巨人からリーゼントまで!香川県・小豆島で現代アートめぐり

巨人からリーゼントまで!香川県・小豆島で現代アートめぐり

更新日:2023/03/03 15:40

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
「瀬戸内国際芸術祭」といえば、3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台にして開催される国際芸術祭。しかし、開催期間を過ぎれば、作品はすべて撤去されると思っている方も多いのではないでしょうか。実は作品によってはそのまま会場で保存・展示され、開催期間中でなくても、それらを見てまわることができるのです。今回はそのなかでも香川県・小豆島に点在する作品の数々をご紹介しましょう。小豆島で現代アート、楽しみませんか?

大地でくつろぐ伊東敏光『ダイダラウルトラボウ』

大地でくつろぐ伊東敏光『ダイダラウルトラボウ』

写真:乾口 達司

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「瀬戸内国際芸術祭」は瀬戸内海の島々を舞台にして展開される国際芸術祭。香川県と岡山県の両県にまたがる大規模な芸術イベントであり、開催期間中は国内外から大勢の観覧者が会場に来訪します。

そんな瀬戸内国際芸術祭の会場の一つになっている香川県の小豆島にもさまざまなアート作品が展示されており、作品をめぐりながら、あわせて島内を観光することがてせきるという点も嬉しいところ。しかも、小豆島会場の作品は屋外に展示されているものが多く、開催期間が終了してもそのまま展示されています。

たとえば、写真の作品、これはいったい何だと思いますか?

大地でくつろぐ伊東敏光『ダイダラウルトラボウ』

写真:乾口 達司

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これは伊東敏光の作品。作品名は『ダイダラウルトラボウ』で、日本の山河を造ってきた巨人が次の造営を前にして、しばし休憩している様子を造形化したもの。船の廃材や不要になった地元の石材などを組みあわせて作られたものですが、この角度からだと、巨人が大地の上でのんびりくつろいでいる様子がよくわかりますね。

しかも、国内の伝説にしばしば登場する巨人(ダイダラボウ)をモデルにしているだけあり、巨大!写真に写り込んでいる観覧者と比較してみても、その大きさが想像できることでしょう。

<ダイダラウルトラボウの基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦甲274
アクセス:小豆島町町営バス「神浦西」バス停より徒歩約10分

なんだコレ!?『ヒトクサヤドカリ』と『潮耳荘』

なんだコレ!?『ヒトクサヤドカリ』と『潮耳荘』

写真:乾口 達司

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巨大といえば、『ダイダラウルトラボウ』の近くの集落にある尾身大輔の『ヒトクサヤドカリ』も驚きの大きさ。

ヤドカリの背負うものが貝ではなく、人の暮らす家屋であるという点からは、作者のユーモア精神が読み取れます。しかし、それだけではなく、われわれの暮らす居住空間に侵入してくる巨大なヤドカリの存在が、人間存在の危機的な状況までも暗示しています。

<ヒトクサヤドカリの基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦甲717
アクセス:小豆島町町営バス「神浦西」バス停より徒歩約5分

なんだコレ!?『ヒトクサヤドカリ』と『潮耳荘』

写真:乾口 達司

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巨大なラッパ型の集音器が海に向かって突き出すこの作品は、伊東敏光の『潮耳荘』。『ダイダラウルトラボウ』と同じ作者によって作られたものだけに、こちらも廃材などによってドーム状のオブジェが構築されています。このようなものが海沿いにたたずんでいる光景、何ともシュールですね。

しかも、こちらでは日によって内部に立ち入ることもできるのです。集音器の管は内部まで届いており、内壁にしつらえられた集音器に耳を当てると、波の音や鳥の鳴き声などさまざまな音が聞こえてきます。ぜひ耳を当ててみましょう。

<潮耳荘の基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦687
アクセス:小豆島町町営バス「神浦西」バス停よりすぐ

「醤の郷」にある作品群

「醤の郷」にある作品群

写真:乾口 達司

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小豆島町の「醤の郷」と呼ばれる地区には、その名のとおり、小豆島特産の醤油工場がたくさんあります。そんな地区の一角にたたずむのが、島田陽の『おおきな曲面のある小屋』。

醤油の醸造タンクを連想させるこの作品、いったい何だと思いますか?実はこれ、公共トイレなのです。その曲線の連なりが「醤の郷」の景観と見事に溶け込んでいますね。

<おおきな曲面のある小屋の基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町馬木甲833-2
アクセス:小豆島オリーブバス「安田」バス停より徒歩約8分

「醤の郷」にある作品群

写真:乾口 達司

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『おおきな曲面のある小屋』から街の裏手に広がるオリーブ畑に足を踏み入れると、突如出現するのが、清水久和の『オリーブのリーゼント』。

リーゼントをかぶったオブジェは背丈よりも大きく、訪れるものの度肝を抜きます。よく見ると、オブジェの下部にくぼみのあるのが、おわかりになるでしょう。ここには野菜や果物などを置くことができるのです。

「醤の郷」にある作品群

写真:乾口 達司

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作品の向かいの民家の倉庫には、写真のように、お祭りの際に使われるもう一つの類似作品が格納されています。住民の方がいらっしゃるときは声をかけて、ぜひ見せていだきましょう。

オブジェにちなんだリーゼント型のカツラも借していただけます。訪問の記念にリーゼント型のカツラをつけ、オブジェと記念撮影にのぞんでみてはいかがでしょうか。

<オリーブのリーゼントの基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町馬木甲262
アクセス:小豆島オリーブバス「安田」バス停より徒歩約10分

子どもたちの遊び場!『葺田パヴィリオン』

子どもたちの遊び場!『葺田パヴィリオン』

写真:乾口 達司

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小豆島の北東部に位置する福田地区で特にご覧いただきたいのが、こちらのオブジェ。西沢立衛の『葺田パヴィリオン』です。

『葺田パヴィリオン』は福田八幡神社の境内にあり、カーブした2枚の大きな鋼板によって形作られています。

子どもたちの遊び場!『葺田パヴィリオン』

写真:乾口 達司

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鋼板のあいだに生まれた空間は、子どもたちの格好の遊び場。隠れんぼをしたり、鬼ごっこをしたりするのに最適です。小さな簡易のベンチも据え付けられているため、横の舞台の上でもよおされるイベントをすわって楽しむこともできます。

神社の境内にある『葺田パヴィリオン』のシュールな光景と遊び場としての魅力をご堪能ください。

<葺田パヴィリオンの基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町福田
アクセス:小豆島フェリー福田港より徒歩約5分

瀬戸内国際芸術祭の展示作品を見てまわろう!

小豆島会場に残された瀬戸内国際芸術祭の展示作品、いかがでした?もちろん、今回ご紹介したのは、そのうちのごく一部に過ぎません。地図を片手に島内に点在する作品を見てまわり、現代アートの世界を楽しんでください。

2023年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2022/05/01 訪問

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