生野銀山の城下町「口銀谷(くちがなや)」の産業遺産

生野銀山の城下町「口銀谷(くちがなや)」の産業遺産

更新日:2021/09/21 13:39

阿部 吾郎のプロフィール写真 阿部 吾郎 フリーカメラマン、ライター、日本旅のペンクラブ会員、日本旅行写真家協会会員
天文11年(1542年)に銀鉱脈が発見され、その後信長・秀吉の直轄時代を経て、江戸時代には家康が銀山奉行を設置した生野銀山。佐渡金山、石見銀山と並んで江戸幕府の財政を支えました。その生野銀山を管理する役所が置かれ、商人が多く住んだ、生野銀山の城下町とも言われているのが「口銀谷(くちがなや)」です。鉱山業者の町を意味し、今でもその歴史を垣間見ることができる遺物が多く残されています。

昨今の状況により、施設等の営業日や営業時間などに変更が生じている場合があります。各種報道機関の発表、施設や各自治体のホームページなどで最新情報をご確認ください。また、Go To トラベルキャンペーンについては全国で一時停止となっています。お出かけの際はしっかりと新型コロナウイルスの感染予防および拡大防止対策をして行動しましょう。(トラベルjp)

トロッコ軌道跡

トロッコ軌道跡

写真:阿部 吾郎

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口銀谷の町から、市川を挟んだところにある姫宮神社。この神社に渡る姫宮橋から、この町一番の絶景を望むことができます。

トロッコ軌道跡

写真:阿部 吾郎

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こちらが、姫宮橋から神社に向かって右側を見た風景です。
大正9年(1920年)、馬車鉄道が電気軌道に変わり、米国製の6トン機関車が生野銀山で産出した銀を乗せて、この軌道を走りました。モダンな石積みのアーチも残されています。

トロッコ軌道跡

写真:阿部 吾郎

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こちらは左側の風景。軌道のレールが残されていることが、はっきりわかります。
トロッコ軌道は、当時生野銀山から市川沿いを走り、播但鉄道の旧駅まで繋がっていました。

口銀谷銀山町ミュージアムセンター

口銀谷銀山町ミュージアムセンター

写真:阿部 吾郎

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ここからは、口銀谷にある3つの観光施設をご紹介してまいりましょう。まず、ひとつ目は「口銀谷銀山町ミュージアムセンター」です。先ほどご紹介したトロッコ軌道のすぐ近くにあります。

旧浅田邸と吉川邸の2棟を修復、保存しています。正面の建物が本館(旧浅田邸)、左側の建物が別館(旧吉川邸)です。

口銀谷銀山町ミュージアムセンター

写真:阿部 吾郎

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本館(旧浅田邸)は、昭和7年(1932年)に建てられました。江戸時代から代々続いた地役人(代々生野に居住した役人)の家で、明治に入っても生野銀山とともに日本の近代化に向けて活躍しました。

木造2階建ての建築で、和室の見事な欄間、当時使われていた古い電話機、生野銀行初代頭取を務めた浅田貞次郎の銅像、クラシックモダンな洋室など、多くのみどころがあります。

口銀谷銀山町ミュージアムセンター

写真:阿部 吾郎

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こちらは別館(旧吉川邸)です。吉川増太郎は郷宿(江戸時代、代官所の用事があるものが宿泊した宿)「井筒屋」の6代目当主で、明治に入って隠居部屋として建てたのがこの建物です。土間や箱階段に当時の建物の特徴がよく表れています。

<口銀谷銀山町ミュージアムセンターの基本情報>
住所:兵庫県朝来市生野町口銀谷619番2
電話番号:079-670-5006
アクセス:JR生野駅から徒歩15分
営業時間:9時から17時(入館は16時30分まで)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
入館料:無料

生野まちづくり工房「井筒屋」

生野まちづくり工房「井筒屋」

写真:阿部 吾郎

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先ほどご紹介した吉川家が営んでいた郷宿が、この生野まちづくり工房「井筒屋」です。母屋は、天保3年(1832年)の建築で、鉱山関連施設で江戸時代から現存する数少ない建物のひとつです。

生野に一般の旅人が宿泊するのはご法度でしたが、公用で代官所を訪れる人の宿泊施設が必要なため、郷宿が設けられました。

生野まちづくり工房「井筒屋」

写真:阿部 吾郎

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こちらは入口を入ったところにある土間です。ここでは、様々なお土産品も売られています。街中には、あまりお土産を売っているショップがありませんので、ここで購入することをお勧めします。

土間の向こうには、囲炉裏がある茶の間があり、その奥に座敷が連なっています。

生野まちづくり工房「井筒屋」

写真:阿部 吾郎

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内蔵には、吉川家から寄贈された貴重な品々が展示されています。掛け軸、絵画、玩具、民具など当時の人々の生活を感じられるものばかりです。

<生野まちづくり工房「井筒屋」の基本情報>
住所:兵庫県朝来市生野町口銀谷640
電話番号:079-679-4448
アクセス:JR生野駅から徒歩15分
営業時間:9時から17時
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
入館料:無料

生野書院

生野書院

写真:阿部 吾郎

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生野書院は、大正時代の材木商の邸宅を改修したものです。ただし、写真に写っている門は、明治の官営生野鉱山時代に鉱山長を務めた、朝倉盛明の官邸正門を移築したものです。

生野書院

写真:阿部 吾郎

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生野書院では、和室の内部を見学することができます。8畳間と6畳間の並びが2つあり、その間に水場が設けられています。欄間やガラス窓の模様、調度品など時代を感じさせるものが多く、じっくり見ているといろいろ発見があります。

生野書院

写真:阿部 吾郎

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敷地内には、展示室が2つあります。ひとつは常設展示、もうひとつの蔵を改造した展示室では、特別展示や企画展を開催しています。
写真は、常設展示室で、生野銀山絵図、当時使われていた天秤、高札、掛け軸など、生野銀山が古くから栄えていたことを物語る貴重な資料が展示されています。

「口銀谷銀山町ミュージアムセンター」「生野まちづくり工房井筒屋」「生野書院」と3つの施設をご紹介しましたが、いずれも入場無料なのはうれしいですね。

<生野書院の基本情報>
住所:兵庫県朝来市生野町口銀谷356-1
電話番号:079-679-4336
アクセス:JR生野駅から徒歩10分
営業時間:9時30分から16時30分
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)・12月28日から1月4日
入館料:無料

カフェアルジャン

カフェアルジャン

写真:阿部 吾郎

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最後に、ある意味これも生野銀山の産業遺産ともいえるグルメスポットのご紹介です。口銀谷の街中にある「カフェアルジャン」です。アルジャンとは、フランス語で「銀」という意味で、当然生野銀山にちなんで命名されたものです。

カフェアルジャン

写真:阿部 吾郎

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店内の装飾も、とてもおしゃれです。喫茶店としても利用できますし、食事もできます。

カフェアルジャン

写真:阿部 吾郎

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このお店のおすすめは、なんといってもハヤシライス。お肉とキノコがたっぷり入り、トマトの酸味と玉ねぎの甘味が効いて絶品です。生野の町が鉱山で賑わっていたころ、鉱山社宅ではハヤシライスがよく食卓にのぼっていました。様々な場所から、いろいろな人々が集まっていた鉱山社宅、誰かがレシピを紹介し、ハイカラな食べものとして流行したのです。

生野では、これにちなんでハヤシライスを名物とするため、いろいろなお店が独自のレシピでハヤシライスを出すようになりました。その、代表格のお店がこのカフェアルジャンです。

カフェアルジャンには、生野ハヤシライス(700円)のほか、生野鉱山食堂のカレー (700円)、ブタのピリ辛丼アジアン風味(800円)など、ハヤシライス以外にもおいしそうなメニューがありますよ。

<カフェアルジャンの基本情報>
住所:兵庫県朝来市生野町口銀谷521-2
電話番号:079-679-5155
アクセス:JR生野駅から徒歩12分
営業時間:9時から16時
定休日:月曜日/第1・3火曜日 その他不定休あり

ゆっくり街歩きをしたい口銀谷

最初にお伝えした「口銀谷」と言う地名の意味の続きですが、生野銀山周辺は「奥銀谷」とよばれており、奥にある銀山に対して、その入口といったような意味がありました。口銀谷は、銀山関係者のお屋敷、役所、郷宿、商店、寺院などが集まった、まさに入口の町で、今もその雰囲気を十分残しています。

ここでは紹介しきれなかった、古い建物や寺院がたくさんありますので、ぜひゆっくり街歩きを楽しんでいただきたいと思います。

2021年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2021/07/21 訪問

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