写真:モノホシ ダン
地図を見る8620形78675号機が展示されているのは、奈良県五條市の五條市民俗資料館前。かつて和歌山線などで活躍した蒸気機関車で、1925年(大正14年)に製造され、引退まで地球を約64周しました。雄大な金剛山麓を走り続けたことと、8620形の愛称のハチロクから「金剛・ハロー号」と名付けられています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」に登場する無限列車とは、蒸気機関車が牽引する客車列車で、機関車番号が「無限」のためそう呼ばれます。
映画制作サイドでは、この機関車のモデルを、8620形と公表しているわけではありません。しかし、物語の時代設定と同じ大正時代の製造であること、機関車の頭頂部で蒸気をためる二つのこぶや、旅客用機関車の特徴である大きめの動輪など、細部までじつによく似ていることが分かります。
写真:モノホシ ダン
地図を見るさらに映画との類似点としては、除煙板(デフレクター)が無いこと。除煙板は、ボイラー前端または、煙突の左右両側に設置され、走行時に車両前方からの空気の流れを上方に導くことで、煙突から排出される煤煙を上へと流し、運転台からの前方視界を改善する効果があります。
8620形は、製造当初、除煙板がありませんでした。しかし、のちに、除煙板が追加装備された8620形も出現しました。
写真:モノホシ ダン
地図を見るところで、この8620形は、付番法がじつにややこしい事でも知られています。1号機は8620、80号機は8699となりますが、81号機を8700とすると、既に存在している8700形式と重複します。そこで、81号機は、万の位に1を付けて18620としました。
その後も同じく、下2桁を20から始め、99に到達すると次は、万の位の数字を1繰り上げてふたたび下2桁を20から始めるという付番法としました。しかし、これだけでは分かりにくいため、ナンバーと製造番号を対応させる公式が考え出されました。
それは、万の位の数字×80+(下2桁の数字−20)+1=製造順となります。写真の、78675号機の場合、7×80+(75−20)+1=616。つまり616両目となるわけです。8620形の製造数は672両ですので、製造年だけを見ると、比較的新しい車両であるといえるでしょう。
写真:モノホシ ダン
地図を見る8620形の動輪は3つです。78675号機についているプレートは、すべて形式入りで、とても保存状態がいい車両といえます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る8620形の最大の特徴として、走行性能を高めるために、先輪と第一動輪(動輪のうち、一番前のもの)が結ばれていたということが挙げられます。そのため、カープに差しかかると第一動輪が少し横にずれて、高速でカーブを通過できるようになりました。
例えは適当ではないかも知れませんが、いまでいう「振り子式車両」のようなイメージでした。しかし、そのために、ほかの動輪に比べて第一動輪の摩耗が激しく、整備士泣かせだったとも伝えられています。
大正時代の名機といわれる8620形は、日本初の本格的生産に至ったテンダー機関車です。テンダー機関車とは、機関車に炭水車(テンダー)が接続された形式の機関車。テンダーには、ボイラーに投入する石炭および水が積載されました。
写真:モノホシ ダン
地図を見る冒頭でもご紹介しましたが、近畿地方では、ほかにJR西日本が所有している8620形があり、京都鉄道博物館にて動態保存され、SLスチーム号として活躍しています。
京都鉄道博物館の8620形につきましては関連MEMOの「京都鉄道博物館」のご紹介記事をご覧ください。
写真:モノホシ ダン
地図を見るほかに同じ敷地内にある、五條市民俗資料館では、明治維新のさきがけとなった「天誅組」関連の資料を展示しています。写真は、天誅組150年の碑と8620形78675号機。
写真:モノホシ ダン
地図を見る五條市民俗資料館は、1864年(元治元年)に建てられた五條代官所の長屋門を改修整備した天誅組関連の資料館。
天誅組は、明治維新に先立つこと約5年前の1863年(文久3年)に、吉村寅太郎ら約40名が、公卿中山忠光を擁して討幕の兵を挙げました。最初に五條代官所を襲撃、幕府領を朝廷直轄地とし、新政府樹立を宣言しました。しかし、ほどなくして朝廷内で政変が起こったため、一転して反乱軍となり、朝敵として幕府から追討される側に。
幕府軍の攻撃を受けた天誅組は、挙兵から約40日で鎮圧されてしまいましたが、草莽の志士達が蜂起した武力倒幕行動は、新政府樹立構想とともに「明治維新のさきがけ」として讃えられています。資料館の前には、“天誅組”と書かれた幟がはためいていますので、SLとともにおすすめのフォトスポットですよ。
写真:モノホシ ダン
地図を見る五條で、ほかに鉄道関係の遺構としては、「幻の五新鉄道 新町高架橋」が。五條から紀伊半島を縦貫し、和歌山県の新宮市までを結ぶ壮大な計画であった五新鉄道の高架橋です。
この未成線の遺構は、市内のいたるところに残されていて、五條新町にある連続アーチのコンクリート製高架橋は、1941年(昭和16年)に竣工したもの。
また、この高架橋は、奈良を舞台にした映画を撮影し続けている奈良県出身の映画監督、河瀬直美さんの作品『萠の朱雀』のロケ地にもなっていています。五條を訪れたら、SLだけでなく、江戸時代の街並みが残る商家町「五條新町」の散策を楽しむのもおすすめですよ。
<五新鉄道跡の基本情報>
住所:奈良県五條市新町1-10-20
アクセス:JR和歌山線「五條駅」より徒歩約20分 五條市民俗資料館から徒歩約10分
住所:奈良県五條市新町3-3-1
電話番号:0747-22-0450
休館日:月曜日と年末年始(SLは24時間見学可能)
開館時間:10:00〜16:00
入館料:無料
アクセス:JR五條駅から徒歩約15分
車利用の場合は、専用駐車場利用
2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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