国内唯一 布とアートの祭典「FUJI TEXTILE WEEK2023」富士吉田で開催

国内唯一 布とアートの祭典「FUJI TEXTILE WEEK2023」富士吉田で開催

更新日:2023/11/29 07:18

U KOARAのプロフィール写真 U KOARA ぬい撮りトラベラー
富士山とレトロな街並みが、観光客に大人気の山梨県下吉田商店街。こちらでは、今年で3回目となる布と現代アートの祭典「FUJI TEXTILE WEEK 2023」が、2023年12月17日(日)まで開催中。テーマは「Back to Thread / 糸への回帰」。1000年以上続く織物産地の、かつての織物工場や倉庫、製氷工場などを会場に、国内外11組のアーティストの作品を展示しています。

1000年以上続く富士山麓の織物の街、富士吉田

1000年以上続く富士山麓の織物の街、富士吉田

写真:U KOARA

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山梨県富士吉田は、1000年以上続く織物の産地。火山灰土壌で農作に適さず、養蚕、撚糸、染色、織りなどテキスタイルの産地として栄えた富士吉田で「FUJI TEXTILE WEEK」は2021年にスタートしました。布と現代アートが融合する国内唯一の布の芸術祭です。

1000年以上続く富士山麓の織物の街、富士吉田

写真:U KOARA

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会場は、下吉田商店街を中心に、かつての織物関連の工場や倉庫、製氷工場、呉服店などを再利用。産業の記憶の保存、街の活性化に繋げています。

総合案内所にもなっている旧山叶は、1872年に金物業からスタートした機織機や撚糸機を取り扱っていた山叶商店(2023年廃業)。各展示会場の受付は、富士吉田のおかみさんたちです。こちらでチケットを交換し、展示に進みます。

旧山叶のインスタレーション(ジャファ・ラム/ネリー・アガシ/池田杏莉)

旧山叶のインスタレーション(ジャファ・ラム/ネリー・アガシ/池田杏莉)

写真:U KOARA

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旧山叶の屋上に展示されたインスタレーションは、香港で活躍するアーティスト ジャファ・ラムの《あなたの山を探して》。

竹と白い布で作られた作品の向こうに富士山が見え隠れし、まるで雲のよう。白い布は、富士吉田の機屋さんから収集した「B反(傷などで一般に流通しない布)」を使用。富士吉田のおかみさんたちが、縫製に参加しています。風にたなびく白い布は、日々の生活の中でおかみさんたちが干した洗濯物のようでもあります。

旧山叶のインスタレーション(ジャファ・ラム/ネリー・アガシ/池田杏莉)

写真:U KOARA

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シカゴを拠点とするアーティスト ネリー・アガシの《mountain wishes come true》(旧社名・建物の直訳)は、富士山を彷彿とさせる大規模インスタレーション。

建物の外壁をイメージした幾何学模様のジャガード織は、研究所とコラボレーションし富士吉田で織られたもの。木材を叩くサウンドインスタレーションがあわさり、記憶に残る空間です。

旧山叶のインスタレーション(ジャファ・ラム/ネリー・アガシ/池田杏莉)

写真:U KOARA

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池田杏莉 《それぞれのかたりて / 在り続けることへ》。

旧山叶で実際に使用されていた家具や、富士吉田で出会った方の古着が繭のようなもので覆われているインスタレーション。足元には、古着の持ち主の手足を型取った「皮膚」が敷き詰めてあり、落ち葉のようにバリバリと踏み歩けます。

コロナ禍で時間が止まったとき、多くの人がした断捨離。服が捨てられ燃やされることが火葬のように感じたことから、足元の黒い皮膚にも炭を混ぜています。工場跡や古着を静かに弔い、歴史を見つめ直す気持ちになる作品です。

旧文化服装学院(ユ・ソラ/津野青嵐)

旧文化服装学院(ユ・ソラ/津野青嵐)

写真:U KOARA

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1980年代まで開校していた旧文化服装学院に展示されているのは、ユ・ソラ《日常》。韓国の2Dカフェを彷彿とさせる白と黒の一見かわいい空間は、日本を拠点に活躍する韓国人アーティスト ユ・ソラのインスタレーション。

最近立体作品を作るようになったとユ・ソラの今回のテーマは日常。レシートや牛乳パック、日本語やハングル語が書かれた本、リモコンや宅配された荷物。

何気ない家の中の些細な風景=日常は、災害や戦争で簡単になくなってしまう儚いもの。日々の当たり前が大切に思える作品です。作品で使われるの白い布は、富士吉田の椛O田源商店が提供。

旧文化服装学院(ユ・ソラ/津野青嵐)

写真:U KOARA

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津野青嵐《ねんねんさいさい》。

アーティスト活動と並行して精神科の看護師でもある津野が、臥床生活になった自信の祖母のために”オーダーメイド”した衣服。おしゃれが好きだった祖母のための赤いドレスは、牡丹の花をイメージ。祖母が長年集めてきた布と3Dペンで作られた愛が溢れる作品です。

デザイン展「甲斐絹を読む」 FUJIHIMURO

デザイン展「甲斐絹を読む」 FUJIHIMURO

写真:U KOARA

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かつて富士吉田の歓楽街「西裏」に氷を提供するために開業した旧富士製氷では、デザイン展「甲斐絹を読む」を開催中。

富士吉田を代表する織物「甲斐絹(かいき)」とは、細く撚りの少ない綿のような絹糸を高度な技術で織りあげる極薄の織物です。江戸時代、奢侈禁止令の中で人々が楽しんだのが、裏地のおしゃれ「裏勝り」。ぱっと羽織を脱いだ時に見える裏地の鮮やかな発色や光沢は、夏目漱石や谷崎純一郎などの文学作品にも登場する程です。

裏地で和歌を詠んでいたとも言われていますが、一体どういうものでしょう?

デザイン展「甲斐絹を読む」 FUJIHIMURO

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見る角度によりボーダー柄だったり、絵や文字が浮き出る甲斐絹。

崩れた積み木のような家紋は鎌倉初期の武将・工藤祐経、燃える千鳥と蝶はその工藤祐経に父のかたき討ちを果たそうとする曾我兄弟を表しています。兄弟の燃えたぎる復讐心とかたき討ちを果たした瞬間を表す1枚。

現代でいえばバンドTシャツのような感覚で、この羽織を着て歌舞伎の劇場に向かったのかもしれません。

甲斐絹の高度な技術は、太平洋戦争を機に衰退し、現在では幻の織物となっています。

アートと一緒に楽しむ富士吉田のグルメ

アートと一緒に楽しむ富士吉田のグルメ

写真:U KOARA

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お昼頃から夕方までゆっくり1日で歩いて周れる「FUJI TEXTILE WEEK2023」。富士吉田のグルメを食べたり、やカフェで休憩しながら楽しみましょう。

「FabCafe Fuji」は、旧駿河銀行の建物をリノベーションしたカフェ。商店街の中心のカフェ&ギャラリーとして生まれ変わりました。骨董品なども展示販売され、お買い物もしたくなるカフェです。

アートと一緒に楽しむ富士吉田のグルメ

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ローカルグルメを体験するのは、旅の楽しみのひとつ。富士吉田と言えば、吉田のうどんです。コシの強い麺と具沢山のボリューミーなうどんで温まります。

アートと一緒に楽しむ富士吉田のグルメ

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お豆腐屋さんをリノベーションしたカフェFUUTO。白を基調としたセンスの良い店内には、どら焼き用の鉄板があり、和菓子職人の経歴を持つ店主が毎日どら焼きを焼いています。

他にも、自家製のプリンや焼き菓子、季節のパンナコッタなど、どれも美味しそう。スイーツと美味しいコーヒーでひと休みしましょう。

FUJI TEXTILE WEEK2023で日常を見つめ直す

富士山が目の前にそびえるレトロな下吉田商店街。海外からの観光客で賑わう交差点を行ったり来たりしながら、会場を歩き回れば、失われたものと再生されたものにノスタルジーを感じます。

今回、紹介しきれなかった作品も多数あります。「FUJI TEXTILE WEEK2023」は、テキスタイルとアートを通じて何気ない日常や、社会を見つめ直すきっかけを与えてくれるかもしれません。

取材協力:エヌ・アンド・エー株式会社

2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2023/11/22 訪問

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