鶴岡駅からバスで約40分。羽黒センターで下車すると、羽黒山の入り口“髄新門”から、羽黒山がはじまります。鶴岡駅からのバスを降りずにそのまま乗っていくと、有名な“羽黒山山神合祭殿(さんじんごうさいでん)”になります。今回ご紹介しますのは、山神合祭殿まで行かない、羽黒山のはじまりの森です。この“髄神門”は、羽黒山全体の入り口となる門で、邪悪の侵入を防ぐために2体の髄神像を安置しています。随神門をくぐれば、これより先はご神域です。
2014年は十二年に1度の甲牛(きのえうま)午歳御縁年(うまどしごえんねん)で、羽黒山の山霊は午歳に現れると言われています。行ってみたいと思っていたのに、なかなか行けなかった方は、この十二年に1度の機会にぜひ静寂な羽黒山のはじまりの森を味わって、幸せを感じてみましょう。
髄神門をくぐって、神域の石畳を歩いていると、いくつもの神社の社をみかけます。その中を数分歩くと、羽黒山唯一の川”祓川(はらいがわ)”から清らかなせせらぎの音が聴こえてきます。そして、朱の橋“神橋(しんきょう)”を渡ると、川向うに“須賀の滝”と小さな岩戸分神社、祓川神社が並び、その間に不動明王が現れます。
この“須賀の滝”は、散歩スポットの1つで、なんと江戸時代に作られた人工の滝です!
羽黒山中興の祖と呼ばれた天宥別当(てんゆうべっとう)が造った8kmの水路で、羽黒山の頂上から続く、出羽三山のの聖なる山“月山”より水を引いており、不動の滝と呼ばれていたそうです。早朝の人が少ない中を歩いていると、清らかな滝の音が心地よく心に響いてきます。
静けさの中を風土が作った歴史を感じながら歩いていると、樹齢1000年以上といわれている“爺杉(じじすぎ)”が待っています。見上げる首が痛くなるほど大きな杉は、樹高約30メートル以上もの大木で、羽黒山の歴史をずっと見守ってきたと言われています。
1951年に国の指定天然記念物になり、どっしりと構える神木の杉は圧巻で言葉もでないほどです。
この爺杉、かつては婆杉とともに2本が並びそびえていたのに、残念ながら婆杉が先に倒れてしまったとか。その婆杉が倒れたときには三日三晩、爺杉が泣き続けたと今も語り継がれています。
羽黒山の「五重塔」は東北地方唯一の国宝の塔。高さ約30メートルの木造で、平将門が創建したと言われています。今から約600年前の室町時代に再建され、東北最古の塔とされています。
周りを朝露できらめく緑が美しい老杉に守られるように囲まれていますが、近くまで寄って鑑賞することもできますので、ぜひゆっくりと1周して精巧な作りを堪能してみてください。
2013年より始まったライトアップイベントが好評だったため、2014年も、6/14〜9/13までの夏の期間、五重塔が日没から21時30分までライトアップされることになりました。
イベント期間中は、有機ELの灯篭が参道に設置され、参拝される方には、羽黒山と書かれた提灯を無料貸出ししてくれます。星いっぱいの夜の中で鑑賞できる唯一のこのライトアップイベントは、2015年以降の開催が未定とのことですので、機会がありましたら夜道を気を付けてお出かけください。
樹齢350年〜600年を越える杉が400本以上も並ぶ、杉並木と一の坂は、神域らしいおごそかな雰囲気に包まれています。この参道の杉は全て国の特別天然記念物に指定され、ミシュランガイドで三つ星を獲得しています。この先、二の坂三の坂を登れば羽黒山三神合祭殿(さんじんごうさいでん)に到着します。
この杉並木に囲まれた石段は、曲りくねってのびているため、もうすぐ頂上と思いながらがんばって登ると、また石段が続いていきます。歩きながら現世の幸せを考えるために、こうした構造で造られたとも言われているそうです。
朝陽が差し込む静寂な羽黒山の森へ、ぜひ『現世の幸せ』を感じに朝一番に行ってみるのはいかがでしょうか。
ご紹介した羽黒山の参道は、険しい道や長い階段もなく、歩いても30〜40分のゆるやかな神域です。夏の朝は、緑が朝露で眩いほど美しく、この参道には、野の花や大きな切り株、新芽など森の癒しに溢れています。
また、参道には、ひょうたんや盃など33個の彫り物があり、18個以上見つけると願い事が成就すると言われています。縁起のいい御縁年の2014年、特別行事も数多く行われていますので、夏の朝にお出かけしてみてはいかがでしょうか。
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