日本三大奇祭“会陽”の本場!岡山「西大寺(観音院)」

日本三大奇祭“会陽”の本場!岡山「西大寺(観音院)」

更新日:2023/09/05 11:50

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
岡山県岡山市東区にある「西大寺(さいだいじ)」といえば、毎年2月の第3土曜日、大勢の裸の男性が「宝木」と呼ばれる木の棒を奪い合う「会陽」(裸祭り)のおこなわれる寺院として、ご存知の方も多いのではないでしょうか。しかし、意外と知られていないのは、西大寺がどのような由緒来歴を有する寺院であるか、ということ。会陽にばかり注目の集まる西大寺ですが、今回はそんな西大寺の歴史や建造物を中心にご紹介しましょう。

サイの角!?奈良時代の創建と伝わる「西大寺」

サイの角!?奈良時代の創建と伝わる「西大寺」

写真:乾口 達司

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「金陵山」の山号を有する「西大寺(観音院)」は岡山県岡山市東区に位置する寺院。ご本尊は十一面千手観世音菩薩。33年に一度、御開帳される秘仏で、次回は2028年(令和10)に御開帳される予定です。

西大寺所蔵の「金陵山古本縁起」によると、西大寺は、751年(天平勝宝3)、周防国玖珂庄の住人・藤原皆足姫が「金岡」の地(現在の岡山市東区西大寺金岡)に観音像を安置したことにはじまります。

サイの角!?奈良時代の創建と伝わる「西大寺」

写真:乾口 達司

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写真は境内の一角にあるサイ(犀)の像。お寺にサイの像があるのはなぜ?と不思議に思う方もいらっしゃるでしょうが、「金陵山古本縁起」によると、皆足姫が金岡の地に観音像を安置した後の777年(宝亀8)、大和国・長谷寺で修行をしていた安隆上人が夢のお告げにしたがって金岡に向かっていたところ、サイの角を持った龍神が出現し、「この角をいただき、御堂を移し給え」と告げたことに由来します。

上人はサイの角を鎮めた現在の地に本尊を移し、堂宇を建立。サイの角をいただいたことにちなみ、当初は「犀戴寺(さいだいじ)」と称していましたが、後世、後鳥羽上皇の祈願文によって「西大寺」とあらためられました。

そうなんです。西大寺は、当初、「犀戴寺」と称していたのです。ご存知でしたか?

サイの角!?奈良時代の創建と伝わる「西大寺」

写真:乾口 達司

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西大寺はその後、堂宇の拡充がはかられ、中世には当地屈指の大寺院となりました。

ご覧のように、西大寺の境内は県内を南北に流れる吉井川沿いに位置しています。吉井川がかつての備前国における物流の大動脈として機能していたことを踏まえると、西大寺がいかに当地の商業資本と結びつき、繁栄していたかがうかがえるでしょう。

「御福窓」から散華を!大型の本堂

「御福窓」から散華を!大型の本堂

写真:乾口 達司

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境内の中心に位置するのは、本堂。1863年(文久3)に再建された大型の仏堂で、現在、岡山市指定重要文化財となっています。

その建立には約18ヶ月を要したとされており、部材が太くて豪壮であることとあわせて、本堂がいかに大規模な仏堂であるかがうかがえます。

「御福窓」から散華を!大型の本堂

写真:乾口 達司

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本堂の内部は、本尊を安置する内陣と礼拝者向けの外陣とに分かれています。

外陣は会陽の際に大勢の参加者が集うことを考慮して板敷となっている上、開放感に富んだ造りとなっています。

「御福窓」から散華を!大型の本堂

写真:乾口 達司

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注目したいのは、上部にご覧のような窓がしつらえられていること。これは「御福窓」と呼ばれるもので、会陽の際、宝木を投下するための窓です。

近年は「福受け体験散華」(有料)として、御福窓から願いごとを書いた散華を投下することもできるため、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

境内に点在する歴史的建造物

境内に点在する歴史的建造物

写真:乾口 達司

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写真は境内の西側に立つ仁王門。国登録有形文化財となっており、岡山県では最大級の規模を誇る三間一戸の楼門です。

参道の両脇に屹立する仁王像、まわりを取り囲むようにしつらえられている十二支の彫刻は必見です。

境内に点在する歴史的建造物

写真:乾口 達司

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本堂の背面側にあるのは、鐘楼門。国登録有形文化財となっている江戸時代の建造物です。

内部には「招福の鐘」と呼ばれている梵鐘(国指定重要文化財)が吊り下げられています。高麗王朝時代に朝鮮半島で作られたもので、日本に現存する朝鮮鐘としては最大の規模です。

境内に点在する歴史的建造物

写真:乾口 達司

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珍しい造形なのは、こちらの「石門」(国登録有形文化財)。1819年(文政2)、正翁上人の発願によって建立されたもので、二層からなる構造のうち、下階は石造、上階は木造で、上階は漆喰塗でかためられています。

先ほどご紹介した楼門の梵鐘は、もともとこちらの石門に吊り下げられていました。

やっぱり会陽!会陽モード満載の境内

やっぱり会陽!会陽モード満載の境内

写真:乾口 達司

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西大寺といえば、やはり会陽を抜きには語れません。したがって、境内をめぐると、あちらこちらで会陽にちなんだ施設を見ることができます。

こちらは観光地でよく見掛ける顔出しパネルですが、これもやはり会陽にちなみ、参加者である裸の男性たちを形どったものとなっています。

やっぱり会陽!会陽モード満載の境内

写真:乾口 達司

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ご覧の観覧席は、もちろん、会陽を観覧するためのもの。境内にこんな観覧席があるお寺、なかなかありませんよ。

やっぱり会陽!会陽モード満載の境内

写真:乾口 達司

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石門の横には、お寺には似つかわしくない石鳥居が立てられています。その向こうにあるのは、垢離場。会陽の2週間前から当日まで、ここで心身を清める垢離取り修行がおこなわれます。

西大寺がどういったお寺であるか、おわかりいただけたでしょうか。会陽のおこなわれる日(毎年2月の第3土曜日)はもちろん、会陽以外の日に参詣しても魅力に富んだお寺ゆえ、西大寺にぜひ足をお運びください。

西大寺の基本情報

住所:岡山県岡山市東区西大寺中3-8-8
電話番号:086-942-2058
アクセス:JR西大寺駅より徒歩約10分

2023年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2022/05/01 訪問

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