写真:乾口 達司
地図を見る「谷汲駅(たにぐみえき)」は、岐阜県揖斐郡谷汲村(現在の揖斐川町)に存在した駅。名古屋鉄道谷汲線の終着駅です。
谷汲線駅が開業したのは、1926年のこと。黒野駅からのびる谷汲鉄道・谷汲線の敷設にともない、その終着駅として設置されました。谷汲鉄道は後に名古屋鉄道に吸収されますが、谷汲駅自体は存続。近くに西国三十三所第三十三番札所・谷汲山華厳寺があるため、巡礼者や観光客の往来で大いに賑わいました。しかし、モータリゼーションの浸透により、移動手段が電車から車に移行。谷汲線の利用者は減少の一途をたどり、2001年9月30日をもって廃線となりました。谷汲駅も谷汲線の廃線にともない、廃駅となっています。
しかし、驚くべきは、いまから二十年以上も前に廃駅となったにもかかわらず、かつての谷汲駅が営業当時の姿のまま残されていることです。写真は谷汲駅の正面を撮影したものですが、廃駅の事実を知らない人であれば、現役の駅舎のように見えるのではないでしょうか。
写真:乾口 達司
地図を見る券売所もご覧のとおり。上に掲げられた運賃表が当時のまま残されているため、ここでも現役の駅舎であると錯覚させられます。
写真:乾口 達司
地図を見る券売所をぬけると、目の前にはホームが広がっています。
ホームは島式ホームで、両側からはさみ込むように左右2つの線路が引き込まれています。
写真:乾口 達司
地図を見るホームには、2両の電車が静態保存されています。
写真は「モ755」(モ750形755号車)。モ750形は当時の名古屋鉄道が1927年に導入した車両で、751号から760号までの10両が製造されました。
写真:乾口 達司
地図を見る車内も当時のまま残されており、長いシートや整理券箱も設置されています。もちろん、運転席も当時のまま。ご覧のようなレトロな雰囲気が、旅情をそそりますよね。
土日や祝日には一般公開され、車内に足を踏み入れることも可能。公開日にあわせて旧谷汲駅を訪れるのも一計です。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは「モ514」(モ510形514号車)。モ510形は美濃電気鉄道が1926年に製造した車両で、美濃電気鉄道が名古屋鉄道と合併して以降、モ510形と改称されました。
旧谷汲線ゆかりの車両が2両も保存されているというのは、鉄道ファンには嬉しい限りですね。
写真:乾口 達司
地図を見る当時、電車を支えていたレールなども残されています。かつての線路の痕跡が長く伸びているのが、確認できるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは分岐器である転轍機。レバーを操作することでレールの位置が変わり、列車の進入コースが決まるわけです。
写真:乾口 達司
地図を見る転轍機のあたりから振り返った旧谷汲駅。車両も停車しているため、ここでも現役の駅であるかのように錯覚してしまいますよね。
写真:乾口 達司
地図を見るホームの頭上には、写真の看板も残されています。「平成13年9月30日」の日付は谷汲線が廃線となった日時のこと。旧谷汲駅はあたかもこの日を境にして時間が止まっているかのようです。
<旧谷汲駅の基本情報>
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積
アクセス:岐阜バス「谷汲」バス停すぐ
写真:乾口 達司
地図を見る旧谷汲駅を見学した後は、華厳寺にもお参りしましょう。
「谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)」は天台宗の寺院。西国三十三所第三十三番札所すなわち西国三十三所巡礼における満願結願の寺院であり、季節を問わず、多くの巡礼者で賑わいます。谷汲駅はそんな華厳寺の最寄り駅であり、そもそも谷汲線の敷設されたのは、華厳寺へ参拝する人の利便性を考えてのことでした。
当時の賑わいを思い起こしながら華厳寺を散策すると、谷汲駅および谷汲線の在りし日の姿をよりいっそう強く感じられることでしょう。
<華厳寺の基本情報>
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積戦23
拝観時間:8:00〜16:30
拝観料:無料
アクセス:岐阜バス「谷汲」バス停より徒歩約5分
二十年以上前に廃駅となったはずの旧谷汲駅が現在でもいかに強い存在感を発揮しているか、おわかりいただけたでしょうか。かつては多くの巡礼者や観光客でにぎわった旧谷汲駅を訪れ、時間の止まったような不思議な感覚を抱いてください。
2022年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/9更新)
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