写真:吉川 なお
地図を見るホームズが相棒のジョン・H・ワトスン医師と1881年から1904年にかけて共同生活していた家はベーカー・ストリートにある221B番地。Bとは階上という意味です。最寄りの地下鉄の駅はその名も「ベーカー・ストリート」です。
1863年に開業したこの世界最古の地下鉄駅は、当時の一部の施設がいまも現役で使われており、メトロポリタン線、サークル線、ハマースミス&シティー線、ベーカールー線およびジュビリー線の5路線が発着しています。そのうち2つの路線のホームでホームズに出会えます。
ベーカールー線のホームや構内には、パイプをくわえたホームズの横顔のタイルが壁に張られ、ジュビリー線のホームには物語をイメージしたイラストが飾られています。
駅に降り立った途端、気分が盛り上がります♪
写真:吉川 なお
地図を見るマリルボーン・ロード側の出口を出ると、左側にホームズの銅像が建っています。インバネスコートを着こみ、狩猟の際にかぶる鹿撃ち帽にパイプというお決まりの出で立ちです。
この姿はてっきり作者が設定したものと思いがちですが、小説の中には具体的にそのような描写はなく、鹿撃ち帽は「耳当ての付いた旅行帽」または「頭にピッタリな布の帽子」と書かれているだけです。実はこれ、この小説を連載した雑誌ストランド・マガジンに挿絵家のシドニー・パシッドが描いた姿が定着したものなのです。ホームズは「ボスコム谷の謎」で初めて鹿撃ち帽をかぶります。
当初は弟のウォルター・パシッドに依頼する予定だったものの、手違いで任された兄が自分のお気に入り帽をホームズにかぶらせて生み出された産物なのです。
犯罪者という獲物を狩りのように追い駆けていく名探偵のイメージにぴったりですね。
写真:吉川 なお
地図を見るボヘミア国王や英国首相も含めて多くの依頼人が訪れたホームズの住居は221B番地という設定ですが、小説が書かれた当時、ベーカー・ストリートには85番地までしかなく、この住所はあくまで架空のものでした。しかし後にアッパー・ベイカーストリートと合併して番地が増えたことにより、実在する住所となりました。
「シャーロック・ホームズ博物館」があるのは実は239番地なのですが、この中に「ボヘミアの醜聞」で言及された17段の階段があることから、ここがホームズが住んだ221B番地と公認され、それを示すブループレートも設置されています。
博物館の入口にはスコットランドヤード(ロンドン警視庁)の巡査に扮した男性が立っているので一緒に記念写真を撮ってから、中に入りましょう。
大家のハドソン夫人がいた1階はギフトショップになっていて、ここでオリジナルグッズが入手できます。
17段の階段を上って2階に行くと、ホームズとワトソンの書斎と居間があります。愛用のヴァイオリンやパイプやステッキ、化学実験道具などが置かれていて、まるで物語のなかに迷い込んだよう。
3階では蝋人形を使って物語の名場面を再現しています。
写真:吉川 なお
地図を見るホームズの世界にタイムスリップしたら、仕上げに「シャーロック・ホームズ・パブ」で熱い夜を過ごしましょう。
ホームズは数々の事件を解決するため、たびたびチャリング・クロス駅から鉄道に乗って事件現場へと出掛けています。その駅の裏手に彼の名を冠した「シャーロック・ホームズ・パブ」があります。
捜査に使った小道具が展示されている1階のパブでは、この店でしか飲めない「シャーロックホームズエール」というビールを是非どうぞ。少し苦味がある人気のオリジナルビールです。
2階はレストランになっていて、その一角に1951年のホームズ展で展示されたホームズの部屋が移設されています。愛用品の数々がここでも見られますよ。
写真:吉川 なお
地図を見るホームズにはモデルとなった人物がいました。作者コナン・ドイルの医学部時代の恩師ジョゼフ・ベル博士で、病気の診断には観察力が重要だと説き、患者を一目見ただけでその職業や性癖などを見抜いたその様子がホームズ像に投影されたと言われています。
またホームズは日本とも意外なつながりがあります。
1891年の「最後の事件」で宿敵のモリアーティ教授とライヘンバッハで決闘し、いったん行方不明になりますが、3年後に「空家の冒険」で帰還します。その時にホームズを救ったのが、日本の柔術を基に考案された格闘技「バリツ」の護身術だったということになっています。
また「高名な依頼人」の作中に、聖武天皇と奈良の正倉院に触れた一節があります。ドイルには東京帝国大学に招かれ、技術者、写真家として活躍したウィリアム・K・バートンという友人がいました。彼との交流から得た日本の知識がこういう形で小説の中にも登場しているのです。
推理小説の醍醐味は、犯罪に関わる難解な秘密を論理的に解いていく過程にあります。
19世紀のロンドンを舞台に、さまざまな特色ある人物が登場し、現場観察によって得た手掛かりを元に鋭い注意力と観察力で犯人を特定していくホームズの手腕が、卓越した情景描写によっていきいきと描かれます。その様子を相棒のワトスンが執筆していくというスタイルも読者を惹きつけている要因です。
今も映画やテレビや漫画で、新旧のシャーロック・ホームズが活躍しています。
ロンドンを訪れたら、そんな名探偵の痕跡をたどってみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたナビゲーター
吉川 なお
台湾の台北市に住む専業主婦の吉川なおです。台湾生活はもう8年ですが、常に新しい発見のあるこの国が大好きです。在住者だからこそ知っている生情報やお薦めのレストランなど、台湾の旅がより思い出深いものになる…
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