写真:モノホシ ダン
地図を見る旧大阪鉄道(現在のJR関西本線)の亀瀬隧道は、大規模な地すべりにより隧道内に亀裂が生じ、1932年(昭和7年)2月1日、列車は運行を中止。同年2月4日にトンネルは崩壊し、閉鎖されました。
しかし、2008年(平成20年)11月、国土交通省が地すべり対策の工事中に完全に圧壊したと思われていた亀瀬隧道の一部が、ほぼ当時の原型をとどめた状態で発見されました。
写真:モノホシ ダン
地図を見るその後、亀の瀬トンネルは、2020年(令和2年)に日本遺産に認定された『もう、すべらせない!〜龍田古道の心臓部「亀の瀬」を越えてゆけ〜』の構成文化財の一つになりました。
2023年1月8日から始まった、国内に類を見ないトンネル内のプロジェクションマッピングは、地元の柏原市が観光客誘致や地域活性化を目指して企画したものです。
長さ40m、高さ5mのレンガ作りのトンネルの壁面に、48台のプロジェクターを使って約15分間の映像を映し出します。
写真:モノホシ ダン
地図を見る映像内容は、亀の瀬周辺の地理や歴史をもとに、満開の桜の木、伝承ある龍、地形の成り立ちや自然の風景、天皇の行幸、万葉集、蒸気機関車などです。
写真:モノホシ ダン
地図を見る奈良時代の天皇の行幸のシーンでは、輿が使われていた様子が再現されています。
奈良と河内を結ぶ龍田古道は、高低差が少なく輿で越えることができるルートで、実際の行幸は、午前中に平城京を発ち青谷の竹原井頓宮(たかはらいのとんぐう)で一泊、翌日難波宮に至るという行程でした。
写真:モノホシ ダン
地図を見る崩壊した亀の瀬トンネルでは、蒸気機関車が走っていました。トンネルの上部には、当時運行されていたSLの煤が残されています。『銀河鉄道の夜』を思わせる光の映像とともにSL時代の痕跡を見つけてください。
写真:モノホシ ダン
地図を見る映像のフィナーレは、亀の瀬デジタル資料室です。地滑りの歴史背景や地すべり土を取り除く排土工、地すべりの要因となっている地下や地表の水を抜く排水工、地すべりを止める深礎坑などの対策工事などについて学ぶことができます。
なおプロジェクションマッピングは事前予約制です。申し込みは柏原市にぎわい観光課サイトにあるフォーム、あるいはFAXで受け付けています。
<「日本遺産『龍田古道・亀の瀬』光の旅路」の基本情報>
住所:大阪府柏原市峠28-1
電話番号:072-940-6165
開催場所:旧大阪鉄道亀瀬隧道(亀の瀬トンネル)
開催期間:土曜日・日曜日・祝日
開催時間:9:30・10:30・11:30・13:30・14:30・15:30 (各回約15分)
見学料:無料(各回40名)
アクセス:JR関西本線(大和路線)河内堅上駅より徒歩約20分
車利用の方は、臨時専用駐車場利用
写真:モノホシ ダン
地図を見るエリア内の龍田古道を歩くルートでは、JR三郷駅から亀の瀬トンネルを経由してJR高井田駅までの約6km、1時間30分コースがおすすめです。
写真は、JR三郷駅近くにある龍田大社。亀の瀬トンネルと同じく日本遺産に認定された構成文化財の一つです。
御祭神は龍田風神で、廣瀬大社の水神とともに厚く信仰されました。今から約2100年前の崇神天皇の時代、風水害で凶作が続いた際に、天皇が夢で風神のお告げを聞いて創建されたと伝わります。
写真:モノホシ ダン
地図を見る龍田大社は、毎年7月第1日曜日に行われる風の難を除くといわれる風鎮大祭が有名です。お祭のクライマックスに奉納される風神花火は、関西では珍しい豪快な手筒花火で、大きく吹き上がる火柱は圧巻です。
拝殿には、柱に龍を模したしめ縄がグルグルと巻き付けられており、他に類を見ない独特な形状となっています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る龍田大社の御朱印は、龍の漢字の最終3画の「三」を「テ」で表記したものです。これは「りゅう」と読まず「たつ」と識別するための異字体表記です。ほかに授与品では、五行(木・火・土・金・水)に基づいたお守り「風神護符」がおすすめです。
<龍田大社の基本情報>
住所:奈良県生駒郡三郷町立野南1-29-1
電話番号:0745-73-1138
アクセス:JR関西本線(大和路線)三郷駅から徒歩約5分
写真:モノホシ ダン
地図を見る三郷駅から龍田古道に入る手前に見えるのが、JR関西本線の第三大和川橋梁。亀の瀬の地すべり地を迂回するために、特異な架構形態を採用した希少な鉄道構造物です。
<第三大和川橋梁の基本情報>
住所:奈良県生駒郡三郷町
アクセス:JR関西本線(大和路線)三郷駅から徒歩約5分
写真:モノホシ ダン
地図を見る龍田古道で最も標高が高い場所(標高80m)にある神社が峠八幡神社です。古道を行き交う人々がここで旅の安全を祈願しました。
<峠八幡神社の基本情報>
住所:大阪府柏原市峠494
アクセス:JR関西本線(大和路線)三郷駅から徒歩約15分
写真:モノホシ ダン
地図を見る亀の瀬の名前の語源となったのが亀岩です。亀の瀬トンネル前を流れる大和川に鎮座する亀形の奇岩で、江戸時代後期に刊行された『大和名所図会』にも描かれています。
<亀岩の基本情報>
住所:大阪府柏原市峠
アクセス:JR関西本線(大和路線)三郷駅から徒歩約30分
写真:モノホシ ダン
地図を見る第三大和川橋梁と同じく、亀の瀬の地すべり地帯を迂回するための鉄道構造物が第四大和川橋梁です。トラス橋は、上部のガーター橋の土台となっていて、橋が橋を支える特異な構造となっています。
<第四大和川橋梁の基本情報>
住所:大阪府柏原市
アクセス:JR関西本線(大和路線)河内堅上駅から徒歩約10分
写真:モノホシ ダン
地図を見る夏目の渡し跡は、大和川の川幅が最も狭くなる場所。昔はここに渡し船があり、旅人が休憩する茶屋もありました。現在は、川端橋(橋長88m)と呼ばれるスリル満点の吊り橋が架かっています。
<川端橋(青谷吊り橋)の基本情報>
住所:大阪府柏原市青谷
アクセス:JR関西本線(大和路線)河内堅上駅から徒歩約10分
写真:モノホシ ダン
地図を見る芝山は、大和川が湾曲して流れ、半島のように突き出た地形の山。『万葉集』では“島山”と詠まれています。聖武天皇もこの景観を愛し、対岸に先述の竹原井頓宮を構えました。
芝山の美しい景観を満喫したら、JR高井田駅に向かいましょう。途中には、第五・第六大和川橋梁という撮影スポットがあります。どちらも歴史のある鉄道橋です。轟音をあげて橋上を走る列車とあわせて眺めてみてはいかがでしょうか。
<芝山の基本情報>
住所:大阪府柏原市国分市場
アクセス:JR関西本線(大和路線)高井田駅から徒歩約20分
いかがでしたか。「日本遺産『龍田古道・亀の瀬』光の旅路」は、トンネル壁面を使った大迫力のプロジェクションマッピングです。
また同じ亀の瀬には、地すべりの仕組みが分かる「亀の瀬地すべり歴史資料室」もあります。プロジェクションマッピングとあわせて、人と地すべりの共生と闘いの歴史を体感してみてはいかがでしょうか。
2023年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/15更新)
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