写真:乾口 達司
地図を見る「千足古墳(せんぞくこふん)」は、岡山県岡山市にある古墳。全国第4位の規模を誇る「造山古墳(つくりやまこふん)」の「陪塚(ばいちょう/主墳の周辺に築かれた小型の古墳で、主墳に埋葬された被葬者の関係者や副葬品を埋葬した塚)」の一つと考えられています。
石室には古代の文様である「直弧文(ちょっこもん)」の刻まれた「石障(せきしょう/石室を構成する板状の石材)」があることで知られていましたが、2009年石障に剥落部分があることが発覚。石障は石室から取り出され、外部機関で保存されることとなりました。それにあわせて復元整備事業がおこなわれ、2023年ようやく事業が完了しています。
写真は復元整備された「千足古墳」。ご覧のように遠目からも古墳の形をはっきりと確認することができます。
写真:乾口 達司
地図を見る写真は墳丘上から撮影した一枚。千足古墳の全長は約80メートルで、円形の後円部と四角い前方部とから成ります。いわゆる前方後円墳の形状ですが、直径約60メートルの後円部に対して、前方部の全長が約25メートルと短いため、帆立貝の形に似ていることにちなんで「帆立貝形古墳」と見なされています。
写真からは、前方部に比べて、段上に築かれた後円部が高く築かれていることがうかがえます。こういった事柄が視覚的に理解しやすくなったのも、復元整備の成果であるといえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る墳丘上およびその裾部には、復元された埴輪も並べられています。
写真:乾口 達司
地図を見る後円部の頂上にも登れます。地面にペイントされた部分は、石室の位置を示したもの。そう、千足古墳は2基の横穴式石室から成り立っているのです。
ちなみに、正面の遠くに見えている森は、千足古墳の主墳に当たる造山古墳。頂上から眺めると、それぞれの位置関係がよくわかります。
写真:乾口 達司
地図を見る後円部をぐるりととりかこむようにして、円筒埴輪の復元模型も並べられています。
写真:乾口 達司
地図を見る手前にあるのは、復元された家形埴輪。向こう側は「蓋形埴輪(きぬがさがたはにわ)」。貴人にさしかける傘(蓋)を模したものです。
写真:乾口 達司
地図を見る今回の復元整備事業の目玉は、2基から成る横穴式石室のうちの1基の内部を自分の目で見ることができること!写真はその通路部分です。
※石室内は月曜日と年末年始をのぞき、午前10時〜午後3時までの間、常時拝観可能です
写真:乾口 達司
地図を見る石室内は、ガラス越しに上方からのぞき込むようにして、観察することができます。
石室は以前から開口していましたが、当時は覆屋がなかったため、開口部から雨水が進入し、石室内は常に水がたまっている状態でした。したがって、その内部の様子を観察することもできませんでしたが、今回の復元整備により、誰でも容易にその内部を観察することができるようになったことは喜ばしい限りです。
写真:乾口 達司
地図を見る石室の奥にある白い部分を拡大したものが、こちらの写真。これこそ古代の文様である直弧文の刻まれた石障です。石障の実物は石室から取り出され、現在、別のところで保存されていますが、レプリカとはいえ、直弧文の様子をはっきり目にすることができるのは、貴重です。
直弧文は、その名のとおり、直線と帯状弧線とが複雑に組み合わせられた文様で、各地から出土した遺物に刻まれています。いわば、古代を代表する文様であったといえますが、それが古代人にとってどのような意味を持つものであったか、現在もはっきりとはしていません。まさしく謎の文様です。
写真:乾口 達司
地図を見る今回の復元整備事業の結果、千足古墳を自由にめぐることができるようになりました。さまざまな角度から千足古墳を見てまわりましょう。
千足古墳がいかに魅力的な古墳であるか、おわかりいただけたでしょうか。見学の際は石室内ものぞき、千足古墳が伝えた謎の直弧文もぜひご覧ください。
住所:岡山県岡山市北区新庄下1271
アクセス:造山古墳ビジターセンターより徒歩約5分
2023年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/7更新)
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