写真:モノホシ ダン
地図を見る『日本書紀』によると、滋賀県の近江神宮の御祭神・天智天皇は、671年(天智天皇10年)に漏刻(水時計)を造り、大津宮の新台に置いて、鐘鼓を打って時報を開始しました。
ところが、その10年ほど前の660年(斉明天皇6年)、中大兄皇子と呼ばれていた時代に漏刻を造り、日本で初めて人々に時刻を知らせたとの記述があり、それがこの「飛鳥水落遺跡」であることが判明しました。
写真は、国指定史跡の飛鳥水落遺跡の全景です。
写真:モノホシ ダン
地図を見る飛鳥水落遺跡は、溝が張り巡らされた方台形の土地に、25本の木杭が打ち込まれ、ここが何かの遺跡であることが判ります。
水落遺跡の向こう側は、旧飛鳥小学校の校庭を利用した駐車場、その奥には明日香村埋蔵文化財展示室と、あすか夢の楽市の建物が並んでいます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る1981年(昭和56年)から始まった本格的な調査の結果、建物の規模や性格が明らかにされました。
それによると日本最初の水時計「漏刻」は、2階建ての屋根付きのしっかりとした建物で、飛鳥川の水を木樋(もくひ)を使って導水し、サイフォンの原理で水を垂らすことによって時を刻んだものでした。
現地のイラスト入りの解説版には、一定の間隔で水を注ぐために階段状の複数の漏壷(ろうこ)と呼ばれる水槽が設置され、正確な時間を計測していたことが記されています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る建物1階には、水時計装置。2階には、明日香村に居住する人々に時刻を知らせる鐘や太鼓がありました。
この漏刻により、時の支配を確立した中大兄皇子は、官吏たちの勤務体制を整え、飛鳥時代の官僚機構をより強化することに成功したのです。
なお、水落遺跡は甘樫丘(写真)や、大和三山を望む風光明媚な観光スポットでもあります。中国から取り入れた、当時の最新の科学技術を結集した国家的プロジェクトの舞台「漏刻」で、時計の始まりの歴史を体感してください。
写真:モノホシ ダン
地図を見るところで、水落遺跡の一角には、不思議な形の建物の礎石が残されています。これはどう見ても、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』のロボット兵にしか見えないのではないでしょうか。
写真:モノホシ ダン
地図を見るこの放射状に伸びて横たわっている礎石は、まるでロボットが空を飛ぶような近未来的なデザインで、とても今から1300年以上前のものとは思えません。明日香村で有名な「亀石」や「猿石」などと同じく、ミステリーストーンの一つと言えるかも知れませんね。
写真:モノホシ ダン
地図を見るなお、水落遺跡と同じ明日香村にある「飛鳥資料館」では、漏刻の原寸大復元模型があります。漏刻は階段状になっていて、最上段の枡に水を入れると銅管を伝わって水が下の段へと次々に移動します。
写真:モノホシ ダン
地図を見るそして、一番下の升に入れた目盛り付きの棒、いわゆる箭(や)が、水位の上昇で浮き上がり、その動きで時間をはかっていました。
写真:モノホシ ダン
地図を見る資料館では、水落遺跡の上に水時計(漏刻)を復元した縮尺20分の1の模型もあります。この模型は、飛鳥時代の水時計の24時間の動きを光ファイバーと発光ダイオードを用いて約1分間に凝縮したものです。
水落遺跡や飛鳥資料館の漏刻模型から、古代の水時計の様子を想像してみてください。
<奈良文化財研究所飛鳥資料館の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村奥山60
電話番号:0744-54-3561
営業時間:9:00〜16:30(入館は16:00まで)
定休日:月曜日、年末年始
観覧料:一般350円 大学生200円 70歳以上・高校生および18歳未満は無料
アクセス:近鉄橿原神宮前駅または飛鳥駅から明日香周遊バス(赤かめ)で「明日香奥山・飛鳥資料館西」バス停下車すぐ
車利用の場合は、無料駐車場利用
写真:モノホシ ダン
地図を見る飛鳥水落遺跡を見学したら同じ敷地内にある「明日香村埋蔵文化財展示室」にも行ってみましょう。旧飛鳥小学校の建物を利用したもので、レトロな雰囲気が漂います。
写真:モノホシ ダン
地図を見る室内には、牽牛子塚古墳やキトラ古墳の石室の模型の展示などがあり、明日香村観光の前に立ち寄ると予備知識を得て、要領よく明日香村を回ることができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る飛鳥時代とは、一般的に飛鳥に都が置かれていた、592年から平城京遷都(710年)までの約120年間のことを呼びます。
またこの時代の特徴として、天皇の半数は女帝で、彼女たちの手腕によって新たな都の造営、大宝律令を始めとする法制度の整備が実現されました。
日本国創成の地である飛鳥は、日本史上、女性が最も力強く活躍した場所・時代と言っても過言ではありません。
写真:モノホシ ダン
地図を見る飛鳥時代の冠位制度としては「冠位十二階」が有名です。日本で初めての冠位・位階であり、この制度により人材登用の道が開かれました。
具体的には、朝廷に仕える臣下を12の等級に分け、地位を表す色別に分けた冠を授けたもので、最高位の色は「紫」でした。
写真:モノホシ ダン
地図を見る貨幣経済では、日本で初めての貨幣「富本銭(ふほんせん)」が。飛鳥で作られた日本最古の公的な銅製の鋳造貨幣で、かつて、国産では一番古いといわれた銅貨「和同開珎(わどうかいちん)」よりも、さらに古い貨幣と考えられています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る飛鳥水落遺跡に隣接していたと考えられている遺跡が、「飛鳥石神遺跡」です。この遺跡は、賓客をもてなす古代の迎賓館で、遺跡跡からは、不思議な「石人像」が発掘されています。
この石人像は、年老いた男女が抱擁する姿が彫られた石造物で、飛鳥時代の庭園を飾っていた噴水と考えられています。
写真はレプリカですが、実物が見たいという方は先にご紹介した「飛鳥資料館」で見ることができます。この機会に明日香村の博物館めぐりを楽しむのもおすすめです。
<明日香村埋蔵文化財展示室の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥225-2
電話番号:0744-54-5600
利用時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:無料
休館日:年末年始
アクセス:近鉄橿原神宮前駅東口から、飛鳥周遊バス(赤かめ)「飛鳥」バス停下車すぐ
車利用の場合は、無料駐車場利用
住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥
アクセス:近鉄橿原神宮前駅東口から、飛鳥周遊バス(赤かめ)「飛鳥」バス停下車すぐ
車利用の場合は、無料駐車場利用
2025年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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