写真:乾口 達司
地図を見る奈良国立博物館は、東京国立博物館、京都国立博物館、九州国立博物館と並ぶ我が国の4大ナショナルミュージアムの一つ。秋にもよおされる正倉院展の展示会場として、その名を知る方も多いのではないでしょうか。
展覧会のうち、特別展はおもに写真の東館で行われ、仏教美術を中心とした常設展はその西側に位置する本館で行われますが、「とくべつワークショップ」はそんな東館と本館とをつなぐ地下回廊にある「ちえひろば」でもよおされます。
写真:乾口 達司
地図を見る「とくべつワークショップ」があるのは、毎月第2日曜日と第4日曜日。第2日曜日のテーマは「ほとけさまに服を着せよう!」です。
当日、会場を訪れると、ご覧のような裸の仏像が目に飛び込んでくるはず。「ほとけさまに服を着せよう!」では、こちらの仏像に実際に衣裳を着せていくことになります。
写真:乾口 達司
地図を見るえ?裸の仏像?衣裳を着せる!?と驚かれる方も多いのではないでしょうか。しかし、日本では、鎌倉時代以降、裸形の仏像が数多く作られ、裸の上に実際に衣裳を着せた姿で礼拝されて来たのです。奈良国立博物館の位置する奈良市にも、伝香寺の地蔵菩薩立像やl珹寺の阿弥陀如来立像など、実際に衣裳を身にまとった仏像が複数存在します。
写真のレプリカは、奈良国立博物館に所蔵されている阿弥陀如来立像(裸形)をモデルにして、2022年に制作されたもの。会場にはオリジナルの写真も展示されているので、興味のある方はご覧ください。
写真:乾口 達司
地図を見るでは、実際にレプリカに衣裳を着せていきましょう。
ワークショップでは、仏像に着せる衣裳は大きく分けて3種類から成り立ちます。最初に着せるのは青色の「裙(くん)」。仏像の下半身に巻き付けるもので、スカートのようなものを想像していただければよいでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る次に着せるのは、緑色の「覆肩衣(ふくけんえ)」。文字通り、肩を覆うための衣服です。
しかし、仏像に衣裳を着せるなんて、やったことがない、どうやって着せたらいいか、わからない。実際に作業をおこなってみると、そんな悩みを持つ方も多いことでしょう。しかし、心配無用。スタッフの方が手をたずさえ、ときには完成形の写真を見せながら教えてくださるので、誰でも簡単に着せられますよ。
写真:乾口 達司
地図を見る覆肩衣を着せたら、最後はご存知の「袈裟(けさ)」を巻き付け、完成。作業時間は5分とかかりません。
裸形の仏像だけでも珍しいのに、仏像に衣裳まで着せられるなんて、なかなか体験できないことです。ぜひ、ご参加ください。
<ほとけさまに服を着せよう!>
日時:毎月第2日曜日10:30〜15:30
場所:ならはく教育普及スペース「ちえひろば」
参加料:無料
事前申込:不要
写真:乾口 達司
地図を見る毎月第4日曜日にもよおされるワークショップは「絵巻物をみて!きいて!さわろう!」。奈良国立博物館所蔵の絵巻物を拡大した複製を絵解きし、その魅力を堪能してもらおうというワークショップです。
写真:乾口 達司
地図を見るとりあげられるのは、奈良国立博物館所蔵の国宝「地獄草紙」。「地獄草紙」は、その名のとおり、7つの地獄の様子を詞書と絵とで表現したもので、ワークショップではスタッフが実際に「地獄草紙」の複製をひもときながら、地獄のさまを一つずつ絵解き風に解説してくれます。
写真:乾口 達司
地図を見るもちろん、難しい言葉は噛み砕いて説明してもらえます。難解な地獄の名称についてはボードで掲示までしてもらえるので、小さいお子さんでも「地獄草紙」の世界を理解することができますよ。
写真:乾口 達司
地図を見る「地獄草紙」はリールの付いた装置を操作することによって展開します。
写真は「鉄磑所」と呼ばれる地獄。4匹の鬼が地獄に落とされた死者を臼ですり潰しているのが、おわかりになるでしょう。鉄磑所では、粉々にすり潰された死者はふたたび人間の形に戻され、ふたたびすり潰されてしまいます。その行為が無限に続けられるのです。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは「鶏地獄」。巨大な鶏が死者をさいなむという地獄です。
こういった猟奇的でおどろおどろしい世界が、スタッフの方々の解説によって、展開されるのです。
写真:乾口 達司
地図を見る絵解きの終了後は、絵巻物の複製に直に触れることもできます。実際に絵巻物の複製を触ることで、絵巻物がどのような構造になっているのか、それをどうやって読み進めるのかを体感することができますよ。
写真:乾口 達司
地図を見る先ほどご紹介した「鶏地獄」もご覧のとおり。本物そっくりなので「地獄草紙」の世界が生々しく伝わってきます。
<絵巻物をみて!きいて!さわろう!>
日時:毎月第4日曜日10:30〜15:30
場所:奈良博教育普及スペース「ちえひろば」
参加料:無料
事前申込:不要
奈良国立博物館所蔵の文化財を活用した体感型の「とくべつワークショップ」、いかがでしたか?仏像に衣裳を着せたり、絵巻物に触れたりと、奈良国立博物館でなければ体験することのできない内容は貴重です。奈良国立博物館を訪れ、仏教美術の新たな魅力を発見してみてください。
住所:奈良県奈良市登大路町50番地
電話番号:050-5542-8600
アクセス:近鉄奈良駅より徒歩約10分
2023年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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