石垣島「白保」で珊瑚礁の海と集落の風情を楽しむ!

石垣島「白保」で珊瑚礁の海と集落の風情を楽しむ!

更新日:2021/09/18 13:20

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家
珊瑚の海をわたる風を感じながら、貴重な自然を体験し、集落を歩いて風情を楽しむ。そんなゆったりした島時間を過ごしてみませんか?
石垣島の「白保」は美しい珊瑚礁に面した海岸に南国らしい民家が広がり、都会生活に疲れた人たちに、癒しのウチナータイムを与えてくれます。全く観光地化していないナチュラルな佇まいは、非常に好感が持てます。そう、白保にこそ八重山本来の姿があるのです!ぜひ行ってみましょう。

白保の海の風景

白保の海の風景

写真:菊池 模糊

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写真は石垣空港に到着寸前に飛行機の車窓から撮影したもので、眼下に珊瑚礁のラグーンが広がり、島全体が珊瑚礁の浅瀬に取り囲まれていることが分かります。写真中央上の海に面した集落が白保で、エメラルドグリーンのラグーン内部に面しています。外海に接して白く波だった部分が珊瑚礁の縁にあたる外礁です。

白保の海の風景

写真:菊池 模糊

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白保の集落を東側に抜けると海に出ます。眼前に広がるのは白保海岸と呼ばれる美しい景勝地で、西表石垣国立公園の海域公園地区に指定されています。白保の珊瑚礁は非常に豊かで、とりわけ世界でも珍しいアオサンゴの群落があることで有名。この白保のアオサンゴ群落は北半球最大規模で、学術的に非常に貴重なものです。

白保の海の風景

写真:菊池 模糊

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白保海岸で足元をよく見ると、珊瑚のカケラなどが集まっています。小石も珊瑚から形成された石灰岩で、まさに白保海岸はすべて珊瑚からできているのです。珊瑚の砂利を手にすくって指の間からパラパラと落としてください。悠久の自然がもたらした長い歴史に接する感動を味わえます。

白保の港と野鳥

白保の港と野鳥

写真:菊池 模糊

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一番驚くのは白保の港(船着き場)です。珊瑚から形成された岩を半円形に並べたもので、一切コンクリート波止や消波ブロックなどの人工的な物を使っていません!

いかに白保の皆さんが自然を大切にしているかを実体験できる場所なので、ぜひ見学してください。以前、ここに新石垣空港を建設しようという計画がありましたが、地元の方々の反対や、アオサンゴなどの貴重な自然を破壊するとして、中止になりました。まさにここは白保の自然保護の象徴といえるでしょう。

白保の港と野鳥

写真:菊池 模糊

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珊瑚礁由来の岩場も点在しており、魚などの生き物が豊富。砂浜と岩場が入り混じった海岸には、餌を探す野鳥クロサギの姿も見られます。クロサギは北の日本本土ではあまり見かけない南方系の鳥なので、じっくり観察しましょう。

白保の港と野鳥

写真:菊池 模糊

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海岸上空には魚を狙ったミサゴがホバリングしています。ミサゴは魚を捕るタカとして世界的に知られており、英名はオスプレイで空中静止が可能な航空機の名前として使われています。このあたりは生き物が多いので、ミサゴにとって恰好の餌場になっているようです。

集落の風景

集落の風景

写真:菊池 模糊

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白保海岸を散策したら、集落に戻ってゆっくり歩いてみましょう。珊瑚から形成された岩の石垣が各戸の周りに作られ、珊瑚の島の風情が感じられます。写真は粗積みで、あまり石を加工せず簡単に重ねられた塀です。「石垣」島の名前そのものですね。

白保集落の各戸は、ほとんどが石垣塀に囲まれています。素材は珊瑚岩で、粗いものから綺麗に削ってブロックのようなものまで各種あり、基本構成は同じながら個性的で興味深いです。

その塀の玄関側正面には門扉がなく開放的ですが、衝立のような壁が奥にあります。これはヒンプンと呼ばれる魔除けで中国語の屏風(ピンフェン)から来ています。沖縄では魔物は角を曲がるのが苦手とされており、直進して家に入ってこないように防いでいるのです。また実用的には目隠しになっています。

集落の風景

写真:菊池 模糊

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集落を歩くとあちここちにシーサー(シィーシィー)が見られます。シーサーは、印度のサンスクリット語でライオンを意味するシンハーから来ており、沖縄独特の伝説の獣像で魔除けです。置物として飾られるとともに、魔物が来ないように門や屋根の上に設置されることも多いです。

なお、白保の家は観光用ではなく、住民の方の普通の生活がありますので、覗き込んだり、庭の内部に侵入して写真撮影したりしないようにしましょう。

しらほサンゴ村

しらほサンゴ村

写真:菊池 模糊

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国道390号線を白保郵便局の角から東側(海側)へ進んだ集落の一番奥、海のすぐ近くに「しらほサンゴ村」があります。ここはもともとWWFサンゴ礁保護研究センターが自然保護の状況や珊瑚礁の調査研究成果を展示発信する場所として開設されていました。現在は、白保公民館に「しらほサンゴ村」の設備が譲渡され、一般公開は終了し時折イベントが開催されています。

また、日曜日の午前中にここで「白保日曜市」が開催されてきました。収益を地域の景観保全や伝統文化の継承、自然環境の保全に還元する取り組みで、現在は不定期開催となっています。最新の白保日曜市の開催状況については、NPO法人夏花(ナツパナ)までお問い合わせください。

しらほサンゴ村

写真:菊池 模糊

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しらほサンゴ村の近くの海岸側にはヤエヤマアオキの小高木が見られ、実をつけています。アカネ科の常緑樹でインドネシア原産ですが、海に浮く果実が潮流に乗って広がり、沖縄の海岸地帯まで分布します。別名ノ二の木ともいわれ、最近は果実がノニジュースなどの健康食品の材料として注目されています。

インドネシアでは樹皮が伝統的なろうけつ染めバティックの色染め材料として古くから使われてきたそうです。

御嶽(うたき/おん)や記念碑など

御嶽(うたき/おん)や記念碑など

写真:菊池 模糊

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写真は御嶽のひとつである真謝御嶽(マーザーオン)です。一見お社のようですが、琉球神話で神が来訪する場所として地域の祭祀の中心となっており、主に神に仕える女性(ノロ/ツカサ)が管理します。

白保集落内には5ヶ所の御嶽があり、大切な聖域なので、内部に立ち入らないようにしましょう。中に入っての写真撮影は禁止されています。

御嶽(うたき/おん)や記念碑など

写真:菊池 模糊

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上記御嶽の近くにある真謝井戸(マジャンガー)は、18世紀はじめに作られた石灰岩地帯の湧水を利用する井戸。白保に大被害をもたらした明和大津波(1771年)により消失しましたが、埋まっている場所を探して再建され、以来、長く人々の生活に役立ち、水道が導入されるまでは飲料水の源だったそうです。

今は石垣市指定文化財遺跡で、シンダスリ節という民謡で真謝井戸の水汲み女性の美しさが歌われ、拝みの対象にもなっています。

御嶽(うたき/おん)や記念碑など

写真:菊池 模糊

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真謝井戸から東側の海岸近くに東屋とトイレがあり、舟の通り道が切り開かれたことを記念した「舟溝開砕記念の塔」と、白保の珊瑚保護が国際的に取り上げられるきっかけとなった「エジンバラ公来訪の碑」があります。

また、少し遠いですが海岸沿いに北へ進むと石垣島に来島調査し「海上の道」を唱えた民俗学者:柳田國男の歌碑もあります。余裕のある方は見学してください。

白保の基本情報

住所:沖縄県石垣市字白保
アクセス:
・バス:市内中心部のバスターミナルから約30分、新石垣空港から約15分
・タクシー:市内中心部から約20分、新石垣空港からで約10分

白保集落内部の各スポットについては、写真データの地図を参考にして歩いてください。

※白保は観光地化しておらず人々の普通の生活があります。集落内の狭い道を車で走り回るのは危険で、駐車場もありません。したがって、自家用車やレンタカーでの来訪はご遠慮ください。必ず、上記の路線バスかタクシーで来て徒歩で散策してください。

2021年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/12/23 訪問

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