーチが特徴的な萬年橋

二重のアーチが特徴的な萬年橋

写真:沢原 馨

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江東区の北西部、小名木川を跨いでいるのが萬年橋。江戸時代から存在していた橋です。江戸時代には小名木川を通る舟のために高く架けられた、優美な姿の橋だったといいます。ここは小名木川が隅田川に注ぐところで、江戸時代初期には往来する舟を取り締まる番所が橋の袂に置かれていました。

二重のアーチが特徴的な萬年橋

写真:沢原 馨

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現在の萬年橋は昭和5年(1930年)に架けられました。橋長56.3mの単径間鋼製アーチ橋、「都市景観重要建造物」の四橋のうち、唯一のアーチ橋です。二重になったアーチが特徴的な姿を見せて、左右のアーチを繋ぐ部材も優美なアーチ形状、見応えのある橋ですね。

<萬年橋の基本情報>
住所:東京都江東区常盤一丁目〜清澄一・二丁目(小名木川)
アクセス:清澄白河駅(都営地下鉄大江戸線、東京メトロ半蔵門線)から約500m(徒歩約10分)

無骨な形状ながら細部が洒脱な亀久橋

無骨な形状ながら細部が洒脱な亀久橋

写真:沢原 馨

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木場公園の西側で仙台堀川を跨いでいるのが亀久橋。亀久橋も江戸時代から存在していた橋でした。最初に架けられたのがいつなのかは不明ながら、享保11年(1726年)に架け替えられたという記録が残っているとのことで、かなり古くからある橋であることは間違いありません。

無骨な形状ながら細部が洒脱な亀久橋

写真:沢原 馨

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現在の亀久橋は昭和4年(1929年)の架橋。橋長34.2mの単径間鋼製トラス橋です。たいていのトラス橋は端部の構造材が斜めになっているのですが、亀久橋はこれが垂直に立てられています。そのため橋全体のフォルムが四角い形状で、ちょっと無骨な印象なのが特徴です。

その一方で親柱や橋灯にはステンドグラス風に色ガラスが使用されていたり、左右のトラスを繋ぐ部材にもちょっと洒脱なデザインがあったりして、細部までじっくり見ておきたい橋です。

<亀久橋の基本情報>
住所:東京都江東区平野二丁目〜冬木(仙台堀川)
アクセス:清澄白河駅(都営地下鉄大江戸線、東京メトロ半蔵門線)または門前仲町駅(都営地下鉄大江戸線、東京メトロ東西線)から約1km(徒歩約15分)

橋の上からの景観もお勧めの福寿橋

橋の上からの景観もお勧めの福寿橋

写真:沢原 馨

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福寿橋は木場公園のすぐ東側で大横川を跨いでいます。架橋は昭和4年(1929年)、橋長39.1mの単径間鋼製トラス橋です。橋名の「寿」の文字が旧字の「壽」で書かれているのが素敵ですね。

橋の上からの景観もお勧めの福寿橋

写真:沢原 馨

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福寿橋の下の大横川は、かつては「亥之堀(いのほり)」と呼ばれていました。福寿橋の400mほど北で大横川を跨ぐ亥之堀橋に、その名が残されています。現在の大横川は河岸に桜並木があり、春には美しい景色を見せてくれます。福寿橋のほぼ真北には東京スカイツリーが建っていて(直線距離で3.6kmほど離れています)、橋の上からもその姿を見ることができます。橋の上からの景観もお勧めですよ。

<福寿橋の基本情報>
住所:東京都江東区平野四丁目〜千石一丁目(大横川)
アクセス:木場駅(東京メトロ東西線)から約1.3km(徒歩約20分)、または清澄白河駅(都営地下鉄大江戸線、東京メトロ半蔵門線)から約1.5km(徒歩約25分)

塗色にも注目の東富橋

塗色にも注目の東富橋

写真:沢原 馨

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富岡八幡宮のほど近く、大横川を跨ぐのが東富橋です。ちょうど大横川と平久川の合流部の脇。架橋は昭和5年(1930年)、橋長40.5m、の単径間鋼製トラス橋です。

現在の東富橋は平成21年(2009年)に塗り直されているのですが、その塗装色にも注目!浅葱色の彩度をさらに落としたような色は「深川鼠」と呼ばれる色。江戸時代後期、深川の芸妓衆や若旦那衆の間で大流行した色なんですよ。その色を橋の塗装に用いるとは、江戸っ子の“粋”を感じますね。

塗色にも注目の東富橋

写真:沢原 馨

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東富橋周辺の大横川河岸も桜並木です。桜が盛りの頃に訪ねてみるのもお勧めですよ。

東富橋の南側、牡丹三丁目から古石場二丁目、三丁目にかけての辺りに、江戸時代には松平定信の屋敷がありました。松平定信と言えば「寛政の改革」を行った人物ですが、老中職を退いて隠居した後、ここに「深川海荘(ふかがわはまやしき)」を構えたのです。東富橋の袂に「松平定信 海荘(はまやしき)跡」に関する案内パネルが設けられていますから、目を通しておきましょう。

<東富橋の基本情報>
住所:東京都江東区富岡二丁目〜牡丹三丁目(大横川)
アクセス:木場駅(東京メトロ東西線)から約500m(徒歩約10分)

江東区で橋巡り、自分のペースで楽しもう

本記事でご紹介した橋の他にも、江東区にはさまざまな橋があって、それぞれに魅力的な景観を見せてくれます。「都市景観重要建造物」の四橋を中心に、江東区での橋巡りの水辺散歩、楽しんでみませんか。

本記事でご紹介した四橋はそれぞれ少し離れていますから、四橋のすべてを一度に巡るのは相応の距離を歩かなくてはいけません。のんびりと水辺散歩を楽しみながら巡ってみるといいでしょう。もちろんすべてを一度に巡らなくても、何度かに分けて橋巡りを楽しむのもお勧めです。ご自分のペースで楽しむといいでしょう。

2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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