まるごと世界遺産「ストラスブール」をまるっと制覇 散策ガイド

まるごと世界遺産「ストラスブール」をまるっと制覇 散策ガイド

更新日:2024/07/02 17:42

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
ドイツとの国境に近く、古くから交通の要衝として栄えてきたアルザス地方の中心都市ストラスブール。この街は領土争いで何度も国が変わった歴史を持ち、フランスながらドイツの香りも漂う独自色も魅力です。

そんな街の見所が集まっているのがイル川に囲まれた旧市街。木骨組みの家々が並ぶおとぎ話のようなエリアに、モーツァルトやゲーテの称賛地…等、魅力がたっぷり。散策で楽しむ世界遺産をまるっとご案内します!

まずは、ストラスブールらしい景色を「ポン・クヴェール」で

まずは、ストラスブールらしい景色を「ポン・クヴェール」で

写真:万葉 りえ

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街の名前が「道の町」を意味するラテン語「ストラテブルグム」に由来するというほど、昔から交通の要衝だったストラスブール。フランスとドイツの間で領土争いがされ、何度も国籍が変わった歴史を持っています。

現在でもその位置と役割から「欧州の十字路」と言われ、EUの機関も置かれているストラスブール。そんな国際都市の見所を西側の方から巡っていきましょう。

イル川に囲まれた旧市街が丸ごと世界遺産になったのは1988年。こちらはその西の端に位置する「ポン・クヴェール」の景色です。ポン・クヴェールとは「屋根に覆われた橋」という意味で、1250年に塔と共に公開された際は、橋に瓦屋根が乗っていました。後に建て替えられて屋根はなくなりましたが、今もその名が使われています。

まずは、ストラスブールらしい景色を「ポン・クヴェール」で

写真:万葉 りえ

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敵からの攻撃に備えて作られたというこれらの施設。塔も数十基建設されたのですが、現在では4つを残すのみになっています。

そしてこのポン・クヴェールの景色を見るのに良いのが、その向かいで、イル川にかかるように建設された「ヴォーバン・ダム」です。

洪水から街を守ったり敵の侵入を防いだりする目的で、17世紀にフランスの軍人ヴォーバンが築いたもの。13のアーチが並ぶ様も美しく、ここは屋上へと上がれます。初めにご覧いただいたポン・クヴェールの写真もダムの上から撮ったもの。まずはここからストラスブールの景色を楽しみましょう。

<ヴォーバン・ダム基本情報>
住所:Pl. du Qur Blanc, 67000 Strasbourg, フランス
料金:無料

木骨組みの家が並ぶ「プティット・フランス」で 童話の世界へ

木骨組みの家が並ぶ「プティット・フランス」で 童話の世界へ

写真:万葉 りえ

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旧市街は「グラン・ディル(大きな島)」と呼ばれているのですが、特に人気なのが、先程のポン・クヴェールの少し東側。イル川の中州で、古い家々がたくさん残っている地域です。

この辺りは「プティット・フランス」と呼ばれ、16〜17世紀ごろのアルザス様式の家が並びます。ここはかつて、漁師や製粉業者など、水を必要とする職の人々が生活していた場所。活気あふれる下町でした。

木骨組みの家が並ぶ「プティット・フランス」で 童話の世界へ

写真:万葉 りえ

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アルザスの典型的な造りである木骨組みの家(コロンパージュ)が並ぶ中には、最大規模を誇る1572年に建てられた「メゾン・デ・タヌール(なめし革職人の家)」も残ります。

このように、1階よりも上の階の方が大きくなっているのは、1階の面積で税金が決められていたから。何処の国でも庶民の税金対策は昔から変わらないようです。

木骨組みの家が並ぶ「プティット・フランス」で 童話の世界へ

写真:万葉 りえ

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特に花の多い季節は、この辺りはどこを撮っても絵になります。まるで童話の挿し絵の中に入ってしまったかのようなプティット・フランス。ぜひ街歩きを楽しんでください。

<プティット・フランス基本情報>
アクセス:ポン・クヴェール東側

モーツァルトも称賛した「サン・トマ教会」のパイプオルガン

モーツァルトも称賛した「サン・トマ教会」のパイプオルガン

写真:万葉 りえ

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では、プティット・フランスから川沿いの散歩道を利用して、また少し東へと進んでいきましょう。サン・トマ通りにつながる所まで来るとサン・トマ教会が見えてきます。

ここの歴史も古く、始まりは7世紀にストラスブールの最初の司教が創設した修道院。そして12世紀に再建された際は、ドイツを中心に広まった建築様式を採用しています。

モーツァルトも称賛した「サン・トマ教会」のパイプオルガン

写真:万葉 りえ

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アルザス風ゴシック様式の代表作と言われている教会ですが、この地にも宗教改革の嵐はやってきて、16世紀にルター派のプロテスタント教会に変わっています。フランスでよく見るカトリックの教会とは祭壇の趣も異なります。

モーツァルトも称賛した「サン・トマ教会」のパイプオルガン

写真:万葉 りえ

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そして、この教会でぜひ見ていただきたいのがこちら。

18世紀を代表するオルガン製作者のジャン・アンドレ・シルベルマンが、1740年代に制作したパイプオルガンです。有名な演奏家がここで奏でているのですが、中でも有名なのがモーツァルト。この街を訪れた際に実演し、「弾いた中で最も素晴らしいオルガンだ」と語ったと伝わります。

<サン・トマ教会基本情報>
住所:11 Rue Martin Luther, 67000 Strasbourg, フランス

グーテンベルク広場から 文豪ゲーテが讃えた大聖堂へ

グーテンベルク広場から 文豪ゲーテが讃えた大聖堂へ

写真:万葉 りえ

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サントマ教会からセリュリエ通りを東に行くと「グーテンベルク広場」に至ります。

ルネサンス期の三大発明の一つと言われている活版印刷術を確立したドイツ生まれのグーテンベルク。そのおかげで聖書などの書物が人々に広がるようになりました。1434年からストラスブールに住んでいた彼の功績を讃えて、広場には像が建っています。

そしてその広場付近からこのように見えるのが、ストラスブールのノートルダム大聖堂です。フランスでもっとも来訪者が多いと言われているこちらの大聖堂。あまりにも大きいので、近くからだと写真におさまりません。まずはこの辺りから写真を撮っておきましょう。

<グーテンベルク広場基本情報>
住所:67000 Strasbourg, フランス

グーテンベルク広場から 文豪ゲーテが讃えた大聖堂へ

写真:万葉 りえ

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ご覧いただいている正面が着工されたのは1277年ですが、創建は11世紀で、高さ142mの塔が完成したのは1439年。このように長い年月を経てようやく完成したストラスブールのシンボル、ノートルダム大聖堂。

正面を拡大してご覧いただけば、びっしりと繊細な透かし細工がされているのがよくわかり、“石のレース編み”と言われのもうなずけるでしょう。文豪ゲーテは、ここを“荘厳な神の木”と讃えています。

グーテンベルク広場から 文豪ゲーテが讃えた大聖堂へ

写真:万葉 りえ

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ロマネスク様式で建てられていましたが途中からゴシック様式に変更された大聖堂。内部の壮麗な空間にも足を運んでおきましょう。

「最後の審判」を描いたとされる「天使の柱」や、繊細な彫刻でびっしりと装飾された1484年制作の説教壇。からくり人形が動き出す天文時計など内部にも見どころがいくつもあります。

フランスを代表する文筆家のヴィクトル・ユーゴーは、ストラスブールのシンボルとも言えるこの大聖堂を「巨大でありながら繊細さもあわせもつ至高の作品」と評しています。

<ノートルダム大聖堂の基本情報>
住所:Pl. de la Cathedrale, 67000 Strasbourg, フランス
一般公開:月曜日から土曜日 午前8時30分〜午前11時15分、午後12時45分〜午後5時45分
日曜日と祝日 午後2時〜午後5時15分

広場の露店も楽しい 街歩き

広場の露店も楽しい 街歩き

写真:万葉 りえ

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そして、こちらの写真で右寄りに建っている建物が、ストラスブールで最も美しい家と言われているカメルツェルの家です。場所は大聖堂の正面に向かってすぐ左側。

屋根の形も特徴的なこちらは15世紀の建造で、75枚もある窓も、その周りもギリシャ・ローマ時代や聖書の場面が装飾され、大変豪華。

広場の露店も楽しい 街歩き

写真:万葉 りえ

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そしてクリスマスマーケットでも有名なストラスブール。年末にホットワインを飲みながらクリスマスの雰囲気を楽しむのも趣がありますが、クリスマスの季節でなくても広場の近くでは露店がいくつも出ています。それらをのぞいて歩くのもきっと面白いはず。

広場の露店も楽しい 街歩き

写真:万葉 りえ

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また、グーテンベルク広場のまわりや大聖堂の近くのマロカン通り等には、お土産物店や装飾されたレストラン等がいくつもあります。休憩をとる際は、ぜひ伝統的なアルザス料理を味わってください。

石窯で焼き上げるアルザス風ピザ「タルトフランベ」や、ザワークラウトと肉類を煮込んだ「シュークルート」など。アルザスのワインやビールととてもよく合います。美味しい思い出も忘れずに作っておいてください。

街歩きでストラスブールをたっぷり味わおう

かつてストラスブールの司教館だった18世紀の建物は、現在は「パレ・ロアン」という名で博物館や美術館が入っています。そして、旧市街を巡る遊覧船がその近くの乗船場から出ています。

でも、街の雰囲気を直に感じるには、やはり実際に歩いてみるのが一番!ストラスブールのノートルダム大聖堂については別記事でもっと詳しい情報も出しています(関連MEMO参照)。散策しながら、ぜひストラスブールが重ねてきた歴史や今の賑わいをたっぷり味わってください。

2024年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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