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写真:木村 岳人
地図を見る狩浜地区の歴史は少なくとも中世にまで遡り、室町時代の文明11年(1479年)に記された『八幡愚童記』に「狩濱浦」の名が見られます。元は鰯漁を行なっていた漁村で、農業は川沿いの土地を拓いて米や麦、豆類や雑穀類を作る程度でした。その後、江戸時代の後期に痩せた土地でも育つ甘藷(サツマイモ)が導入され、また地域を治める吉田藩が木蝋の原料となる櫨(ハゼ)の栽培を推奨したことにより、山の中腹にまで畑が築かれるようになりました。
写真:木村 岳人
地図を見る明治時代の中期になると鰯が不漁となり、一方で養蚕が盛んになったことで蚕の餌となる桑の木を植えるべく石垣の新設や築き直しによって段畑が拡張されました。昭和に入ると養蚕が衰退し、第二次世界大戦で食料増産の必要に迫られたことから再びサツマイモや麦が作られるようになり、戦後は柑橘類の栽培が行なわれるようになりました。
写真:木村 岳人
地図を見る狩浜地区の散策は、来訪者用の駐車場が用意されている狩江公民館の前から始めるのが良いでしょう。段畑散策コースの案内標識や道標もありますので、それに従って歩けばスムーズです。なお、集落内の路地や段畑の農道は道幅が狭く、作業の邪魔になりますので車両の乗り入れは遠慮しましょう。
写真:木村 岳人
地図を見る狩浜地区は標高400m程の山地から続く3本の枝尾根が作り出した谷間の扇状地に位置しており、中央尾根の先端に鎮座する春日神社を境に南側の「本浦」と北側の「枝浦」の2集落に分けられます。いずれも昔ながらの趣きを残す集落ですので、段畑見学の前にまずはその風情を味わってみてください。
写真:木村 岳人
地図を見る集落内は地形に合わせて路地を通しており、各家は主屋を南面して建て、作業場である前庭の周囲に付属屋を配しています。主屋は平屋もしくは二階建てが大半で、特に二階部分を蚕室としたものは「オリヤヨウザン」と呼ばれ、通気のための気抜き屋根を残す家も見られます。
写真:木村 岳人
地図を見る付属屋は隠居屋や蔵、納屋など暮らしを伝えるものの他、櫨蔵や機(ハタ)屋、養蚕小屋、蜜柑小屋など、時代と共に移り変わってきた生業を伝えるものも多く残っています。外壁の板張りに船材を用いている蔵もあり、実に個性的な家並みを目にすることができます。
写真:木村 岳人
地図を見る集落を抜けて農道を進んでいくと、すぐに山の上方まで続く段畑が眼前に迫ります。集落を取り囲む斜面の全域に渡って段畑が広がるその光景は見事の一言。青々とした柑橘樹と白い石垣のコントラストが目に鮮やかで、思わず息を呑む迫力と美しさです。
同じ農業景観でも棚田などは田植えや稲刈り等により季節によって様相が変わりますが、柑橘樹は落葉しない常緑樹ですので、一年を通して変わらぬ景観を目にすることができるのもポイントです。
写真:木村 岳人
地図を見る狩浜地区の段畑は標高200メートル前後まで約130haに渡って築かれており、中には100段を超える斜面も存在するというから驚きです。
写真:木村 岳人
地図を見る狩浜地区の段畑は奥行き3m前後で段を設け、両脇には水路を通しています。石垣は直線的に築かれており、高さは1m前後。それより高いものは反りを持たせ、堂々とそそり立つその様相はまるで城壁のようです。
写真:木村 岳人
地図を見る石垣に用いられている石材は、いずれも地区内に露頭する石取場から切り出したものや、開拓時に掘り出したものなど、身近で採れるものを活用しています。石積みの作業は名人を雇ったり、家族総出で行なうなど、農閑期にコツコツ築き上げました。
写真:木村 岳人
地図を見る水路の脇や段畑内には移動のための通路や階段が設けられています。集落から各家の畑へと向かう共通路は「カッテミチ」、個人の畑にあるものは「コミチ」と呼ばれ、中には山を越えて他の集落へと続く路地も存在します。
写真:木村 岳人
地図を見る今でこそ農業用モノレールが敷設されていますが、かつてはこれらの路地を歩いて畑間の移動や作物の運搬を行っており、その苦労は並大抵のものではありませんでした。また現在も石垣の維持には膨大な労力が必要であり、この美しい段畑の光景は地元の方々の努力によって支えられ、現在にまで受け継がれてきたのです。
住所:愛媛県西予市明浜町狩浜
アクセス:宇和島駅から宇和島バス吉田支線「田之浜」行きで約60分、「狩浜」バス停下車
2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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