関東屈指のカモメの聖地「千葉県 銚子」の海岸線を歩こう

関東屈指のカモメの聖地「千葉県 銚子」の海岸線を歩こう

更新日:2021/02/02 10:27

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
関東地方の最東端に位置する銚子市は、日本最大の水揚げ量を誇る銚子漁港を始めとする漁業の町です。そんな魚の豊富な場所だからか、それとも漁師さんの「おこぼれ」に期待しているのか、冬から春にかけては海岸線にたくさんのカモメの仲間が集まります。しかも、ウミネコやセグロカモメなどの都心部でもよく見るカモメだけでなく、ちょっと珍しい種類が見られることも……。カモメの楽園 銚子の海岸を一緒に歩いてみましょう!

いざ日本最大の水揚げ量を誇る漁業の町へ!

いざ日本最大の水揚げ量を誇る漁業の町へ!

写真:鷹野 圭

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小学校時代の社会科の授業で、日本ではどの漁港が水揚げ量(魚介類の獲れる量)が多いか?等を勉強された方も多いことでしょう。釧路、境港、焼津、八戸……色々な漁港の名前が思いつくことでしょうが、実は2019年まで8年間連続で水揚げ量日本一に輝いているのがこの銚子漁港なのです。

幾つもの漁船が停泊する様は、まさに漁港の街の風景。場所によってはかなり近くで見ることもできます。また、近くには魚料理を提供する飲食店も多くあります。

いざ日本最大の水揚げ量を誇る漁業の町へ!

写真:鷹野 圭

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写真右側に見えるオレンジ色の花は、キダチアロエ。多肉植物で潮風に強く、銚子のような潮風を浴びやすい環境にも適応できる植物です。前述の通りカモメの観察で人気の銚子漁港ですが、道端のちょっとした植え込みなどからも「海」らしさが漂ってきます。散策時には色々なところに目を向けてみましょう。

いざ日本最大の水揚げ量を誇る漁業の町へ!

写真:鷹野 圭

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この写真は千人塚海難漁民慰霊塔という、かつて銚子で海難事故にあって亡くなった漁師たちを弔う供養塔のある高台から撮影したもの。海際でありながらかなり高い位置から漁港周辺を見晴らせるため、風景写真を撮りたい時にはおススメです。

波止場の先端に灯台が建ち、その向こうには広い太平洋が広がる……銚子ならではの絶景をお楽しみください。

広い広い銚子漁港。カモメは一体どこにいるのか?

広い広い銚子漁港。カモメは一体どこにいるのか?

写真:鷹野 圭

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銚子はカモメの一大飛来地……とは言っても歩道を普通に歩き回っているわけではありません。カモメたちもやはり野鳥なので、極端に人に近づくことは嫌います。彼らがよく姿を現すのは、岸から運河を挟んだところに延びる波止場。どうしても数十メートルは離れた位置になってしまうため、観察する際にはズームできるカメラや双眼鏡を必ず持参しましょう。

細長い波止場にズラリとカモメが並ぶ姿はまさに圧巻。また、カモメの他にも、ウミウやアオサギなどの水鳥もよく一緒に羽を休めています。

広い広い銚子漁港。カモメは一体どこにいるのか?

写真:鷹野 圭

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カモメの仲間は種類を問わず、主に魚などを捕らえて食べる肉食性の鳥。ずっと波止場で日向ぼっこしているわけにもいかず、たまには海に降りて魚を捕まえようとします。ウミウなどのように潜水することはできないため、水面近くに魚が上がってきたタイミングを狙って捕獲しています。また、小型のカモメは海面近くを飛びながら、時折クチバシを水中に突っ込んで魚を捕らえようとすることも。

たいていの場合、1羽だけでなく、写真のように集団で食事しようとします。この時は結構岸の近くにも寄ってきますので、観察・撮影のチャンス! ダイナミックな動きのあるシーンを狙い撮るのもいいでしょう。

広い広い銚子漁港。カモメは一体どこにいるのか?

写真:鷹野 圭

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銚子漁港周辺の海岸線は、何も整備された波止場ばかりではありません。漁港よりやや南下すれば、写真のように「自然」な雰囲気の岩場も見られ、こちらでもカモメの集団が羽を休めています。時に大きな波が打ち付ける岩場に佇むカモメの姿は、どこか勇ましく、厳しい自然に生きる命の「力」を感じさせてくれることでしょう。

波が高ければ高いほど迫力は増しますが、危険なので程々に。実際この海岸の近くには座礁・沈没した船の犠牲者を慰霊する石碑が建てられており、海の美しさだけでなく恐ろしさもまた知らされるスポットとなっています。

こんな細かな差ではわからない? 珍しいカモメたち

こんな細かな差ではわからない? 珍しいカモメたち

写真:鷹野 圭

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一般的に東京湾などでよく見かけるカモメは、セグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメ辺り。この3種は銚子漁港でもよく見られるのですが、時折彼らの群れの中に、ちょっと色や形の異なるカモメが混じっていることがあります。そうした珍しいカモメを探すことこそが、ここでのバードウォッチングの醍醐味。

写真の鳥はセグロカモメによく似ていますが、初列風切という尾羽に見える部分がグレーであることがわかります(セグロカモメは黒)。これは「ワシカモメ」といい、全く別の鳥なのです。クローズアップで観察してようやく気付くくらいの細かな差ですが、こうした微細な差を見極められるようになると、鳥を観察する楽しさは大きく膨らみます。

こんな細かな差ではわからない? 珍しいカモメたち

写真:鷹野 圭

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続いてこちらのカモメ。今度は初列風切が真っ白で、身体全体も白みを帯びているように見えます。見た目の通り「シロカモメ」といい、上記のワシカモメと比べると一目で差がわかるのが嬉しいところ。群れの中に交じっていても、白い身体がとてもよく目立ちます。

ちなみにこのシロカモメ、若鳥の時は全身がほぼ完全に真っ白になります(写真は成鳥し切った個体)。銚子漁港でもたまに見かけるので、ぜひ探してみましょう。

こんな細かな差ではわからない? 珍しいカモメたち

写真:鷹野 圭

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3種目はこちら。クチバシ全体が黄色く、脚も黄色いところがセグロカモメと大きく異なります。これは「カモメ」です。

そんなことわかっているから具体的に……と仰られるかもしれませんが、実際に「カモメ」という名前の鳥なのです。いかにもカモメ科の代表格と言わんばかりの飾らない名前ですが、あいにく銚子漁港ですら多くは見られない種。もしお友達が「東京湾にカモメがたくさんいたよ」と言ってきても、本種ではないと考えていいでしょう。

この他にも色々な種がいますが、とても複雑なので到底解説し切れません。普段見かけないカモメを見たらその都度写真に収め、後で図鑑やネットで識別するといいでしょう。

なぜか「黒いの」ばかり? 銚子漁港のカモメ以外の水鳥達

なぜか「黒いの」ばかり? 銚子漁港のカモメ以外の水鳥達

写真:鷹野 圭

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全身が真っ黒でクチバシだけが黄色い……こんなカモを見たことがあるでしょうか? 見た目の通り「クロガモ」といい、関東地方では冬にしか観察できない渡り鳥です。年によって飛来数のバラツキが大きく、見られる時は大群で海に浮かんでいますが、いない時はほとんど見かけません。

なぜか「黒いの」ばかり? 銚子漁港のカモメ以外の水鳥達

写真:鷹野 圭

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こちらは「クロサギ」。名前の通り、サギの仲間でありながら全身が黒灰色です。淡水の池や川を好むコサギやダイサギなどと違って、本種は海岸線を好むらしく、銚子漁港以外にも海際で見られることがあります。

写真のように、険しい岩場も何のその。器用に岩を渡りながら時折魚を捕らえる姿は、なかなかカッコいいものです。

なぜか「黒いの」ばかり? 銚子漁港のカモメ以外の水鳥達

写真:鷹野 圭

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カモメ以外の鳥 3種目もまた黒い鳥……。これは「ヒメウ」といい、カワウやウミウなどのウ(鵜)の仲間です。一般に「ヒメ○○」という名前の生きものは他の種と比べてサイズが小さいのですが、このヒメウも例外ではありません。カワウなどと一緒にいると、サイズが明らかに小さいことがわかります。それ以外に顔が真っ黒な所も識別のポイント。割と簡単に見分けられることでしょう。

数は多くありませんが、毎年のように銚子漁港に飛来します。

漁港から少し足を延ばしてみよう!

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写真:鷹野 圭

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関東地方の最東端に位置する銚子市。その中でも最東端に聳えているのが有名な犬吠埼灯台です。切り立った崖の上に立つ姿は実に雄大! 近くには飲食店なども充実しており、見晴らしもいいので、ぜひ一度は足を運んでみましょう。銚子漁港からは離れているため、自家用車や銚子電鉄を利用するのがおススメです。

漁港から少し足を延ばしてみよう!

写真:鷹野 圭

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ここは屏風ヶ浦。銚子市から隣の旭市にかけて伸びる大きな崖で、高さは40〜50m。国の景勝地にも選ばれています。写真のように遊歩道があり、崖の目の前を歩けるのが嬉しいところ。その雄大さから、ドラマや映画等の撮影でも使用されています。

漁港から少し足を延ばしてみよう!

写真:鷹野 圭

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最近鉄道ファンに人気のローカル線ですが、その中でも評判なのが銚子鉄道。沿線の名産品やアニメなどとコラボレーションするなど、一時は廃線の危機に晒されながらも奮起しています。最近では町おこしのツールとして、地元でも大変愛されている様子。銚子駅からのんびり乗車してみるのもいいでしょう(写真は犬吠駅)。

銚子漁港の基本情報

住所:千葉県銚子市新生町
電話番号:なし
アクセス:JR「東京駅」より高速バス「犬吠埼太陽の里行」乗車、「高速川口」停留所で下車(乗車時間約2時間30分)徒歩約10分。

2021年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/02/24 訪問

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