写真:万葉 りえ
地図を見る世界遺産になっている宇治の「平等院」。その参道へと入っていけば、たくさんの茶舗が並び、多くの人が行き交う姿を目にするでしょう。
そしてもう一つの世界遺産である「宇治上神社」があるのは、宇治川をはさんだ向こう側。ここには中州を使って橋が架かっているので、回り道する必要はありません。すぐに向こう岸へと渡れるようになっています。
写真:万葉 りえ
地図を見る平等院からならわずか10分ほど。宇治上神社がある方へと橋を渡ったら、少し上流側へと進んでいきましょう。ほどなく寺名を記した立派な石碑が右手に見えてきます。さらに、「曹洞宗高祖道元禅師初開之道場」と刻まれた大きな石柱もあります。そこが、今回ご紹介する“紅葉の名所”といわれる興聖寺への入り口です。
写真:万葉 りえ
地図を見る琴坂と名付けられたなだらかな坂の両側には、たくさんのモミジが植えられています。この坂では、柔らかな色合いの新緑の頃から、青さがまぶしい夏期、そして秋が進んでいくにつれて深まっていく紅…というように、龍宮造りの白い山門までを季節季節でモミジが彩ります。
写真:万葉 りえ
地図を見る薬医門を過ぎれば、受付がある庫裡(くり)へと進むのですが、そこからは格子ごしに鐘楼が見られます。「宇治十二景」の一つに数えられているこちらの鐘。ここで写真を撮るなら、このようにモミジが共演してくれます。
その景色を楽しんだら興聖寺の建物へと入っていきましょう。
写真:万葉 りえ
地図を見る興聖寺の始まりは1233年。厳しい修行でも知られる永平寺(初めの名称は大佛寺)を建立した道元禅師が日本で初めて伏見深草に開いた禅宗寺院です。1649年に伏見に近い宇治で再興され、現在14000ある曹洞宗の、最古の道場にもなっています。
写真:万葉 りえ
地図を見る多くの僧が修行を行ってきた寺。ですから庫裡もこんなに大きく堂々としたもの。奥へと目をやれば、「一体何人分の食事をまかなっているのだろうか」と思うほどの大きな竈(かまど)も見ることができます。
食事も修行の一つ。ここからすでに凛とした空気が感じられるでしょう。
写真:万葉 りえ
地図を見る庭越しに見えているのは、先程内部をご紹介した庫裡の外観です。このように、手入れの行き届いた庭を真ん中に、七堂伽藍で建立された興聖寺。庭の周りにあるいくつもの建物を、ぐるっと巡ってご覧いただけるようになっています。
写真:万葉 りえ
地図を見る庫裡の奥にあるのが、来賓をもてなす場所として使われている大書院です。ここでは方丈の建物との間にある中庭も見どころです。宇治川から引いた水が小さな滝から流れ落ち、池の周りには四季の移ろいを感じさせる草木。
このように、静かな時間が楽しめるようにイスも置かれています。風が木々を揺らす音なども、ゆったりと感じてみてください。
写真:万葉 りえ
地図を見る寺の中心の建物となる法堂(はっとう)の入り口には、木戸に描かれた絵画も残っています。ここにいらっしゃるのが、本尊釈迦牟尼仏。道元禅師の自作とも伝えられています。
さて、使われなくなった大きな建物の遺構を他の建物に利用する。今でいうリサイクル、もしくはアップサイクルということを、日本人は城や寺でもやっていました。こちらの法堂は伏見城の遺構を用いて建立されたものです。
その伏見城とは、主君・徳川家康を助けるために、忠臣・鳥居彦右衛門元忠一党が死を覚悟のうえで守ろうとした城。「関ヶ原の戦い」の前哨戦とも言われ、元忠一党が、石田三成軍と壮絶な戦いを行ったのです。
写真:万葉 りえ
地図を見る討ち死にした者。自刃して相果てた者。伏見城は激戦の末に焼け落ちます。その伏見城の焼け残った遺構が、京都・鷹峯にある同じく曹洞宗の源光庵等にも使われており、「血天井」として有名です。そして興聖寺でも、血天井が伏見城の激戦を今に伝えます。
また、廊下は人が歩くと音がする「鴬張りの廊下」。家康が太平の世へとまとめていくまでの壮絶な時代へ、今は穏やかな時が流れる宇治から思いをはせてみてください。
こちらは法堂に置かれた「一願木魚」。木魚をさすりながら、静かな心で一つだけ願いを念じるというもの。さあ、何を念じましょうか。
写真:万葉 りえ
地図を見る法堂を過ぎると、少し高い位置に開山堂や天竺殿などがあります。こちらにある道元禅師の像は、弟子が安置した鎌倉時代の作。等身大の御姿で、像の胎内には遺骨が納められていると伝わっています。
写真:万葉 りえ
地図を見るそして、宝物殿にいらっしゃるのは平安時代初期(9世紀頃)の作と伝わる聖観音菩薩立像です。衆生の困難を救いに、すぐに駆けつけられるように、右足の親指が少し浮き上がっています。歩き出そうとされているような御姿にも、お会いしてきてください。
写真:万葉 りえ
地図を見る修行僧の生活の基本となる僧堂も建物内を通ってご覧いただけるようになっています。寝食だけでなく、座禅も行っているこちらの建物。掃き清められ、座蒲(ざふ/座禅でお尻の下に置くもの)が整然と並ぶ様子に、常とは違う空気を強く感じるのではないかと思います。
こちらでは、座禅や書経もできます。写経ができる御寺は他にもありますが、こんなにも凛然とした空気の中で行う体験は、貴重なものになるのではないでしょうか。
「寺」という言葉だけで同じにはできない。平等院とは全く異なる、穏やかながら凛とした空気で人々を包み込む興聖寺。移りゆく季節も愛でに、ぜひ訪れてください。
写真:万葉 りえ
地図を見るそして、興聖寺の後にお勧めしたいのが、すぐ近くにある「福寿園 宇治茶工房」です。
1階のショップでは宇治茶はもちろん、様々な宇治茶を使った商品が並びます。そして2階にある福寿茶寮では、丁寧に入れられたお茶だけでなく、スイーツから食事まで、お茶を使った美味しいものがいただけます。
平等院の参道と違って、落ち着いた雰囲気の中でゆったりと食事を楽しめるというのもこちらをお勧めするポイント。手もみの煎茶を作ったり、石うすで抹茶を挽いてみるなどの体験工房もあります。また、お茶に関する資料室も。
お茶の名産地宇治。ここの歴史ある興聖寺で深まる秋の美しさを楽しんだ後は、福寿茶寮の美味しいお茶でほっこりしてください。
<福寿園 宇治茶工房の基本情報>
住所:京都府宇治市宇治山田10番地
電話番号:0774-20-1100
アクセス:京阪宇治駅から徒歩8分
住所:京都府宇治市宇治山田27-1
電話番号:0774-21-2040
参拝時間:夜明けから日没まで(およそ5時〜17時)
2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2023/12/8更新)
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