東京からニューフェイス「橘丸」に乗って伊豆諸島に行こう!

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東京からニューフェイス「橘丸」に乗って伊豆諸島に行こう!

東京からニューフェイス「橘丸」に乗って伊豆諸島に行こう!

更新日:2014/06/26 18:28

カナマル トモヨシのプロフィール写真 カナマル トモヨシ 航海作家、船旅ジャーナリスト

2014年6月7日、28年間にわたって東京・竹芝さん橋と伊豆大島・利島・新島・式根島・神津島を結んできた東海汽船の「かめりあ丸」が惜しまれつつ引退しました。
それから20日、その「かめりあ丸」に代わって、東海汽船からピカピカの新造船がデビューします!
その名は「橘丸」。
伊豆七島航路のニューフェイス・橘丸の魅力をご紹介します!

復活した「東京湾の女王」は、かなり斬新なカラーリング!?

復活した「東京湾の女王」は、かなり斬新なカラーリング!?

写真:カナマル トモヨシ

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昭和の初め、伊豆大島への観光がブームとなりました。
観光客の急増にともない、東京湾汽船(現在の東海汽船)は、東京〜大島航路に大型船の投入を決めました。
こうして誕生したのが「橘丸」です。

1935(昭和10)年6月3日、橘丸の処女航海が行われました。
その美しい流線型のスタイルなどから世間の大きな注目を集め、「東京湾の女王」と呼ばれるようになりました。
間もなく始まった太平洋戦争では病院船、戦後は復員船とされた時代もありましたが、1950(昭和25)年に東海汽船に戻り、大島航路に復帰。
本来の目的である観光客の輸送でも大活躍し、1973(昭和48)年1月に引退しました。
38年もの間、「東京湾の女王」として君臨した橘丸が運んだ乗客の数は800万にものぼります。

それから41年の歳月を経て、「橘丸」が東京湾に復活します。
東海汽船としても22年ぶりの新造船、つまり21世紀に入って生まれた同社初の船なのです。
総トン数は5681トン・全長約118メートルと、引退した「かめりあ丸」(3751トン、103メートル)よりもひとまわり大きいです。
それにしてもこのカラーリングにはびっくりですね。

日本のフェリーはほとんどが白い船体をベースにしているのですが、新しい橘丸は黄土色とオリーブ色が配色されており、日本人の感覚からすると非常に斬新というか前衛的にも思えます。
だからこそ、一目見ただけでなんだかワクワクしますし、乗ってみたいという気分も強くなります。

それでは船内を見てみましょう。

プライバシー重視&バリアフリーのスーパーエコシップなのだ

プライバシー重視&バリアフリーのスーパーエコシップなのだ

写真:カナマル トモヨシ

2014年デビューの船ということで、橘丸はこれまでの東海汽船の船とは違う点がいくつもあります。
新しい橘丸の異名は「スーパーエコシップ」。
(1)低回転ディーゼルエンジンと発電機による、最新のハイブリッドシステムで低燃費、低騒音、低振動を実現。
(2)「電子制御燃料噴射装置」搭載で排気ガス中の二酸化炭素、窒素酸化物を減少させる。
(3)排気ガスの熱を再利用し、燃費を節減する「排ガスエコノマイザ」を装備。
と、3つのエコロジーを実現する日本でも最先端の旅客船なのです。
振動も騒音もこれまでの船に比べれば非常に少ないですし、また、エンジンを2つから1つに変えたことで、これまでの船よりも揺れを抑えられるようになったといいます。
伊豆の島々へ船で行きたいけど、船酔いが心配だな〜。
そういう人も多かったと思いますが、橘丸ならそんな心配もかなり和らぐのではないでしょうか。

また、乗船するに当たってチェックしておきたいのが客室ですよね。
橘丸には特等室・特1等室・特1等和室・特2等室・1等室・2等和室と6種類の客室があります。
最高グレードの特等室は10室のみ。
定員2名でシャワー、ウォシュレットトイレ、エアコン付き。
東京から最も遠い目的地・八丈島までは大人片道1名で3万2430円(7月料金、以後の料金表示もすべて7月料金)となります。
せっかく最先端の客船で行く船旅ですから、一番ぜいたくな客室で優雅な船旅を楽しみたいという方にはオススメのグレードです。

節約派にはやはり2等和室。八丈島まで片道1万1580円と、特等室の約3分の1というリーズナブルさが魅力です。
これまでの東海汽船の船では、だだっ広い和室に予約番号ごとにガムテープのバミリがしてあって、乗客は割り当てられた番号のスペースで雑魚寝・・・というのが2等和室の光景でした。
正直、プライバシーなどほとんどなし。
しかし橘丸は違います。
画像のように、隣の人との顔の部分がついたてで仕切られ、まわりを気にせずに眠れるようになっています。
そういう意味では、橘丸は最も安い客室でもプライバシー重視なんです。
頭上には手荷物ロッカーも備わり(100円返却式なので無料)、手荷物盗難の心配からも解放されました。

どうしても雑魚寝が苦手、でもなるべく安く船旅したい。
そういう方にオススメなのが特2等室です。
こちらは1室につき2段ベッドが6つ、つまり定員12名の客室です。
ベッドには寝具・照明・コンセントがつき、カーテンを仕切ればもうそこはあなたの個室。
これで八丈島まで片道1万7380円。
2等和室に5800円追加となります。

また船室も通路もトイレもすべて段差のないバリアフリー。
車椅子の方用に「2等優先席」という客室も4室用意されています。
子ども連れの乗客にはキッズルーム、ペットと一緒の乗客にはペットルームが用意されました。
誰もが快適に過ごせる21世紀型のフェリー。それが橘丸です。

レストランでお出迎えするのはホヤホヤ船長「キャプテンたちばな」

レストランでお出迎えするのはホヤホヤ船長「キャプテンたちばな」

写真:カナマル トモヨシ

船旅で気になるのはやはり食事ですね。
橘丸には「レストラン橘」というきれいなレストランが新設されました。
入口の自動販売機で食券を買って、食事をとるシステムです。

メニューは天ぷらうどん・そば600円、レタスチャーハン700円、ラーメン800円など。
カレーライスの種類が比較的豊富で、カレーライス800円のほか、骨付きインドカリー900円、ジャンボエビフライカレー1000円、カツカレー1100円のラインナップ。
オリジナルメニューも負けていません。
橘オムライス900円、橘抹茶フォンダンケーキ450円は乗船したら試してみたい一品です。
酒好きの方には「若盛 水割(神津島焼酎)」500円やマンゴー割450円などが気になるところでしょう。

このレストランは全43席。
お一人様用にカウンター席もありますよ。
そこには丸窓があって、海を眺めながら食事ができるのも船旅らしくていいでしょう。

レストラン橘に入ると、船長のイラストがお出迎えしてくれます。
こちらは6月19日に東海汽船のキャラクター船長に就任したばかりのホヤホヤ船長「キャプテンたちばな」です。
あれ、なんだかこのキャプテン、見たことがある・・・。
そう思った方も多いのではないでしょうか?
サントリーの「アンクルトリス」そっくりじゃないですか!

橘丸。それは「柳原良平ワールド」だった・・・

橘丸。それは「柳原良平ワールド」だった・・・

写真:カナマル トモヨシ

アンクルトリスをデザインしたのはイラストレーターの柳原良平さんです。
自ら「船キチ良平」と称するほど大の船好きでいらっしゃいます。
東海汽船の名誉船長でもある良平さんが、「キャプテンたちばな」をデザインしたんです。

それだけではありません。
新たに生まれた「橘丸」のネーミングと、あの日本人離れした(笑)船体のカラーリングを担当したのも良平さんだったんです!
そういうこともあって、船内には良平さんのイラストや、アンクルトリスが描かれたグラスなどがあちらこちらに見られます。
さながら、洋上をゆく「柳原良平ミュージアム」といった観があります。

また、レストラン橘に隣接するラウンジ橘(利用無料)では、その壁面に注目です。
そこでは「”橘丸”物語り」という、良平さんが描いた初代橘丸の物語りが見られます。
2014年に復活した「橘丸」という名称。
そのルーツはどういう歩みをたどってきたのか。
橘丸に乗ったら、決して見逃せないコーナーと言えるでしょう。

ニューフェイスは三宅島、御蔵島、八丈島そして大島航路に登場

ニューフェイスは三宅島、御蔵島、八丈島そして大島航路に登場

写真:カナマル トモヨシ

2014年6月27日デビューの橘丸。
行く先は三宅島、御蔵島、そして八丈島。
案内所の横には橘丸の航路図があり、それぞれ寄港地の出入時刻が記されています。
終点の八丈島までは11時間足らずの船旅となります。

ここには記されていませんが、八丈島から東京までの航路は往路とは少し異なります。
午前9時40分に八丈島を出港し、御蔵島、三宅島と寄港していきますが、最後に伊豆大島に寄港します。
午後4時5分に入港し、5分後には出港します。
このダイヤなら、午前中に東海汽船のジェット船で東京から大島に到着し、ちょっと島内を観光してから、夕方に橘丸に乗り込んで帰京するという日帰りプランも十分可能です。

なお、橘丸の竹芝さん橋到着は午後8時35分となります。
羽田空港の滑走路、工場夜景がステキな大井ふ頭、東京ゲートブリッジのライトアップ、そしてレインボーブリッジをくぐり東京タワーやスカイツリーを眺めつつ入港・・・という東京湾岸夜景クルーズも楽しめますね。

伊豆大島や三宅島の復興のためにも橘丸に乗ろう!

東京をはじめ関東の人々にとって、長らく「船の旅」と聞かれて真っ先に思い浮かべる、あるいは経験したことがあるのが東海汽船による伊豆七島への旅ではないでしょうか?
この航路が持つ顔は、島々に暮らす人々の生活を支える「生活航路」です。
そしてもう一つの顔が東京などから島々を訪れる人々を運ぶ「観光航路」です。
たしかに伊豆七島には、ここが東京都とは思えぬ「南国のパラダイス感覚」があふれ、そこへの憧れが航路の発展を支えてきたと言ってもいいでしょう。

しかし、島は決して楽園というばかりではありません。
橘丸が寄港する三宅島はたびたび噴火災害に悩まされ、2000(平成12)年夏に起きた雄山の噴火では4000人余にものぼる全島民が避難を強いられました。
噴火から5年後の2005(平成17)年になってようやく全島避難は解除されましたが、有毒な火山ガスはいまだ発生しており、復興は道半ばという現状です。

そして記憶にまだ新しいのが2013年10月に伊豆大島を襲った台風26号による土石流被害です。
この土石流は、東海汽船の旅客船が出入港する元町港付近の集落を飲み込み、36人が死亡、22人が重軽傷を負い、3人が行方不明となりました。
東海汽船によると、2013年10月に起きた大島の土砂災害の影響で、2014年5月までのこの航路の利用者は、前年に比べおよそ3万人減少しているということです。

もともと観光産業がさかんだった三宅島と伊豆大島。
被災からの復興に、観光客の来訪は欠かせません。
被災地だからといって災害ボランティアに携わるとかそういうことではなく、シンプルに島々の魅力を発見し、その地を楽しみ、そして島も人々も元気でやっているよ!ということを伝えていってくれればそれでいいのです。

三宅島や伊豆大島に寄港する航路に登場したニューフェイス「橘丸」。
この素敵な船で三宅島や伊豆大島を訪れてみませんか?
退屈だと思い込んでいた海路の移動も、橘丸ならワクワクできるはずですよ!

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/06/22 訪問

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