世界遺産決定!沖縄「ウフギー自然館」で貴重なやんばるの秘密を探る

世界遺産決定!沖縄「ウフギー自然館」で貴重なやんばるの秘密を探る

更新日:2021/08/03 12:53

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
国内の世界遺産の中で、数少ない自然遺産へ登録された沖縄県のやんばる地方。貴重なのはなんとなくわかるけれど…。そんな方に是非行っていただきたいのが国頭村にある「環境省 やんばる野生生物保護センター ウフギー自然館」です。ここは、世界でここだけにしかないやんばるの豊かな森を後世につなぐため、保護活動とともに、多くの人にやんばるの自然や生き物について知ってもらう施設。好奇心や探求心の種もいっぱいです。

美しい流れのそばにある「ウフギー自然館」

美しい流れのそばにある「ウフギー自然館」

写真:万葉 りえ

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漢字で表記するなら「山原」と書く、沖縄本島北部の「やんばる」。「やんばる」とは「山々が連なり、森が広がっている」場所のこと。その言葉通り、ここに広がるのが日本最大級の亜熱帯照葉樹林です。

日本国内に世界遺産はいくつもありますが、多いのは文化遺産。しかしここは、日本を代表する自然の風景地として国立公園に指定。そして、世界遺産の中でも国内の自然分野の登録は2021年のここが最後かも…と言われている貴重な場所です。

美しい流れのそばにある「ウフギー自然館」

写真:万葉 りえ

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環境省の「やんばる野生生物保護センター」。その建物があるのは、名護市から人気観光地である辺戸岬へ向かう58号線からすこし東へ入った場所。ご覧いただいた美しい水が流れる奥間川のそばにあります。

ここで、やんばるの環境保全や野生生物の保護・調査研究が行われているのですが、「ウフギー自然館」は多くの方にやんばるの自然や生き物について関心を深めてもらう施設。沖縄の言葉で「大木」を表す「ウフギー」という名がついたここは、特に親子旅にお勧めです。

国土のわずか0.1%なのに、たくさんの生き物が暮らす「やんばる」

国土のわずか0.1%なのに、たくさんの生き物が暮らす「やんばる」

写真:万葉 りえ

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国頭村、大宜味村、東村を中心とするこのやんばる地方は北緯27度付近に位置するのですが、この緯度を世界的にみると砂漠や乾燥地帯だらけ。でも、館内に入って床に広がる大きなやんばるの地図を見てもらうと、森が広がっているのがよくわかるはずです。

やんばる3つの村の面積を合わせても、日本の面積のわずか0.1%しかありません。それなのにこのやんばるには、日本にいる鳥類の50%、日本のカエルの1/4の種が暮らしているのです。

国土のわずか0.1%なのに、たくさんの生き物が暮らす「やんばる」

写真:万葉 りえ

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文字を読むのがまだ難しいお子さんでも大丈夫。写真の下部に写っているように、映像でもわかりやすく教えてくれます。だから、この貴重な自然がどうして生まれたのか。また、なぜここだけの生き物がこんなにも多いのかについて、そのヒミツがわかっちゃいます。

スズメ?ニワトリ?シチメンチョウ?ヤンバルクイナの大きさは?

スズメ?ニワトリ?シチメンチョウ?ヤンバルクイナの大きさは?

写真:万葉 りえ

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やんばるが他には替えがたい地域だとわかったら、次のエリアに進んでみましょう。

こちらでは海〜浜辺〜川〜森とをつなげて、実際にどんな生き物が暮らしているのかを紹介しています。やんばるの固有種として「ヤンバルクイナ」の名前は知っていても、では、大きさは?
卵を抱えている様子が実物大であらわされているので、確認してみましょう。

スズメ?ニワトリ?シチメンチョウ?ヤンバルクイナの大きさは?

写真:万葉 りえ

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館内の床に示されたヤンバルクイナの足跡に沿って進めば、やんばるに暮らす他の固有種もたくさん待っています。はく製や骨格標本、営巣木などで実際の大きさもわかるように展示されていますが、「オキナワ○○○」という名前からも希少種が多いことを知っていただけるでしょう。

こちらの写真でご覧のように、たくさんのモニターが並んで音や映像での展示も充実。また、展示にも工夫が凝らされているので、隠れている生き物を探してみましょう。

生き物をはぐくむやんばるの広葉樹

生き物をはぐくむやんばるの広葉樹

写真:万葉 りえ

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やんばるの森に多いのがスダジイやオキナワウラジロガシなどの広葉樹です。これらの木は生長していくと幹に空洞ができ、さらに年月が経つと樹洞ができます。ノグチゲラ(鳥類)、トゲネズミなどはこの環境を利用してこの森で生きているのです。

そんなやんばるに生息する生き物がいく種もある中で、こちらは日本最大の甲虫である「ヤンバルテナガコガネ」についてのコーナーです。暮らしている様子が立体的に説明されているので、特徴などもよくわかるはず。

でも、生息数が大変少なく絶滅が心配されているのです。そんな動植物を守るためにも、この保護センターの役割は大きいのです。

「自由研究」にも、この森を守るための次の一歩にも

「自由研究」にも、この森を守るための次の一歩にも

写真:万葉 りえ

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進化のこと、沖縄の自然環境のこと、保護活動のこと。展示されているものを見たり学んだりしているうちに子ども達の心に何かがわいてくる…ここには好奇心や探求心の種もいっぱいです。

館内の奥にはやんばるライブラリーもあり、子ども向けから専門的なものまでたくさんの書籍も揃っています。またテーブルもあるので、小さな疑問もそこで調べたりすればさらに実りある旅になるでしょう。

「自由研究」にも、この森を守るための次の一歩にも

写真:万葉 りえ

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長い長い年月、やんばるには肉食の哺乳類はいませんでした。ですからヤンバルクイナは飛ばなくても豊富にある地上のエサで生活できたし、オキナワトゲネズミもドングリや地表の虫を食べて暮らせたのです。そんな貴重な動物たちを危機にさらしたのが人間です。

人間が持ち込んだマングースや、人間が捨てた犬や猫によって、やんばるにもともと住んでいた生き物が個体数を減らしています。また、ヤンバルクイナやケナガネズミなどが人間が作った道路で事故の犠牲になっています。だからこそ欠かせない、やんばるを守るためのパトロール。この車と旅行中にどこかですれ違うかもしれませんよ。

さあ、「ウフギー自然館」をとおしてやんばるを知り、「やんばるの自然を守る気持ち」も沖縄土産の一つとして大事に持って帰ってくださいね。

環境省 やんばる野生生物保護センター ウフギー自然館の基本情報

住所:沖縄県国頭郡国頭村比地263-1
入館料:無料
休館日:毎週月曜日、祝日(みどりの日及びこどもの日を除く)、慰霊の日(6/23)、年末年始

2021年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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