写真:乾口 達司
地図を見る「三井寺(みいでら)」の名でも知られる滋賀県大津市の「園城寺(おんじょうじ)」は、天台寺門宗の総本山。7世紀、当地に勢力のあった渡来系支族・大友氏 の氏寺として創建されました。9世紀に入り、唐から帰国した僧・円珍(智証大師)が寺院を再興。平安時代になると、比叡山延暦寺と並ぶほどの大寺院へと発展します。そのため、延暦寺とはしばしば抗争し、そのたびに荒廃と復興を繰り返しますが、安土桃山時代に入り、ようやく現在のような伽藍が整備されました。
写真は本尊の弥勒菩薩(秘仏)をまつる金堂。豊臣秀吉の遺志によって再建されたもので、現在は国宝に指定されています。園城寺を代表する建造物のため、園城寺に参詣した折はまず金堂にお参りしましょう。
ちなみに、通称の「三井寺」は、金堂脇の閼伽井屋にある霊泉が天智天皇・天武天皇・持統天皇の産湯として使われたことにちなみ、「御井(みい)の寺」と呼ばれていたものが転じたためといわれています。
写真:乾口 達司
地図を見る写真は仁王門(大門)をくぐった先から金堂方面を撮影した一枚。仁王門をくぐるとまず目に飛び込んでくるのが、こちらの紅葉。そのあざやかさに惹かれて金堂へと足を進めましょう。
写真:乾口 達司
地図を見る金堂の南方には唐院伽藍と呼ばれる区画があります。唐院は園城寺のなかでもっとも重要な区画で、円珍が唐から持ち帰った経典や法具類を納めるために設げられました。
写真はその唐院の門前に見られる紅葉。石垣と紅葉との組み合わせが、いかにもお寺の紅葉であると思わせますね。落ち葉の絨毯も美しいので、足元にも目を向けましょう。
写真:乾口 達司
地図を見る唐院伽藍からは南院へ向かいましょう。南院は、その名のとおり、境内の南方にある区画。西国三十三所第14番札所となっているため、多くの巡礼者でにぎわう観音堂などが建っています。
唐院伽藍から南院にかけての一帯は、園城寺の境内でもっとも紅葉がよく見られるところです。
写真:乾口 達司
地図を見るまさしく紅葉のトンネル状態です。圧巻。その一言に尽きますね。
写真:乾口 達司
地図を見る観音堂にお参りした後は、別院の水観寺方面へと足を向けましょう。水観寺は明尊大僧正を開基する塔頭寺院。本尊は薬師如来であり、西国四十九薬師霊場の一つにもなっています。
写真は南院から水観寺へと向かう参道付近の紅葉です。
写真:乾口 達司
地図を見る水観寺のあたりまで来ると、観光客の姿もまばら。苔むした石垣の上から顔をのぞかせる紅葉などを独り占めすることができます。
なお、三井寺の境内は広大である上、紅葉を愛でながらゆっくり歩くと、かなりの時間を要します。三井寺を散策する際は、時間に余裕をもって訪れましょう。
写真:乾口 達司
地図を見るもちろん、文化財の宝庫というべき園城寺ゆえ、紅葉をめぐる際、あわせて文化財の数々も拝観しましょう。
たとえば、こちらの梵鐘は金堂脇の鐘楼に吊るされていますが、近江八景の一つとして知られる「三井の晩鐘」の由来となったもの。京都・宇治の平等院にある梵鐘、やはり京都・高尾の神護寺にある梵鐘とともに日本三名鐘に数えられています。
写真:乾口 達司
地図を見る唐院伽藍にある写真の三重塔は、国の重要文化財。もとは奈良県の比蘇寺(現在の世尊寺)にあった塔であるといわれています。その後、伏見城に移築され、さらに徳川家康により、園城寺に寄進されました。
写真:乾口 達司
地図を見る先ほどご紹介した南院の観音堂は高台に位置しているため、眺望は抜群。南院まで足を運ぶ際は、紅葉とあわせて眼下に広がる琵琶湖や大津市の街並みも眺めましょう。
いかがでしたか?三井寺の紅葉がいかに魅力的か、おわかりいただけたでしょうか。広い境内のため、大勢の参拝者が訪れても窮屈な思いをすることなく、じっくりと紅葉を見てまわれるのが、三井寺の嬉しいところ。三井寺を訪れ、紅葉の数々をご堪能ください。
※…三井寺の紅葉の見頃は例年11月下旬です。
住所:滋賀県大津市園城寺町246
電話番号:077-522-2238
拝観時間:8:00〜17:00(受付終了16:30)
入山料:大人600円/中高生300円/小学生200円
アクセス:京阪石山坂本線「三井寺駅」より徒歩約7分
2022年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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