リンゴ畑の中「庭園そば處 みさと」で安曇野をまるっと味わう

リンゴ畑の中「庭園そば處 みさと」で安曇野をまるっと味わう

更新日:2023/06/25 20:36

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
北アルプスの麓にある安曇野。ここでは、峰々からの湧水や、気温、日照時間などが、滋味のある農産物を生みだします。その美味しさを味わいにぜひ訪ねていただきたいのが「庭園そば處 みさと」です。

家族で営んでいるこの店の人気は、手打ちそばとリンゴを使った焼き菓子。食べればきっと、造り手のこの土地への愛をたっぷりと感じることができるはず。庭園も美しい古民家で、ゆったりと安曇野を味わいませんか。

清冽な湧き水の里、安曇野

清冽な湧き水の里、安曇野

写真:万葉 りえ

地図を見る

穂高岳をはじめとする3000m級の山々が連なる北アルプス。その峰々からの雪解け水が地表へと出てくるのが、麓にある安曇野市です。こちらはワサビ園に近い蓼川の風景ですが、川の透明度が高いのでボートで遊ぶ人が順番を待つほど。そんな水とともに、日照時間が長めなどの条件が安曇野の農産物を美味しく育ててくれます。

そこでご紹介したいのが、この土地でとれたものを味わえる「庭園そば處 みさと」。ここは、母と長女・次女を中心に家族で営む、田園の中のくつろげるお店です。

清冽な湧き水の里、安曇野

写真:万葉 りえ

地図を見る

店があるのは安曇野市の中でも北アルプスに近い三郷(みさと)地区になります。幹線道路から入って少し。リンゴ畑の間に築100年を超えようという古民家が建っています。

広い玄関から入れば、女将(母)から案内されるのが囲炉裏があるこちらのスペースです。ここでどの料理にするか注文してから、食事をする席へと移動。でも、イス・テーブル席もいいけれど、庭がよく見える座卓もゆっくりできそうで…と、どの席にするか迷ってしまうかもしれません。

挽きたてのそば粉を、祖母から受け継いだ技で

挽きたてのそば粉を、祖母から受け継いだ技で

写真:万葉 りえ

地図を見る

「信州そば」は長野県を代表する郷土食。高冷地のため米などの栽培は難しかったけれど、冷涼な気候は蕎麦の栽培に適していました。そのうえ標高が高く朝霧がかかるような高冷地は、霧が守ってくれるのでさらに美味しい蕎麦がとれます。

ですから信州では、そばは各家庭で食べられてきたもの。現在この店でそばを打つ作業は、祖母から技術を習った次女が担当しています。

挽きたてのそば粉を、祖母から受け継いだ技で

写真:万葉 りえ

地図を見る

その材料となるそば粉もしっかり安曇野産。しかも同じ三郷地区で栽培されているものです。ご案内したように三郷地区は安曇野市でも北アルプスに近い地区。この自然にも恵まれて栽培された美味しい蕎麦。使う分ずつ挽いていく、いわゆる“挽きたて”です。

そして冷たいそばについてくるワサビも、ワサビ生産が盛んな安曇野市の穂高地区からのもの。信州でそばを食べようとしても、どこでも生ワサビがついてくるわけではありません。
自分で生のワサビをすりおろせる贅沢。すりおろし方もちゃんと説明があるので、そばと共におろしたてのワサビを味わってください。

リンゴを活かすために生まれたオリジナルジャム

リンゴを活かすために生まれたオリジナルジャム

写真:万葉 りえ

地図を見る

そばを召し上がった後には、リンゴを使ったお菓子をどうぞ。焼き菓子は長女が担当しています。こちらのケーキのスポンジ部分は、口に含めばリンゴの香りがほんのり。そして下部にあるリンゴのジャムは甘いながらもさわやかさを口に届けます。庭園を眺めながら食後のデザートをいただけば、さらにくつろげることでしょう。

日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きい気候が高級なリンゴを育て、生産量は全国2位となっている長野県。安曇野市三郷地区は黒沢川の扇状地で水はけもよく、リンゴについても名産地なのです。

リンゴを活かすために生まれたオリジナルジャム

写真:万葉 りえ

地図を見る

しかし収穫されたリンゴの中には、味は同じなのに形などで規格外になってしまうものも出てきます。そのリンゴ達をなんとか活かしてあげたい!そこから始まったリンゴのジャムや菓子作り。その材料となるリンゴを栽培しているのは、長女のパートナーで地元のリンゴ農家です。

こんなにも品種ごとに作られているリンゴジャムはまれでしょう。リンゴそのものの美味しさが伝わるようにオリジナルレシピで制作されています。

そして、ジャムのために新しく製造室も作られました。それでも次のリンゴの季節までに、徐々に売り切れになっていくはず。果物売り場に並ぶ期間が短い「秋映」や「シナノスイート」なども、ジャムになっていればいつでも楽しめます。少し小さめの瓶の詰め合わせセットはお土産にも良いでしょう。

安曇野の季節を、小鉢の野菜でも楽しむ

安曇野の季節を、小鉢の野菜でも楽しむ

写真:万葉 りえ

地図を見る

この店ができたのは、平成元年のこと。先代(長女・次女の祖父母)が自宅を使ってそばの店を始めます。その当時から店で出すてんぷらや小鉢に使う材料は、家の畑で育てていた安曇野の野菜でした。

畑仕事を担っていた祖父は残念ながら亡くなりましたが、その気持ちは引き継がれ、今も家族で様々な野菜を育てています。春はフキノトウからはじまって、ヤマブキ、タラの芽、ミョウガの葉・・。と、行く春を味わっているうちに、季節は夏野菜へ、そして野沢菜や白菜など秋から冬の恵みへ。その時々で、どんなてんぷらや小鉢が出てくるかも楽しみにしてください。

そして店の30周年を記念して、大きく変わったのが庭の造りです。

安曇野の季節を、小鉢の野菜でも楽しむ

写真:万葉 りえ

地図を見る

花壇が中心になっていた庭から、ぐっと自然に溶け込んだ雰囲気に大改造。モミジなどの木々が室内からも見え、季節もしっかり感じられます。

そうそう、そばやケーキの写真で、モミジがあしらわれていたのに気づかれましたか?あの葉の色は、本当にその時期だけしか愛でられない色。食後はぜひ駐車場の奥へ庭散策に行ってください。

野鳥がくる池もあるし、木立の下には小さな滝も設けられています。その滝の水が流れていく小川では、初夏には水芭蕉や鮮やかなピンクの九輪草も見られます。

長野県の美しい風土があってこその美味しさ

長野県の美しい風土があってこその美味しさ

写真:万葉 りえ

地図を見る

材料がシンプルなものほど、素材の良しあしと作り手の持つものがでてくるのかもしれません。

そば切りといえば、主なのはそば粉と水。そのどちらも大変いいものが揃うのが安曇野です。さらにそばは茹であがった後、冷たい水で締めていきます。それも北アルプスからの恵みの水がぎゅっと締め、旨味をとじこめます。

長野県の美しい風土があってこその美味しさ

写真:万葉 りえ

地図を見る

東傾斜の田園風景の中に小さな路地が通り、屋敷林が点在している安曇野市三郷地区。山側の畑にはリンゴ狩りなどの看板もあり、リンゴ畑の向こうには雄大な北アルプスが望めます。

この場所だからこそ収穫できる安曇野の産物。その滋味を味わいに「庭園そば處 みさと」へと足をのばしてみませんか。

庭園そば處 みさとの基本情報

住所:長野県安曇野市三郷小倉3549
電話番号:0263-77-2401

2023年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -