写真:ぐれい クミコ
地図を見る太宰治は青森県の大地主の家に生まれ、学力も優秀な少年期を過ごしましたが18歳で敬愛する芥川龍之介が自殺した辺りから、どんどんと人生に暗い影を落としていきました。自殺未遂や薬物中毒などを乗り越え、なんとか生きたのち作家・井伏鱒二の紹介で30歳で再婚し東京の三鷹に転居。ようやく太宰の生活が安定し、作品は明るく健康的なものも発表され始めました。
写真はそんな太宰が移り住んだ三鷹の家を再現した玄関です。菓子折りの木箱で作った表札のレプリカも飾られています。(太宰が作った本物は中の展示室にてガラス越しに見ることができます。)
写真:ぐれい クミコ
地図を見るこちらの写真は玄関から六畳間を眺めたところ。部屋の奥は縁側になっており、その先に掛け軸などが展示されていますが、実際は庭がありその先には麦畑が広がっていたと、そういう想像力をもってぜひ眺めてください。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る間取りは書斎兼応接間だったとされるこの六畳間と、三畳と四畳の全部で三部屋の平屋。新築で清々しかったと言われていますが、妻子とともに、出版社の編集者など来客も多かったであろう人気作家が住むには十分とは思えない広さです。
資産家の大きな家に生まれた太宰でしたが、物質的な豊かさでは満たされなかった精神的な幸せを求めて、この小さい家で多くの名作を執筆しました。情報や物の多さに疲れて、ミニマリストに憧れる現代人にも通じる幸せが感じられる、質素で素敵な家です。
太宰が愛用したマント「二重廻し」などもこの部屋に展示されています。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る実際にこちらの文机に座って、用意されている原稿用紙に模写などをして執筆中の太宰治気分を味わうこともできます。太宰が残した約150編の小説のうち、名作約90編がこの自宅で書かれました。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る原稿用紙は一人一枚まで持ち帰れます。鉛筆は使用後に受付まで戻してください。
文机の隣には本棚にしていたというリンゴ箱も忠実に再現されています。
写真:ぐれい クミコ
地図を見るアトリエはおろか絵筆の一本も持たなかった太宰ですが、意外にもたくさんの美術作品も残しています。実物の絵画や書も展示されており、不定期で入れ替えられます。
実際の家はすでに取り壊されて図面も残されていないので、当時を知る関係者の証言や資料、数枚の写真を頼りに、外壁や部屋の質感もできるだけ忠実に再現されました。残念ながらオープン前の2020年4月に太宰治の長女津島園子さんは78歳で他界されましたが、この施設の設置に際して「三鷹の自宅にようこそ、という感じに出来たら」と生前に話されていました。ぜひ招かれた客という気分で訪れてみてください!
写真:ぐれい クミコ
地図を見る太宰治の展示室「三鷹の此の小さい家」は2020年12月にオープン。三鷹市美術ギャラリーへはJR中央線三鷹駅の改札を出て、南口デッキを直進し、地上には下りずにそのまま隣接するショッピングモールのCORAL2階から5階へと進むととても便利です。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る三鷹市の文化ネットワークの一環として、1993年10月に開館した三鷹市美術ギャラリーは、学校や勤務先帰りにも立ち寄れる交通に至便な立地。今回ご紹介の「太宰治展示室 三鷹の此の小さい家」は常設の展示ですが、その他にも第1展示室、第2展示室があり、イベントをチェックされてからお出かけされることをお勧めします!太宰治の小さい家を見るだけでしたら、逆に大型のイベントが開催されていない時が空いています。
住所:東京都三鷹市下連雀3-35-1 CORAL(コラル)5階
電話番号:0422-79-0033
アクセス:JR中央線 三鷹駅から徒歩1分
開館時間:午前10時〜午後6時
観覧料:無料
休館日:月曜日、年末年始(12月29日〜1月4日)
*月曜日が休日の場合は開館し、その翌日と翌々日休館
*展示替えなど臨時休館あり。休館日および臨時休館日については、あらかじめご確認ください。
2021年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
ぐれい クミコ
京都生まれ京都育ち。東京在住。京都を離れてみてやっぱり京都っていいなと思ったり、海外(アイルランド)に住んでみて日本の良いところを改めて知ったりしました。通訳案内士で訪日外国人に日本をガイドする仕事を…
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