京急「横須賀中央駅」は横須賀市の中心地、東口改札を抜けると「Y(ワイ)デッキ」と呼ばれる開放的なスペースが広がっています。Yデッキは2階にあり、街を見渡すビューポイントでもあります。
このデッキではジャズの街・横須賀を象徴するブロンズ像が迎えてくれます。楽器のアルトサックスを鳴らしている黒川晃彦(1946年〜)の作品《吹く》です。横須賀にはかつてアメリカの海軍下士官集会所「EMクラブ(EMLISHD MEN`S CLUB)」があってジャズの聖地とも呼ばれ、現在でもジャズをはじめ街中で多くのコンサートが開かれています。
駅の正面、市役所に向かう「若松通り」を背景に立っているのは同じ作家の《歩く》です。まるでカラスが音楽を聞いているようです。Yデッキの中央にある花壇やベンチには鳥たちも集まってきます。
もう1体、同じ作家の《見上げる》があります。3体とも1997年に設置されました。黒川晃彦の楽器を演奏する人物像には全国各地で出会うことができます。
Yデッキから若松通りを数分直進すると米が浜通りとの交差点に、澄川喜一(1931年〜)の彫刻《譜》(1990年)があります。タイトルと黒い御影石から音符の形を思い浮かべます。澄川は東京スカイツリーのデザイン監修をしたことでも知られる彫刻家で、全国各地に野外彫刻が展示されています。
交差点のはす向かいの作品は、青空に延びる金属のオブジェ・小田襄(1936〜2004年)の《風景の記憶》(1990年)です。上のほうは、丸と四角の形が組み合わされ、鏡の面に周りが映り込んで、見る場所を変えると違った風景を見つけることができます。このように人や物を表わさない彫刻などは、形やタイトル、素材などからイメージを膨らませて楽しんでみましょう。
彫刻の足元の道路には波のように並んだタイルが続いて、海に向かっています。途中には灯台型の車止めがあります。横須賀市では、このように海のモチーフなどでヨコスカらしさを活かした楽しさを演出しています。波、船、船のハンドル舵輪(だりん)などの形を探してみましょう。
若松通りを進み、国道16号線を渡り、警察署の前を右に曲がるとヤシの木が並ぶ「よこすか海岸通り」です。ここは、JR横須賀駅から観音崎公園までの海沿いの遊歩道「10,000メートルプロムナード(うみかぜの路)」の途中にあります。
木立やベンチを過ぎると、カラフルな壁が見えてきます。「YOKOSUKA GENIC STREET(ヨコスカジェニックストリート)」略して「スカジェニ」、『「YOKOSUKA」から「世界」へ「LOVE」を発信』をテーマにしたウォールアートが2020年11月に設置されました。5点の壁画が50メートルのゆるやかなカーブに描かれています。
壁を背景に撮影も楽しめます。壁画にはテーマに合わせた文字も描かれ、体で文字の形のポーズを取るのもおすすめです。大きなアルファベットにはポーズがしやすいようにつかまる場所も用意されています。
また、スカジェニを映した写真(動画は不可)を見せると割引や、抽選でプレゼントがもらえる「#スカジェニSNS投稿キャンペーン」が2021年4月30日まで開かれています。挑戦してみてはいかがでしょう。
左端に見える赤いハートマークにはQRコードがあって作品やキャンペーンの詳しい情報につながります。
スカジェニを描いたのはプロのアーティストや地元の高校生です。作家名とタイトルをハートマークから近い順に紹介します。壁がカーブして全作品をお見せできませんが、是非見に行ってください。鮮やかな色とスケールに驚きます。
福島隼《My home is here》、ふるやともよ《LOVE PORT》、和田優紀《世界はバラ色》、YAJ(ヤジ)《DANCE(ハートマーク)》、小中大地(ゴブリン博士)《横須賀ゴブリンプロジェクト》
見晴らし台に上がると、猿島が見えます。うみかぜの路は海岸沿いに、うみかぜ公園、馬堀海岸、観音崎公園へと続いています。
<YOKOSUKA GENIC STREETの基本情報>
住所:神奈川県横須賀市日の出町 よこすか海岸通り
アクセス:京急横須賀中央駅から徒歩15分
電話番号:046-822-8173(横須賀市経営企画部企画調整課)
よこすか海岸通りを戻って、警察署のさらに先へ、諏訪小学校のあたりから右に進むと「三笠公園通り」です。世界三大記念艦「三笠」がある「三笠公園」から米海軍基地の三笠ゲートまでの遊歩道で、海に関わるデザインが約300メートル続きます。ここもうみかぜの路の一部です。
三笠ゲート近くから三笠公園通りが奥まで見渡せます。手前の作品は井上武吉(1930〜1997年)の《my sky hole 87-3》です。《my sky hole》のタイトルで球体などの作品も多くつくっています。弧の形をした作品に映る景色も作品の一部、ぐるりとまわって何が映るのかを楽しんでください。
花壇には湯原和夫(1930年〜)《未来への六分儀》、「六分儀が船舶の位置を知るためのものであるように、人間の未来への発達にプラスになる原点のモニュメントである」と作家の言葉が添えてあります。
水辺に佇む少女像は山本正道(1941年〜)の《水辺にて》、少し離れて向かい会うカモとセットの作品です。思わず少女の顔をのぞき込んでお話がしてみたくなります。山本は横浜・山下公園にある《赤い靴をはいてた女の子》像の作者でもあります。後ろにチェーンで囲まれているのは、1974年に横須賀で誕生した練習帆船の日本丸を3分の一にしたモニュメントです。彫刻やモニュメントは1987年に設置されました。
ここからは、三笠公園まで足を延ばしてもよいし、繁華街を通って横須賀中央駅まで15分、ドブ板通りを通って汐入駅までは20分ほどです。
<三笠公園の基本情報>
住所:神奈川県横須賀市稲岡町82
アクセス:京急横須賀中央駅から徒歩15分
電話番号:046-824-6291(三笠公園管理事務所)
市役所と郵便局に近い「市役所前公園」は花と水辺がある休憩スポットです。スカジェニから三笠公園通りの途中に立ち寄ってはいかがでしょう。ここではさまざまなイベントも開かれています。
写真は歩道脇にあった舵輪の車止めです。街のあちこちにヨコスカをイメージする形があります。見つかりましたか。
日が落ちると街の雰囲気が変わります。横須賀中央駅を通る「中央通り」にはベンチに座ったミュージシャン像があります。1989年に美大生が協力して制作したものです。Yデッキの彫刻より若い男性像で、少し大きい型のテナーサックスを持って、何か考え混んでいるようです。隣に座ってみませんか。
横須賀中央駅から出発した散歩はいかがでしたか。散歩のあとには、駅を降りた時とは違った街に感じるかもしれません。
Yデッキからつながっている横須賀プライムの2階には観光案内所「スカナビi」があり、散策マップや特産品が並んでいます。是非、立ち寄ってご利用ください。
2021年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/12更新)
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