写真:万葉 りえ
地図を見る奈良県の三輪、長崎県の島原…と産地はほかにもありますが、そうめんの全国シェアのトップとなっている「揖保乃糸」。「有名だけど、どこが産地?」そう思う方もいるでしょう。
生産されているのは、町の中心を揖保川が流れる兵庫県たつの市。ここは龍野(たつの)藩五万三千石の城下町で、武家屋敷や白壁が残り「播磨の小京都」ともいわれる場所です。
写真:万葉 りえ
地図を見るその市内にあるのが、そうめんについて知れる施設「揖保乃糸 そうめんの里」です。1階には様々なそうめん料理が味わえるレストランや売店があり、2階はそうめんの歴史などが学べる展示室。
あっ、もうすでに実演中のようですね…。
写真:万葉 りえ
地図を見る資料館のエリアに入れば、早速そうめん作りの様子が見られます。円盤状のかたまりがそうめんの素。小麦粉を水で練っているのでずっしりと重そうですよね。しかも、切り出したり、桶に整えながら入れていくのは中腰の作業です。かなりの重労働ですが、ここから「ねかし(熟成)」と「延ばし」を繰り返してそうめんが作られていくのです。
写真:万葉 りえ
地図を見るこちらになると、右と左とで桶の中の麺の太さが変わってきている様子が写真からもわかるでしょう。ずいぶん細くなってきていますよね。作業を楽にしてくれたこういう手動の機械なども資料館内に展示されています。
歴史を紐解けば、遣唐使が製麺方法を伝え、奈良県の三輪で作られだしたというそうめん。たつの市に近い揖保郡太子町の斑鳩寺(いかるがでら・聖徳太子が創建)には、600年以上前の古文書に「サウメン」の文字が残ります。そして、良質な小麦がとれ、赤穂の塩もあり、麺づくりに適した水も揃ったこの地は、江戸時代に藩の奨励もあってさらに生産が本格化したのです。
写真:万葉 りえ
地図を見るある程度麺が細くなったら2本の棒に8の字に巻いて、さらに熟成と延ばしを繰り返していきます。その工程の途中で行われるのが、麺同士が付かないようにする箸さばきです。
「作業している皆さん、ご苦労様」と言いたくなりますが、じつは全てリアルなマネキンさん。でも、作業していた様子がとてもよくわかるはず。
写真:万葉 りえ
地図を見るご紹介したように、そうめんは2本の棒に8の字に巻かれた後、熟成をはさみながら徐々に延ばされていきます。では、せっかくなのでその体験をやってみましょう。そうめんは一気に延ばすと切れてしまいます。引いてはもどし、引いてはもどし、を繰り返すという集中力がいる作業。説明があるのでしっかり読んでトライしてみましょう。
写真:万葉 りえ
地図を見るそしてこちらは箸さばきの体験コーナーです。さあ、そうめんの間に箸を上手く入れられるか!体験コーナーで挑戦してそうめん作りの技術を知ったら、これまで何気なく食べていたそうめんの味も今後は違ってくるかもしれませんね。
写真:万葉 りえ
地図を見る藩の奨励もあったとお伝えしましたが、多くの人がそうめん作りに従事すれば、やはり品質に差が出てきてしまいます。そこでこの地域では早い時期から取り決めを行い品質を保つ努力をしてきました。それが現在の兵庫県手延素麺協同組合へとつながっていきます。
では、そうめん料理を食べに、建物1階にある「レストラン庵」に行ってみましょう。冷やしそうめんの単品もありますが、このようにセット料理もあります。そうめん鉢で泳ぐ魚が涼を誘いますよね。
写真:万葉 りえ
地図を見るもちろん温かいにゅう麺もあり、なんと手延べ製法で作られた麺でラーメンだって味わえます。また、この地方で結婚式などに出される郷土料理「鯛そうめん」もアレンジされて人気のメニュー。
そして、限定ではありますが、試していただきたいのが「そうめん巻き寿司」です。さっぱりした甘酢味。ごはんとは違う触感は食べてみないとわかりません。
写真:万葉 りえ
地図を見る現在も受け継がれてきた独自の伝統技法を大事にし出荷される揖保乃糸のそうめん。加工場の様子などもこの建物内で見学できます。
そうそう、家庭で揖保乃糸をゆでる機会があれば、麺を束ねている帯をよく見てください。そこには生産者番号もしっかり刻印されているはず。それだけしっかりした品質管理の下で全国へと出荷されているのです。
写真:万葉 りえ
地図を見るそしてこちらは夏のお楽しみ。広い駐車場のそばに作られているそうめん流しのコーナーです。そうめん好きはもちろん、これは親子連れに大人気。混むこともあるので、資料館の見学などと合わせて予定を立てておきましょう。
写真:万葉 りえ
地図を見る最後はショップも忘れずにチェックしてください。
全国のスーパーなどでは、黒か赤の帯をした揖保乃糸そうめんを見ることが多いと思いますが、じつは紫や緑もあるのです。この帯の色は等級を表すもの。また、「古(ひね)」と表示されていれば、それは通常より長く寝かせて熟成させたものです。
珍しいところでいえば、手延べ製法で作られた中華めんやパスタ、そしてオリジナルのカップ麺などいかがでしょう。
揖保乃糸独自のコシやのどごしを味わえるレストランに、資料館。夏以外でもぜひたつのを訪れてみてください。
住所:兵庫県たつの市神岡町奥村56番地
電話番号:0791-65-9000
休館日:月曜日
アクセス:中国自動車道・山崎ICより25分 山陽自動車道・龍野ICより10分 姫路バイパス〜龍野バイパス・下伊勢ランプより7分
2021年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
万葉 りえ
いつもと違う風景の中で、新しい何かに出会ってみませんか。旅に出て、その地の歴史や関わった人々のことを少しでも知れば、感動はますます大きく、印象はずっと深くなるのではないでしょうか。過去に起きたことや人…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索