写真:島塚 渓
地図を見る養翠園は紀州徳川家の10代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ)によって造営されました。紀州徳川家は、尾張徳川家・水戸徳川家と並んで御三家と呼ばれる大藩です。
徳川治宝の隠居先の別邸に造園された養翠園は、文政元年(1818年)から文政9年(1826年)の約8年の歳月をかけて完成しました。
写真:島塚 渓
地図を見る徳川治宝は藩主として、さらに隠居してからも多大な権力を握り、積極的に文化事業を行いました。徳川治宝は芸術への造詣が深く、自らも作品を手掛けたことから「数奇の殿様」と呼ばれました。
特に茶道への関心は高く、園内にも実際庵(じっさいあん)と呼ばれる茶室が建てられています。実際庵は養翠亭(ようすいてい)という書院に付属しており内部は通常非公開となっていますが、外観から厳かな雰囲気を感じ取ることができます。
写真:島塚 渓
地図を見る養翠園は全国的にも珍しい海水を池に取り込んだ庭園です。この様式を汐入(しおいり)と呼び、2ケ所ある水門を開閉することで、海水の量を調整できるようになっています。これほど大規模な汐入を持つ庭園は、養翠園と将軍が所有した東京汐留の「浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)」しかありません。
海水を取り入れているため、淡水と海水が混ざった汽水域に生息するハゼやウナギ、さらにはオナガガモなどの渡り鳥を見ることができます。
写真:島塚 渓
地図を見る養翠園は遠方の美しい峰を持つ山々を借景として取り込んでいます。江戸時代の大名庭園では、しばしば山や林などを庭の背景として組み入れ、庭園に奥行きを持たせる工夫が凝らされています。
また、園内に配置された石には、暗緑色で縞模様の外観を持つ和歌山県名産の「紀州青石(きしゅうあおいし)」が使われています。紀州青石は美しいだけではなく比較的軟質で加工しやすいという特徴があり、古くから庭園の石材として重宝されてきました。
写真:島塚 渓
地図を見る庭園の東側は中国の西湖(せいこ)をモチーフにした光景となっています。中国の西湖は寺院や楼閣そして堤など山水画に出てくるような風景が広がり、古くから日本でも憧れの対象として庭づくりに大きな影響を与えました。
中国風の橋が連続してかかる「三ツ橋 (みつはし)」は、西湖の風景を模したものと言われ、手前にはクランク状が特徴の堤が配置されています。これは直線的な中国式の庭園の要素を取り入れたもので、曲線が美しい山の稜線との対比が印象的です。
写真:島塚 渓
地図を見る三ツ橋と同じく中国風の太鼓橋 (たいこばし)で結ばれた島が守護神島 (しゅごしんとう)です。この島には弁財天と稲荷社が守護神として祀られており、橋を渡って園内を散策しながら、様々な景色の変化を楽しむことができます。
住所:和歌山県和歌山市西浜1164
アクセス:JR和歌山駅より雑賀崎方面行きバス養翠園前で下車、西に徒歩7分
拝観料:大人600円(中学生以上)、子ども300円(小学生以下)
拝観時間:9:00〜17:00
2024年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事を書いたナビゲーター
島塚 渓
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(2025/2/16更新)
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