写真:島塚 渓
地図を見る紀州東照宮が建立された和歌の浦は、古代より風光明媚な土地として知られています。
日本で最初につくられた和歌集である「万葉集」には、和歌の浦を詠んだ11首の和歌が収められており、現在の和歌山県の語源にもなっています。当時、河口に広がる干潟と点在する島々は見飽きることがないと称賛され、江戸時代になってからも天橋立と並ぶ景勝地として認識されていました。
写真:島塚 渓
地図を見る和歌の浦の名所として知られる紀州東照宮は、江戸時代初頭の元和7年(1621年)に完成しました。徳川家康の十男である徳川頼宣(とくがわよりのぶ)が紀州藩主に命じられ、東照大権現と呼ばれた家康を祀るために創建された神社です。紀州徳川家は尾張徳川家・水戸徳川家とともに御三家と呼ばれる大藩となり、藩祖の頼宣も後に家康と合わせて祭神として祀られるようになりました。
写真:島塚 渓
地図を見る紀州東照宮の参道は周りを木々に囲まれ、昼でも少し薄暗く厳かな雰囲気に包まれています。参道の両側には家臣たちが寄進した石灯籠が立ち並び、足元の石畳には名産の紀州青石(きしゅうあおいし)が使用されています。
紀州青石は暗緑色で縞模様の美しい外観と比較的柔らかく加工しやすいという特徴から、古くから庭園の石材として重宝されてきました。さらに雨に濡れるとツヤが出て、石畳の参道はよりいっそう美しい姿を見せてくれます。
写真:島塚 渓
地図を見る紀州東照宮は権現山という小高い山の中腹に鎮座しているため、参拝する際には階段を登らなくてはなりません。徳川頼宜が陣頭指揮を執って家臣たちに作らせた「侍坂(さむらいざか)」と呼ばれる急こう配の石段は108段あり、登ることで煩悩を打ち払うという意味が込められています。
なお、侍坂のすぐそばには傾斜の緩い坂も設置されており、足腰に不安を持つ人でも参拝しやすいようになっています。
写真:島塚 渓
地図を見る石段を登り朱塗りの楼門をくぐって振り返ると、深い木立の奥に和歌の浦の絶景が広がっています。ここからの風景は楼門を額縁に見立て、まるで一枚の大きな絵画を見ているかのような感覚に浸れます。この眺望は紀州東照宮を代表する景観となっており、しばらく時間を忘れて見入ってしまうような魅力を持っています。
写真:島塚 渓
地図を見る楼門をくぐった先は広場となっており、その奥には本殿をはじめとする社殿が鎮座しています。参拝する際は手前の唐門までしか入場できないため、直接本殿を眺めることはできませんが、その厳かな雰囲気を十分に感じることができます。
社殿は日光東照宮と同様の権現造(ごんげんづくり)と呼ばれる構造で、本殿の前に拝殿を並べ、その間に空間を設けています。また、細部にわたって緻密な装飾が施され、左甚五郎(ひだりじんごろう)作の彫刻や狩野探幽(かのうたんゆう)作の壁画で彩られています。
住所:和歌山市和歌浦西2丁目1-20
アクセス:和歌山バス「権現前」下車すぐ
拝観時間:9:00〜16:30
拝観料:大人300円、小中高生100円
2024年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事を書いたナビゲーター
島塚 渓
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(2025/2/10更新)
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