写真:小々石 曲允子
地図を見る浄蔵貴所は平安時代中期の天台宗の僧。葛城山、大峯山等で修験道の修行も行い、その卓越した法力・神通力で京の人々を驚嘆させました。平将門の乱の調伏、菅原道真公の祟りに悩む藤原時平への護持祈念(時平の耳から青竜に化した道真が現れ、中止すると時平は死去)等伝説は数知れず、また何度か予言も的中させています。
かつてあの世とこの世の境目とされ、百鬼夜行伝説が残る一条戻橋。安倍晴明が使役する式神が棲んでいたと云われますが、この「戻橋」という名は実は浄蔵に由来しています。父親の葬列がここを通った際、熊野帰りの浄蔵が駆けつけ加持祈祷を行うと生き返ったことから、今の名称になりました。
<基本情報>
住所:京都府京都市上京区堀川下之町
アクセス : 市バス「一条戻橋・晴明神社前」徒歩すぐ、「堀川今出川」徒歩約4分
写真:小々石 曲允子
地図を見る数多くの由緒ある寺社に祇園の花街と、古都の風情が現在でも残る東山界隈。そんな東山のランドマーク的存在としてメディアに登場することの多い法観寺・五重塔(八坂の塔)も、実は浄蔵と非常に関わりの深い場所です。
御所の方角に傾いてしまった八坂の塔を、浄蔵が祈祷の力でまっすぐに直してみせたという驚くべき話が伝わっています。また、塔に忍び込んだ盗賊が浄蔵に呪縛され動けなくなったとの伝承も!
後述する浄蔵ゆかりの八坂庚申堂が、元は法観寺の境内にあったとの話もあり、活躍の場となっていたようです。(現在の塔は室町時代、足利義政による再建)
<基本情報>
住所:京都府京都市東山区清水八坂上町388
アクセス : 市バス「東山安井」又は「清水道」徒歩約5分
写真:小々石 曲允子
地図を見る法観寺のすぐ近くに「八坂庚申堂(金剛寺)」というお寺があります。「くくり猿」が吊るされたカラフルな光景が人気のスポットですが、飛鳥時代に招来された御本尊の青面金剛を一般の人々も拝めるようにと、960年に浄蔵が開いたお堂でもあるのです。
庚申(青面金剛)信仰は、中国の道教思想の「三尸(さんし)説」を元に仏教や神道、修験道、民間信仰等が複合した信仰で、道教由来の鬼神である青面金剛も釈迦に出会って御利益を与える善神となったとされています。
尚、見ざる言わざる聞かざるの三猿は青面金剛の使いで、落ち着かぬ心をくくりつけて不動にし(くくり猿)、欲を一つ我慢することが願いを叶える秘訣とか。
写真:小々石 曲允子
地図を見るこのように八坂庚申堂は、青面金剛や三猿、また授与所脇にひっそりと座す庚申塚(昔、街道筋や村落の境界で疫病や悪霊を防いだ霊石)など、仏教のみならず庚申信仰を始め様々な信仰に通じた浄蔵貴所のハイブリッドな思想が反映されたお寺と言えます。
石の表面に太陽(陽)と三日月(陰)の形が刻まれた珍しい庚申塚にもご注目を!
<基本情報>
住所:京都府京都市東山区金園町390
アクセス : 市バス「東山安井」又は「清水道」徒歩約4分
写真:小々石 曲允子
地図を見る南区の住宅街にある「鎌達(けんたつ)稲荷神社」にも、浄蔵に絡む史跡があります。
鎌達稲荷神社は711年創建ですが、飛鳥時代の創祀で伏見稲荷より古いとの説もあり、「元稲荷」とも伝わる由緒ある神社。現在地に移転するまでは、安倍晴明の子孫・土御門家の鎮守社として梅小路に鎮座していました。
主祭神は倉稲魂大神と猿田彦大神で、こちらで鎌達様と称されているこの二柱の神は、幸運・勝負運を招き、奇跡を生む霊験があると云われています。
またこちらでは、大阪のサムハラ神社のお守りと同じくサムハラの四文字が刻まれたお守りが戴け、御祭神の御利益とも相俟り評判を呼んでいますよ!
写真:小々石 曲允子
地図を見るそして、こちらの神社でもう一つ注目すべきが、境内奥の「浄蔵貴所の塚」です。高名な人物の足跡や業績への敬意から建立された塔や碑も塚と呼ばれることがあり、この塚もおそらくそうした意味合いのものと思われます。
数々の怪異や奇跡を起こした浄蔵貴所、その塚の存在自体が実はこちらの神社の霊験・御利益に関係しているのではないかと見る人も。参拝時は是非この場所もお忘れなきよう!
<基本情報>
住所:京都府京都市南区唐橋西寺町57-1
アクセス : 市バス「西寺前」徒歩1分
写真:小々石 曲允子
地図を見る浄蔵は没前「死後、自分の塚に向かって願い求める人の願いを叶えたい」との旨を話したと伝わっています。
墓所は不明ですが、先述の鎌達稲荷神社と山口県の鏡山神社に塚が、そして金閣寺にも経緯は定かでありませんが「浄蔵貴所塔」という供養塔が残されています。
浄蔵貴所塔は受付所から庭園内に入ってすぐ、順路右手の植え込みの中にありますが、実はこの塔こそが知る人ぞ知るパワースポットで、傍らには「この塔にお参りすると浄蔵の不思議な力によって願い事が叶うとされている」との説明書きが。最後にこちらもおすすめしておきます!
<基本情報>
住所:京都府京都市北区金閣寺町1
アクセス : 市バス「金閣寺道」徒歩2〜3分
いかがでしたか?
浄蔵貴所は、修験者として大峯山に入山する姿が祇園祭の山伏山の御神体となっていることなどからも窺えるように、古の京都ではその超人的な能力でつとに知られた存在でした。しかし、なぜか現在では安倍晴明公らに比べるとその存在が広くは知られておりません。
今回ご紹介した浄蔵にまつわる場所は、どこもアクセスの良い場所ばかりですので、ご興味を持たれた方は足を運んでいただければと思います。
人知を超えた力が今も生きている、かも!?
2021年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
小々石 曲允子
小々石 曲允子(ササイシ マミコ)です。長年、昭和文化を偏愛しており、お出かけ先や旅先も昭和レトロ関連スポットが多数。懐かしいから好き、にとどまらず、当時のモノや文化の持つおおらかかつチャーミング、そ…
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