奇岩連なるパノラマ山行!滋賀・金勝(湖南)アルプス登山ガイド

奇岩連なるパノラマ山行!滋賀・金勝(湖南)アルプス登山ガイド

更新日:2021/01/13 09:53

土庄 雄平のプロフィール写真 土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー
全国各地のご当地アルプス。標高は低いものの、日本アルプスに遜色ない大展望が味わえるため、マニアな登山客から人気を集めています。滋賀県南部の金勝(湖南)アルプスもその一つ。標準タイム往復4〜5時間ほどで、誰でも手軽に挑める里山ながら、渡渉や奇岩連なる尾根歩き、琵琶湖の大パノラマを味わうことができ、600m弱ほどの標高から考えれない充実した内容。変化に富み、アスレチックな登山道が冒険心をくすぐります。

渡渉や変化に富んだ景観を楽しみつつ、落ヶ滝線を進む!

渡渉や変化に富んだ景観を楽しみつつ、落ヶ滝線を進む!

写真:土庄 雄平

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金勝(こんぜ)アルプスへの登山口となるのは、大津市南東の外れにある一丈野駐車場。桐生キャンプ場へ向かう手前にあります。駐車料金500円を払ったら、早速入山しましょう!

金勝アルプスには様々なコースがありますが、王道は落ヶ滝線から天狗岩尾根の周回ルート。最短で往復でき、変化に富んだ登山道が楽しめます。登山口にはわかりやすいマップもあり、登山道のどこでも電波が立っているので安心です。

なお分かりにくいため、はじめに説明しておきますが、金勝アルプスとは、鶏冠山〜竜王山に至る峰々の総称。しかし、その中間にある「天狗岩」の代名詞として使うこともしばしば。今回のルートは「天狗岩」のみを目指す内容になります。

渡渉や変化に富んだ景観を楽しみつつ、落ヶ滝線を進む!

写真:土庄 雄平

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北谷林道から入山し、歩くこと約5分。綺麗な沢を縫うように登山道が続き、合計で6〜7回の渡渉が現れます。単調になりがちな登山の前半ですが、ゲーム感覚で山歩きを楽しめるのがポイント!マイナスイオンも気持ちがいいです。

周囲には花崗岩が散在していますが、これは後ほど紹介する金勝アルプス稜線への伏線です。

渡渉や変化に富んだ景観を楽しみつつ、落ヶ滝線を進む!

写真:土庄 雄平

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スタートから約15分ほど、分岐が現れるので進んでいくと、金勝アルプスの山麓に佇む名瀑「落ヶ滝」へと到着。花崗岩の一枚岩を垂直に水が伝って流れており、水量こそ少ないものの、ダイナミックで見応えのある滝となっています。

なお正規ルートは分岐まで戻ってから再び登るルートになります。落ヶ滝の隣から登れる登山道もありますが中級者向けのバリエーションルートなので、注意しましょう。

奇岩連なる尾根と大展望。これが「金勝アルプス」だ!

奇岩連なる尾根と大展望。これが「金勝アルプス」だ!

写真:土庄 雄平

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分岐へ戻ってきたら、天狗岩方向を目指します。ここからが登りの本番です。小さな谷を進む道や、美しい樹林の道、時折簡単なロープワークなどが続いていきます。

まるでアスレチックをこなしている感覚が楽しく、ロープを使えばリスクもないため、初心者の人でも満喫できるはず!無我夢中に進んでいると、いつのまにか標高が上がったことに気づくでしょう。

奇岩連なる尾根と大展望。これが「金勝アルプス」だ!

写真:土庄 雄平

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スタートから1時間〜1時間半ほど、三叉路についたら、いよいよ「金勝アルプス」の核心部に入ります。天狗岩方向へ進み、馬の背についたら、そこには峰々の先に琵琶湖を望むパノラマが!

金勝アルプスの別称が“湖南アルプス”という名前の意味が分かる絶景です。乱立する奇岩と山肌の対比も、渓谷美としてたいへん見応えがあります。

奇岩連なる尾根と大展望。これが「金勝アルプス」だ!

写真:土庄 雄平

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そして、とうとう金勝アルプスの山頂「天狗岩」が眼前に広がります。より尾根が鋭利になり、さながら北アルプスの燕岳(つばくろだけ)を彷彿とさせる山容。標高400m〜500mほどで、これほど存在感のある山は中々ありません。

もしかしてこの岩峰を進むのか!?と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが大丈夫。この奇岩を縫うように道を歩いていきます。山頂まで残り15分ほどです。

圧倒的な大パノラマが待つ!金勝アルプス山頂「天狗岩」

圧倒的な大パノラマが待つ!金勝アルプス山頂「天狗岩」

写真:土庄 雄平

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岩尾根から一旦標高を下げ、樹林帯を経て、大きな岩へとたどり着いたら、山頂は目と鼻の先。ロープワークをこなし、岩盤の上を進み、山頂を目指します。「本当にこんな道をいくのか!?」と、クライマックスが一番スリルがあり、冒険心をくすぐる内容になっています。

しっかり手でロープや岩を持ちながら、岩盤に描かれた矢印マークに従って進んでいきましょう!

圧倒的な大パノラマが待つ!金勝アルプス山頂「天狗岩」

写真:土庄 雄平

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そして狭い岩々の間を進み、一番大きな岩の上に立てば、そこが「天狗岩」山頂です。高度感抜群で、360度の大展望が待っています。湖南市や竜王町などの湖東の内陸、大津や琵琶湖方面まで一望可能です。まさに琵琶湖の南半分を俯瞰できます。

青空が鮮やかで、優しく吹く風がとても気持ちよく、山頂に到達した達成感と充実感が感じられるはず。

圧倒的な大パノラマが待つ!金勝アルプス山頂「天狗岩」

写真:土庄 雄平

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どの方角の風景も素晴らしいですが、中でも一番おすすめなのは、北東の景色。天狗岩と連なる鶏冠山と、金勝アルプスと呼ばれるゆえんになっている岩尾根、そして遠くには近江富士と呼ばれる三上山が佇んでいます。

奥行きがあり、どこまでも緑が続いていく絵は、標高の低い山からみたパノラマとは思えない、引き込まれる絶景です。

アルプスと富士山が隣り合う。「天狗岩尾根」を下る!

アルプスと富士山が隣り合う。「天狗岩尾根」を下る!

写真:土庄 雄平

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山頂のパノラマを満喫したら下山を開始します。山頂がハイライトではなく、下山するまで楽しいのが「金勝アルプス」の醍醐味です。

天狗岩尾根の特徴は、奇岩を縫いながら急斜面を下っていくロープワーク。とても面白いコースですが、砂利の斜面は滑りやすいので注意が必要です。

アルプスと富士山が隣り合う。「天狗岩尾根」を下る!

写真:土庄 雄平

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そんなアスレチックをこなしながら、絶景パノラマを楽しめるのもポイント!山頂から10分の場所には、天狗岩の岩峰を見渡す展望台が設けられ、下れば下るほど、遠く三上山の山容が、天狗岩へ近づいてきます。

金勝アルプスの顔・天狗岩と、滋賀県の郷土富士・三上山がコラボレーションする風景は、この尾根ならではの特権。アルプスと富士山が近接するのは、全国でも稀有でしょう!

アルプスと富士山が隣り合う。「天狗岩尾根」を下る!

写真:土庄 雄平

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天狗岩尾根をある程度下ると、引き続き尾根をとるルートか、沢沿いへ降りていくルートを選べます。ここでは後者がおすすめ!なぜなら、変化に富んだ「金勝アルプス」を最後まで味わえるからです。

岩々の荒涼とした大迫力の景観とは異なり、透明な沢が静かに流れていく景観は、極上の癒し。金勝アルプスの育む、都会とは隔絶した自然を満喫しましょう!

圧倒的な満足度の低山「金勝アルプス」登山

圧倒的な満足度の低山「金勝アルプス」登山

写真:土庄 雄平

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登山といえば、標高が高い山を思い浮かべがちですが、実は標高の低い“低山”にも魅力的な山が日本には数多くあります。中でも、今回紹介した金勝アルプスは、その筆頭格!山麓に育まれる大自然と、アスレチックな岩尾根縦走、滋賀県南半分を見渡す大パノラマを、ぜひ一度味わって見てはいかがでしょうか?

金勝アルプスの基本情報

住所:滋賀県大津市上田上桐生町
アクセス:草津田上ICから一丈野駐車場まで車で約15分。駐車場から入山後、落ヶ滝を経て天狗岩山頂まで2時間〜2時間半。天狗岩山頂から白石峰、天狗岩尾根を経て、駐車場まで1時間半〜2時間 ※駐車料金 500円

<備考>
・あらかじめ関連MEMOで、マップをコピーして持参するのがおすすめです。
・ロープワークが多いため、軍手やグローブを持参。グリップ力の高い靴を履いていきましょう。(スニーカー、トレッキングシューズ)
・カメラなどの撮影機材や腕時計は傷つけやすいため、カバンにしまって携行しましょう。

2021年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/11/28 訪問

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