写真:みなみ じゅん
地図を見る奈良時代末期の782年に「勝道(しょうどう)上人」が男体山の初登頂に成功すると、784年に中禅寺を建立。以来奥日光の山々は修行をおこなう霊場として発展しました。中禅寺は、日光の礎となったお寺です。
ご本尊は勝道上人が桂の立木に根を残したまま彫った「十一面千手観世音菩薩像」。そのため中禅寺は立木観音とも呼ばれ親しまれています。
写真:みなみ じゅん
地図を見る明王像を安置する五大堂は、東照宮薬師堂の鳴き龍を描いた日本画家堅山南風の手による龍の天井画が見事。この五大堂は境内のもっとも高い場所に位置するため、回廊から眺める中禅寺湖も見どころです。
写真:みなみ じゅん
地図を見る中禅寺では写経や十一面千手観世音の絵を描く写仏体験を行えます。42文字の最も短い経典「十句観音経」のうち、前半の16文字を写経します。写経で気持を集中させると、清々しい気持になりますよ。
写経した用紙をお寺に奉納すると、お焚き上げをしてもらえます。そのうえ金紙に書かれた特別な御朱印もいただけます。
<中禅寺(立木観音)の基本情報>
住所:栃木県日光市中宮祠2578
電話番号:0288-55-0013
写真:みなみ じゅん
地図を見る明治期になると、日本駐在の大使館員や貿易商などが、避暑のため日光を訪れるようになりました。東照宮の山門前には金谷ホテルが開業し、中禅寺湖畔には大使館の別荘が造られ、フライフィッシングや舟遊び、料理など、洋式文化が日光に根付きます。
中禅寺から湖沿いの散策路を10分ほど歩いた旧英国大使館別荘も立ち寄っておきたいスポットです。館内は資料館になっていて、窓際のソファからは中禅寺湖の眺望を楽しめます。
写真:みなみ じゅん
地図を見る2階のティールームでいただけるスコーンも有名です。おススメは2種類(プレーンとクルミ&アーモンド)のスコーンを楽しめるセットで、ジャムと英国伝統のクロテッドクリームが添えられます。紅茶も付きますが、テーブルには砂糖とミルクの用意がなく、スコーンの甘味でいただきます。
写真:みなみ じゅん
地図を見る英国大使館別荘から徒歩数分の場所に、1928年から1997年まで利用された旧イタリア大使館別荘があります。日光杉の樹皮と薄板で市松模様などのデザインパターンを繰り返す、ぬくもりのある内外装が目に映えます。
どちらの別荘も、窓辺から見渡せる中禅寺湖の風景は、想い出に残る光景です。
<英国/イタリア大使館別荘記念公園(日光自然博物館)の基本情報>
住所:栃木県日光市中宮祠2482
電話番号:0288-55-0880
写真:みなみ じゅん
地図を見る日光彫は江戸時代初期、日光東照宮を大改修するため、全国から集められた宮大工や彫物大工などが、仕事の余暇に作り始めたのが発祥とされる伝統工芸品です。日光の門前町にある「mekke日光郷土センター」では、日光彫体験ができます。
写真:みなみ じゅん
地図を見る日光彫の特徴は「ひっかき」と呼ばれる独特の三角刀を使います。ひっかきは先端が約60度に折れ曲がり、歯の先端に指を添え、通常とは逆に手前へ引きながら、V字型の先の部分で彫っていきます。
写真:みなみ じゅん
地図を見るひっかきを握る角度や強弱の使い分けで、深く掘ったり、広く掘ったりと、独特の線画が描けます。mekke日光郷土センターでは、手鏡と写真立て、ネームプレートのなかから選び、図案も様々なものを用意。彫り方によって個性が出るので、唯一無二のお土産になります。
<mekke日光郷土センターの基本情報>
住所:栃木県日光市御幸町591
電話番号:0288-25-5715
写真:みなみ じゅん
地図を見るもちろん「食」も伝統文化のひとつです。そこで、日光伝統の味といえば京都と並ぶゆば料理。鎌倉時代末期、中国の精進料理だったゆばが京の都でお寺や宮中に広まり、修行僧によって日光に伝わりました。
京都が「湯葉」と書くのに対し日光は「湯波」と文字ちがい。薄く柔らかい京都湯葉に対し、日光湯波は厚手で歯ごたえがあるのも特徴です。
ところが、東武日光駅から東照宮へむかう日光街道沿いにあるお店「栞(しおり)」のゆばは、なんと「ふわとろ!」。
写真:みなみ じゅん
地図を見るコース料理にあるゆば刺しは、たっぷりと豆乳をふくんだツルりとした逸品です。今市にある「まつたか」のゆばを、日光金谷ホテルと中禅寺金谷ホテルでスーシェフを務めた渋谷店長がさらに下ごしらえをすることで、薄いゆばは柔らかく、豆乳の風味たっぷりのミルキーな一品に。ここだけでしか味わえない日光ゆばの傑作です。
写真:みなみ じゅん
地図を見る日光で最もポピュラーな料理が「揚げ巻きゆば」。一般的には歯ごたえがありますが、これも栞ではトロトロの食感。国産大豆だけを使うと、巻かれたゆばが煮る際に崩れてしまいますが、「まつたか」が栞のために作った国産100%のゆばを崩さず調理。上品な甘味のある出汁をたっぷり含んでフワッフワです。
ここではゆば料理を紹介しましたが、日光産のプレミアムヤシオマスのグリルや栃木ゆめポークの生姜焼きなど、メインディッシュも忘れられない味。リピーターが多いのもその証です。
<栞の基本情報>
住所:栃木県日光市下鉢石町957−2
電話番号:0288-25-5745
写真:みなみ じゅん
地図を見る1873年(明治6年)に東照宮の楽師だった金谷善一郎が、自宅の一部を外国人むけ宿泊施設に改装。1893年(明治26年)に「金谷ホテル」として営業を開始します。日本駐在の外交官をはじめ、外国の王室や国内宮家も利用した、日本を代表するリゾートホテルのひとつです。
ここに紹介する中禅寺金谷ホテルは、姉妹館として1940年(昭和15年)、中禅寺湖畔で開業。奥日光の豊かな自然に囲まれたホテルです。
中禅寺金谷ホテルの大浴場では、名湯として知られる日光湯元温泉から、12kmにも及ぶパイプで引いた硫黄泉を、源泉掛け流しで楽しめます。湯の花で白くにごった温泉は、含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉。じんわりと温まるいいお湯です。
写真:みなみ じゅん
地図を見るコースディナーは、姉妹館金谷ホテルの伝統を受け継ぐフレンチをいただきます。日光周辺や栃木県内の食材を中心に使った彩り豊かなオードブルや、意外性のあるスープの味は驚きの連続。厳選された牛肉は、趣向を凝らしたソースでいただけます。
アレルギーなどをお持ちの方は、事前に問い合わせれば通常料理に勝るとも劣らない美味しい料理をいただけます。そんな料理とホスピタリティに、近代日本がたどった150年の歴史と伝統が息づきます。
<中禅寺金谷ホテルの基本情報>
住所:栃木県日光市中宮祠2482
電話番号:0288-54-0007
関東有数のパワースポットとして開山した日光。修行僧がもたらした湯葉料理は、今も日光湯波として進化中です。そのいっぽう、明治維新とともに発展してきた洋食は、中禅寺金谷ホテルや日光金谷ホテルでこそ味わえます。1200年にも及ぶ時間に磨かれた日光の文化を、観たり、体験したり、味わう旅。出かけてみてはいかがですか。
2021年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:東武トップツアーズ
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