歴代王の戴冠式舞台!ランスの世界遺産「ノートルダム大聖堂」

歴代王の戴冠式舞台!ランスの世界遺産「ノートルダム大聖堂」

更新日:2023/09/27 08:53

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
パリから東北東130kmにあるシャンパーニュの中心都市「ランス」。ここで世界遺産になっているのがノートル・ダム大聖堂です。

天蓋までの高さ、左右対称の見事さ、そして施された彫刻の数々。ステンドグラスも有名で、この驚異的ともいえる素晴らしさは“ゴシックの女王”と称えられるほど。
歴代王が戴冠式を行い、百年戦争の時代にはジャンヌ・ダルクがシャルル7世とともに訪れたこの大聖堂はフランス旅行で必見です。

ランスにある 特別な「ノートル・ダム」

ランスにある 特別な「ノートル・ダム」

写真:万葉 りえ

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「ノートル・ダム(Notre-Dame)」とはフランス語で「われらが貴婦人」という意味で、聖母マリアのこと。フランスでは聖母にささげられたカトリックの聖堂が各地に建てられており、それぞれに「ノートルダム教会」や「ノートルダム大聖堂」などとよばれています。

その中で、シャンパーニュの中心都市ランスにある「Cathedrale Notre-Dame de Reims/ランスのノートルダム カテドラル(大聖堂)」は特別な存在。歴代フランス王の戴冠式が行われたのがこの大聖堂なのです。

ランスにある 特別な「ノートル・ダム」

写真:万葉 りえ

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まず人々を圧倒するのが、こちらのファサード(正面部分)です。建物内部にももちろん彫刻はありますが、外側の彫刻の多さはご覧のように寸分の隙間もないほど。では、完成までに約260年の年月が費やされた大聖堂を、もう少し詳しく見ていきましょう。

ファサードに刻まれた様々な物語

ファサードに刻まれた様々な物語

写真:万葉 りえ

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現在のフランス北西部にはじめて国家が造られたのは481年のこと。そのフランク王国の初代王がクローヴィスという人物です。

権力を確かなものにするためにローマ系貴族たちとつながりを持ちたかったクローヴィス。そんな政治的背景もあって、クローヴィスはキリスト教のアタナシウス派(ローマ教会)へと改宗することにします。

そしてローマ教会の司教レミの手によって彼が洗礼を受けたのが、ここランス!塔の下の彫像が並んでいる部分は「王のギャラリー」と言われており、中央にはレミによるクローヴィスの洗礼が描かれています。

ファサードに刻まれた様々な物語

写真:万葉 りえ

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その下の中央門の辺りへ目を移すと、切妻部分にあるのが「聖母の戴冠」です。キリストの上にある太陽などには異なる色がつかわれ、聖母や天使は大変穏やかな表情をしています。肉眼でわかりにくい場合は、カメラなどで撮影してから大きくして見てみてください。

ファサードに刻まれた様々な物語

写真:万葉 りえ

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このランスの大聖堂は同じころに作られた大聖堂と比較して、彫刻・彫像の数が膨大なだけでなく、感情表現が豊かで優美と言われています。

先程の聖母や天使の像もそうですが、入口付近の像にも注目してください。特に左側の入り口に並ぶ大きな羽を持った像は「微笑みの天使」と言われ、人々を魅了しています。

ジャンヌ・ダルクが目指したランス大聖堂

ジャンヌ・ダルクが目指したランス大聖堂

写真:万葉 りえ

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そんな壮麗な外観を持つ大聖堂ですが、この地で教会の建設が始まったのは5世紀初頭のことでした。そして5世紀末にクローヴィスが司教レミから洗礼を受けた際に、「神が白鳩の姿で聖油を運んできてクローヴィスに授けた。これによりクローヴィスは王権を神授した」と伝わります。

ですからフランスでは、ランスで「王権の神授(戴冠式)」を行わなければ王として認めてもらえなかったのです。

ジャンヌ・ダルクが目指したランス大聖堂

写真:万葉 りえ

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そこでこの地では王の戴冠式を行うのにふさわしい大聖堂を建設するようになりました。現在ある大聖堂は、焼失したものに替わって1211年から建てたもの。内部は長さが約139mもあり、幅は30m。戴冠式を挙行するため身廊の幅は他の大聖堂より広めです。そして中心の高さは、あのパリのノートル・ダム大聖堂よりも高く38mとなっています。

ランスで戴冠式を挙げた王は全部で32人。そしてこの建物での挙行は、太陽王・ルイ14世やフランス革命で断頭台に散ったルイ16世も含め、1825年のシャルル10世まで25人も。その中の有名な一人にシャルル7世が挙げられます。

ジャンヌ・ダルクが目指したランス大聖堂

写真:万葉 りえ

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英仏百年戦争の時代。「窮地に陥っている王太子を助けよ」という神の声を聞いたのが、ドンレミ村の農夫の家に生まれた娘ジャンヌ・ダルクでした。フランス最後の砦となっていたオルレアンへ進軍し、命がけで王太子をランスへ連れてきます。

そして1429年に王太子がシャルル7世として即位したのもここ。しかし、ジャンヌはその後、陰謀や裏切りで命を落とします。わずか19年の生涯でした。

死後、1456年の裁判でキリスト教徒に復権し1920年には聖人となったジャンヌ。その姿といえば勇ましい様子を思い浮かべるかもしれません。しかしここには違う姿の像があります。悲しみをまとっているような娘の姿のジャンヌも見ておいてください。

必見のステンドグラス

必見のステンドグラス

写真:万葉 りえ

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次に注目してほしいのがゴシック建築の特徴であるステンドグラスです。フランス革命や第一次世界大戦の攻撃を受けながらも、ここには13世紀からのものが伝わります。このファサードの大きいほうのバラ窓もその一つ。中央に聖母がおり、第1花冠の12使徒と第2花冠の天使が周りを囲みます。

また、この大聖堂はバラ窓が上下にあるという珍しい造りです。下のバラ窓の中央には聖母と子供の姿のキリストが描かれ、周りは様々な物語の場面になっています。

必見のステンドグラス

写真:万葉 りえ

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そしてこの大聖堂ではマルク・シャガールのステンドグラスも見逃してはいけません。主祭壇(アプス)の後ろにある放射状祭室に1974年に設置されました。

碧い色が印象に残るシャガールのステンドグラス。十字架上のキリストの姿があり、クローヴィスの洗礼やシャルル7世の戴冠式などランス大聖堂が経てきた歴史も表されています。

必見のステンドグラス

写真:万葉 りえ

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また他とは趣が異なるステンドグラスも、シャガールの隣の祭室に飾られています。作者はドイツの現代美術家イミ・クネーベル。設置されたのは2008年と2015年ですが、着色や鉛の扱いなどは伝統的な技法で作成しており光が往時に近いものになっています。

なお身廊部分の高い窓や北側のバラ窓などにも、13世紀からのステンドグラスが輝いています。

本場のシャンパンも味わっておこう

本場のシャンパンも味わっておこう

写真:万葉 りえ

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最後にもう一点。大聖堂の内部で荘厳な雰囲気をじっくりと味わったら、ぜひ外観もよく見ておいてください。

街中にあっても、内に入ればそこは「神の国」。ステンドグラスから神の光が降り注ぎ、重量を感じさせない壁で囲まれたゴシックの教会。しかし高い天井に薄い壁だけでは、建物は壊れてしまいますよね。

そこで神の国の空間を創り出すために工夫されたのが、小さな塔をかぶってゴツゴツと並ぶ部分。この外側にある跳び梁(フライイング・バットレス)や控え壁が屋根からの力を受けとり、大聖堂が壊れないように守ってきました。

ゴシック建築といわれるものが建てられだしたのは1140年頃。人の力と簡単な機材だけで、当時の人々はこんな大建築を完成させていったのです。現代の専門家が調べても、どうやって制作したのかわからない部分もあるそうですよ。

本場のシャンパンも味わっておこう

写真:万葉 りえ

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さて、ランスがあるシャンパーニュの表記は「Champagne」。日本でシャンパンと呼ぶ発泡ワインも「Champagne」と同じです。しかしこの地方で造られても、「シャンパン」と呼べるのは品種や製法など条件を満たしたもののみ。大聖堂近くの専門店ではくわしい説明をしてくれます。ランスはシャンパーニュの中心地なのでぜひ味わっておきましょう。

そして日本で「ドン・ペリ」として有名な高級シャンパン「ドン・ペリニョン」は、シャンパンの完成に生涯を捧げた修道士の名前です。大聖堂にもシャンパンの守護聖人を描いたステンドグラスがあり、そこには製造の様子や修道士ドン・ペリニョンの姿も。時間があれば探してみてください。

ランスでは「サン・レミ聖堂」「トー宮殿」も世界遺産です。歴代王の戴冠式が挙行された荘厳な“ゴシックの女王”を体感し、美味しいシャンパンを味わう。あなたのランスへの旅にSante(乾杯)!

ランス・ノートルダム カテドラル(大聖堂)の基本情報

住所:Pl. du Cardinal Lucon, 51100 Reims
開館時間:午前7:30〜午後7:30/日曜日は午後7:15閉館
礼拝中は入場不可

2023年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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