写真:鮎川 キオラ
地図を見るバカンスの本場では、6月に入ると街はソワソワするそうです。季節のあいさつは、決まって「バカンスはどこ行くの?」。そして、バカンスから帰ると、楽しかった思い出話と来年のバカンスの計画に夢中。イタリア人も夏のバカンスにかける情熱は、熱い。そんなバカンスの本場・イタリア出身の歴代駐日イタリア大使が夏を過ごした場所こそ、奥日光の入口にある中禅寺湖畔なのです。
7、8月の真夏でも平均気温17〜18度という冷涼な気候と豊かな自然に囲まれた中禅寺湖。蒸し暑い日本の夏を快適に過ごす最高の避暑地として、外交官の別荘が次々に建てられた国際避暑地として発展しました。招待されなければ、まず見ることのできない、外交官の別荘とは、いかなる場所なのか気になりますね。
平成9年までイタリア大使館の別荘として利用されてきた建物と敷地が一般に公開されています。数多くある別荘の中でも一般公開されている施設はこちらのみ。歴代大使が「世界一」と称賛した風景を見ることができるのです。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る昭和3年から平成9年に至るまでイタリア大使館の別荘として利用されてきた建物と敷地は、平成10年に栃木県が買い取りました。その後、建具や家具を再利用しつつ復元し、整備して記念公園として一般公開しています。
湖面を正面に臨む開放的な広縁など、中禅寺湖の美しい景観を最大限に生かした設計になっています。木漏れ日の森に美しく映える本邸の設計は、外交官でもあるアントニン・レーモンド。旧帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトのもとで学んだ建築家のひとりでもあります。
日本建築と西洋建築が融合した建物には、この地方の杉が多く使われています。外壁の市松模様は、杉の皮を巧みに組み合わせて装飾されています。日本の感性とはまた違う個性的なデザインが随所に見られ内装や、インテリアなども必見。人工物を使用していない自然素材で建てられているので、奥日光の森の空気がそのまま漂っているような気持ちのいい空間です。
写真:鮎川 キオラ
地図を見るところで、日本人も普通に使うようになった「バカンス」。本当の意味をご存知ですか?語源となったラテン語「Vuoto」には、「空っぽ」との意味があります。つまりは、「バカンス」とは、何んにもしないこと。
美しい景色を眺めながら、読書をしたり、お昼寝したり、コーヒーを飲んだりとまったりと過ごして、日ごろのストレスから解放されることが、本場のバカンススタイルです。
こちらの別荘に入ると、極上の空っぽの時間を楽しむ空間が見事に揃っています。各部屋の目の前には、キラキラと光る中禅寺湖の湖面。窓を開ければ、スーッと涼しい風の通り道がお部屋に生まれます。この場所で夏を過ごすなら、ココロも身体もリセットできる素敵な空間です。
人影がまばらな時間帯に訪れてこそ、歴代イタリア大使が過ごした贅沢な時間をより堪能することができるでしょう。訪問者が少ない午前中を狙うのがお勧めです。
開放的なリビングの一角には、執務デスクが置かれています。多忙な大使は、避暑地でも執務をこなしていたそうです。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る日光いろは坂を登った先にある中禅寺湖は、日本一標高の高い湖と言われています。約2万年前、男体山の噴火で流れ出た溶岩により堰き止められてできた湖です。周囲25km、最大水深163mの大きな湖の標高は、1,269m。
標高が高いことから、刻一刻と表情を変えるので、1日眺めていても見飽きることがありません。太陽の日差しに湖面が真っ青に輝くと思えば、雨が近づいてくると霧に包まれ幻想的な風景に早変わり。雨がサーッと降り注ぐと、緑がしっとりと濃く美しい。ぜひ時間に余裕をもってお出かけいただき、移ろう風景と自然の音に耳を傾けてほしい場所です。
明治中ごろから昭和初期にかけて各国の大使館別荘が立ち並んだ中禅寺湖畔。「夏になると外務省が日光に移る」と言われるほど大使の避暑地として栄えた歴史があります。ベルギーやフランスの大使館別荘が現在も利用されています。もちろん自由に敷地に入ることは許されていません。
現在、一般に開放されている別荘は、栃木県が管理しているイタリア大使館別荘記念公園のみとなります。日光方面へご旅行の際は、大使気分で優雅なバカンスを楽しんでみてはいかがでしょうか。
【イタリア大使館別荘記念公園】
栃木県日光市中宮祠2482
0288-55-0880(日光自然博物館内)
開館期間:4月1日から11月30日
開館時間:
4〜6月、9〜11月は、9:00から16:00
7〜8月は、9:00から17:00
入館料:無料(協力金として100円)
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(2024/12/4更新)
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