写真:乾口 達司
地図を見る茨木市は大阪府の北摂地域に位置する市。市域を名神高速道路や近畿自動車道といった高速道路が通る一方で、閑静な住宅街も広がり、北摂地域のベッドタウンとして人気のエリアに数えられています。
そんな茨木市をめぐると、ご覧のように、「奈良」と表記された地名案内板を見かけます。そうなんです。茨木市には「奈良」の名を持つ地名が存在するのです。読み方もそのものずばり「なら」。茨木市に「奈良」があること、ご存知でしたか?
写真:乾口 達司
地図を見る今回ご紹介する「春日神社(かすがじんじゃ)」はそんな「奈良」の地に鎮座しています。鎮座している地の行政名こそ「天王」ですが、すぐ横は「奈良町(ならちょう)」であり、「奈良」ゆかりの神社であるといえます。
中世、春日大社の荘園が置かれていたことにちなみ、その地に鎮座する神社に「春日神社」の社名をつける事例は各地に見られますが、鎮座地の地域名称まで「奈良」というのは、非常に珍しいことです。
写真:乾口 達司
地図を見るしたがって、社前にもご覧のように「奈良 春日神社」と記されています。
しかし、そもそも、こちらの春日神社は、どういった由緒からそう呼ばれることになったのでしょうか。社伝によると、同地に暮らしていた村人が子授けを願い、大和国の春日大社に参詣したところ、めでたく男の子を授かりました。それにちなみ、神社を勧請。地名も「奈良」とあらためられました。以来、神社は子授け、安産の神として崇敬され、後に「春日神社」と呼ばれるようになったとのこと。
「奈良」にある「春日神社」は単なる偶然の産物などではなく、奈良にある春日大社と強い結びつきを持っていたわけですね。
写真:乾口 達司
地図を見る春日神社は春日大社のような大規模な境内を有しているわけではありません。しかし、境内は綺麗に清掃されており、いまでも地元民の崇敬を集めていることがうかかがえます。
写真:乾口 達司
地図を見る本殿の裏手にも、こじんまりとした二つの摂社が鎮座しています。
写真:乾口 達司
地図を見る摂社のすぐ後方は、大阪中央環状線や大阪モノレール。実はこの春日神社、大阪中央環状線の建設にともない、1963年(昭和38)、境内の一部を提供するとともに、本殿自体を20メートル南に遷座しているのです。
したがって、かつての本殿は写真のあたりに位置していたものと推測されます。
写真:乾口 達司
地図を見るすぐ後方を自動車やモノレールが走り抜けていくにもかかわらず、境内にはたくさんの松が生い茂っており、いまでも鎮守の森といった雰囲気を醸し出しています。
写真:乾口 達司
地図を見る大阪中央環状線に境内が浸食されているとはいえ、現在でも春日神社の往時の姿を確認することができます。
たとえば、こちらは境内の東方数百メートルのところにある石鳥居。鳥居からはまっすぐに参道がのびています。残念ながら、参道は途中で中央環状線によって分断されていますが、かつてはこの道を通って、多くの人が春日神社に参拝していました。
写真:乾口 達司
地図を見るそれは参道沿いに灯篭が並べられていることからもわかります。
写真:乾口 達司
地図を見る参道沿いには「奈良町第1児童遊園」という名称の小さな公園もあります。春日神社の参道沿いにある公園。これって、まさしく春日大社と奈良公園との関係そのものではありませんか。もちろん、奈良町第一児童遊園には奈良公園のシンボルというべき鹿の群れはおりませんので、あしからず。
茨木市の春日神社が、奈良市の春日大社といかに深いかかわりがあるか、おわかりいただけたでしょうか。春日大社の神意にあやかって創建された春日神社が大阪府の「奈良」の地にあるということ、まことに混乱必至の状況ではありますが、現地を訪れると、もっと混乱するはず。「奈良」の春日神社で奈良市の春日大社に思いを馳せてみてください。
住所:大阪府茨木市天王1-1-22
拝観料:境内自由
アクセス:阪急京都本線・大阪モノレール本線「南茨木駅」から徒歩約10分
2023年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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