千葉・香取郡「神崎神社」黄門さまを唸らせた“なんじゃもんじゃの木”

千葉・香取郡「神崎神社」黄門さまを唸らせた“なんじゃもんじゃの木”

更新日:2023/04/21 12:30

井伊 たびをのプロフィール写真 井伊 たびを 社寺ナビゲーター、狛犬愛好家
「神崎神社」は1350年以上の歴史を有する古社。境内は7000坪あり、全域が天然記念物に指定された「神崎森」に抱かれ、森林浴が満喫できる。御祭神は、航空、交通の神様として崇められている、天鳥船命ほか五柱。黄門さんを唸らせた「なんじゃもんじゃの木」がある。狛犬愛好家には外せない神社だ。

隣接の「八坂神社」には縁結びの神様である、櫛稲田姫(くしいなだひめ)もまつられており合わせて参拝したい。

「神崎神社」は1350年以上の歴史を有する古社である

「神崎神社」は1350年以上の歴史を有する古社である

写真:井伊 たびを

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「神崎神社(こうざきじんじゃ)」は、利根川にかかる「神崎大橋(こうざきおおはし)」の袂にある、小高い「神崎森」に抱かれ、歴史を有する古社である。なお「神崎森」は、全域が県の天然記念物に指定されている。

この神社の創建年代については不詳だが、今から1350年前の白鳳2年(673年)、常陸国と下総国との境である大浦沼二つより、現在の地に遷座された。平安時代の史書「三代実録」には、「子松の神」の名で記載があり、元亀・天正の頃まで、神領700町歩を有したと記されている。

徳川時代には、代々御朱印20石を寄せられ、「六所鎮守神崎大明神」「神崎大社」などと称せられていたが、明治元年(1868年)以降、「神崎神社」と改称されている。明治6年(1873年)には「郷社」に列し、大正10年(1921年)に、「県社」に昇格。現在に至っている。

「神崎神社」は1350年以上の歴史を有する古社である

写真:井伊 たびを

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鳥居の左右で護る阿吽の狛犬は、狛犬分類で「江戸流れ」に属するようだが、比較的若い。昭和10年(1935年)の建立である。

特に、右側(阿像)の子どもの表情に注目したい。狛犬愛好家でなくても、視線の先が気になる。生を感じる巧みな造形だ!

「神崎神社」は1350年以上の歴史を有する古社である

写真:井伊 たびを

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手水舎で手と口を清め、境内へ進み出れば、広々とした先に拝殿を見つける。

ところで、こちらの境内へ至る参道は、急こう配の階段を昇り下りする必要がある。それはそれで、森林浴が満喫でき、おススメなのだが、足腰に自身のない方には、少々キツイかもしれない。

そんなお方は、神社前の「利根水郷ライン(国道356)の神宿交差点」から「神崎森」の左手へ回り込んだ先のスロープ道がおススメだ。しかし、こちらは自動車用の道につき、安全には充分な配慮が必要だろう。

「神崎神社」の境内は7000坪にもおよぶ!

「神崎神社」の境内は7000坪にもおよぶ!

写真:井伊 たびを

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参拝者を迎えてくれる拝殿は、堂々とした典型的な「反り屋根」だ。時間をかけて味わってみることにしよう!

これは中国大陸から伝わった建築様式なのだが、いつ見ても格式や荘厳さを感じさせてくれる。「反り屋根」では、大きな軒下を設けられ、雨水や日光から建物本体を守ることができる。また、高温多湿時の雨の日に窓を開けても雨水が吹き込みにくいというメリットもある。神社仏閣の建築様式に、全てがかなっている様式と言えよう。

「神崎神社」の境内は7000坪にもおよぶ!

写真:井伊 たびを

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御祭神は、航空、交通の神様として崇められている、天鳥船命(あめのとりふねのみこと)はじめ、少彦名命(すくなひこなのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと)、面足命(おもだるのみこと)など、五柱である。

産業守護、交通守護、家内守護、商業繁栄の祖神として、広く信仰されている。

「神崎神社」の境内は7000坪にもおよぶ!

写真:井伊 たびを

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拝殿の並びには、国指定天然記念物の「なんじゃもんじゃの木」がある。クスの木の巨木である。

延宝2年(1674年)4月のこと。水戸光圀公が、同社を参拝されて折、「この木はなんというもんじゃろうか」と、自問し感嘆されたという。それ以来、この御神木は、「なんじゃもんじゃ」の名をもって、広く知れ渡ったとされている。

主幹は明治40年(0907年)に火災で焼け、高さ7mほどで切断されているが、そのひこばえがよく育ち、樹高が20mの巨木に成長している。000坪ある境内には、ヤブニッケイ、タブノキ、スダジイ、ヤブツバキ、シダなど、学術上でも貴重な原生林が生い茂っている。

どこにいる?狛犬さんを探してみよう!

どこにいる?狛犬さんを探してみよう!

写真:井伊 たびを

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参道を登って下って、また登り切ったところ。「手水舎」の脇を固める貫禄充分な狛犬さんが出迎えてくれる。長い胴、短い足など、どこかダックスフンドを思わせる愛くるしさがある。

どこにいる?狛犬さんを探してみよう!

写真:井伊 たびを

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吽像の顔が欠け落ち痛々しい!かなりの傷みようだ。300年以上前の建立では仕方のないことだろう。台座には、元禄8年(1695年)11月吉日建立とある。

どこにいる?狛犬さんを探してみよう!

写真:井伊 たびを

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拝殿の欄干には木彫りの狛犬がいる。当初は、阿吽像がそろっていたのだろうが、いまは独りぼっち!木彫りの狛犬自体は珍しく、また、欄干にいる狛犬も珍しい。

新旧の狛犬が同時に楽しめる

新旧の狛犬が同時に楽しめる

写真:井伊 たびを

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境内に辿り着く最後の階段下に獅子山がある。

そこでは、躍動感あふれ遊びに興じる、狛犬と巡り逢える。見事なたてがみに反し、簡略化された造形でありながらも、生き生きとした四つ足。いまにも、襲いかかってきそうな、生命力を感じる。

新旧の狛犬が同時に楽しめる

写真:井伊 たびを

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見下ろす吽像に、子どもの狛犬がいるはずだが・・・。長い風雪に耐えかねて、朽ちてしまったのかもしれない。そんな状況に思いを馳せれば、吽像の表情に、どことなく憂いを感じる。

いずれにしても、時を超えて今もなお、観る人にその存在感を抱かせる石工の巧みさに感動する。狛犬愛好家でなくても魅了させられる、獅子山狛犬の傑作のひとつだろう。

新旧の狛犬が同時に楽しめる

写真:井伊 たびを

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拝殿前を護る狛犬は、岡崎現代型か。堂々として、新しい息吹を感じ、境内の雰囲気の要となっている。それにしても、吽像に踏みつけられている、子どもの狛犬には、少々心が痛む!

境内社「金刀毘羅宮」「聖観音」、神崎神宿の「八坂神社」

境内社「金刀毘羅宮」「聖観音」、神崎神宿の「八坂神社」

写真:井伊 たびを

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鳥居をくぐりしばらく進むと、右手奥に「金刀羅宮」がある。古来より海の神様、五穀豊穰・大漁祈願・商売繁盛など広範なご利益がある神様である。

境内社「金刀毘羅宮」「聖観音」、神崎神宿の「八坂神社」

写真:井伊 たびを

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「手水舎」の奥に、「聖観音」がある。安産子育ての神様である。

境内社「金刀毘羅宮」「聖観音」、神崎神宿の「八坂神社」

写真:井伊 たびを

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「神崎神社」に隣接する、「八坂神社」にも詣でたい!正徳2年(1712年)の創建とされる。かつて「天神様」と親しまれ信仰を集めていたが、明治元年(1868年)に「八坂神社」に改称された。

御際神は、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)とされるが、その奥方の「櫛稲田姫(くしいなだひめ)」を祭るともいわれる。ご利益は、「守ってくれる人に出会う」ことで、縁結びの神様とされている。

神崎神社の基本情報

住所:千葉県香取郡神崎町神崎本宿1944 
電話番号:0478-72-3161
アクセス:圏央道「神崎IC」から車で5分、JR成田線「下総神崎駅」から徒歩で20分。

2023年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2023/03/07−2023/03/16 訪問

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