大宮駅からニューシャトル(新都心交通システム)に乗り、沼南駅で下車。左手に住宅街を眺めつつ高架沿いの遊歩道を5分ほど歩くと、右手からふいに野鳥の声が聞こえてきます。声のする方を見やるといきなりの緑が現れます。
素朴な手作りの受付では「原市沼を愛する会」の方々がお出迎え。通り抜ければ、そこが古代蓮の園。小さな流れに架けられた小さな木の橋、背丈ほどの高い蓮の葉と、ほんわりと灯るように咲く古代蓮たち。そして、そのさらに向こうには自然の緑が広がります。
園内の道は土の道と、湿地に渡された狭い木の橋なので、滑りにくく歩きやすい靴がおススメです。ささやかな手作りの四阿(あずまや)やベンチなど、ちょっと一休みできる空間も用意されていますが、飲み物や食べ物は売られていません。暑い夏のこと、飲み物だけでもしっかりと持参していきましょう。
原市沼からほど近い行田市で、縄文時代後期の土器といっしょに発見された古代蓮の種。およそ1400〜3000年前の種だとか。土器とともに土中に埋もれたたくさんの古代蓮の種が、自然に発芽し一斉に花を咲かせたということで、一時期は話題になりました。そのため、行田には「古代蓮の里」という立派な施設があります。
原市沼の古代蓮は、その行田の古代蓮の種をもらいうけ、「原市沼を愛する会」の方々が地道に増やしていったものです。
愛情いっぱいに育てられ、永い永い時を超えて甦った古代蓮の花たちは、朝のやわらかな光の中で、まるで天上の花のように幸福そうに見えます。
中に黒や緑の種がはまっている古代蓮の実。ちょっとグロテスクですが、まだ黒くなっていない緑色の実は、そのまま生で食べられるのですよ。
緑の皮を剥くと、中は真っ白。歯ごたえは茹でピーナッツみたいな食感で、味はあっさりとした生栗といった、ほんのりの甘さと香りです。
食べてみたいなと思ったら、「原市沼を愛する会」の方に声をかけてみてくださいね。
蓮の花が咲く時に「ポン!」と弾けるような音がするといわれています。ですが、残念なことに実際には音はしないのです。
そのかわり、蓮の葉に溜まった水がポコポコと奏でる音を聞くことができるかもしれません。蓮の葉の光合成によって作られた酸素が、水の中から沸き出している音だそうです。若い葉の方がよく泡が出るとか。
蓮の花だけでなく、葉っぱもよく観察してみてくださいね。
園の端の方には、ブラックベリーのトンネルがあります。このブラックベリーは自由に食べてもいいとのことなので、トンネルをくぐりつつ、野性味あふれる味を楽しんでください。
赤いのはまだすっぱいので、黒く熟れた実を選んで食べてくださいね。
持ち出しは禁止、節度を持って数粒ほどで控えましょう。
古代蓮は6月下旬から咲き始めますが、見頃は7月中旬から8月初旬。
花がたくさん咲く時間帯は朝6時から9時ぐらいまで。
原市沼へは大宮駅からニューシャトル(新都心交通システム)の沼南駅から徒歩5分。アクセスのしやすさに加えて、朝5時から夕方4時くらいまでと早朝から開いているので、一番美しく咲く時間帯に見ることができます。
見学料は無料。しかも、おみやげに古代蓮の種と絵葉書がいただけます。受付の隅に控えめな募金箱がありますので、ぜひ志を入れてあげてください。
背後にはニューシャトルと新幹線の高架が走っていながらも、自然がたっぷりと残された原市沼。半夏生など夏の草花、野鳥、メダカやザリガニなどの水生生物も豊富です。時間があるなら古代蓮だけではなく、原市沼周辺も散策してみてくださいね。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
旅行ガイドを検索!
(2025/2/8更新)
- 広告 -