写真:Hiroko Oji
地図を見るドイツの人気街道であるロマンティック街道で最古&最大の都市がアウグスブルク。この町の歴史と切っても切れないのが、巨額の富を成した豪商「フッガー家」です。
フッガー家は14世紀〜15世紀にかけて織物商人として始まり、15世紀後半には蓄えた富を生かして金融業に着手。15世紀末〜16世紀初頭には、ヤコブ・フッガーのもとで最盛期を迎えました。このヤコブ・フッガーが1516年〜1521年に資金を提供して建てたのが「フッゲライ」と呼ばれる世界最古の社会福祉住宅です。
写真:Hiroko Oji
地図を見るフッゲライは、罪科がなく借金やギャンブルなどに手を出さず真面目に生活してきたにも関わらず、困窮した状況にあるカトリック信者のアウグスブルク市民を助けることを目的に創設されました。
写真:Hiroko Oji
地図を見るフッゲライの広大な敷地には8つの通りと7つの門があり、140戸以上もの住居が並んでいます。入居者には1日3回フッガー家と寄進者のためにお祈りを捧げることが義務付けられていますが、年間の家賃はたったの0.88ユーロ(光熱費は別途必要)。これは約500年間ずっと変わっていないのですから驚きです。
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地図を見る現在も現役の住宅として生活が営まれているフッゲライには4つの博物館があります。そのうちの1軒が、フッゲライの噴水からミットラレ・ガッセに入って13&14番地にある「歴史と生活の博物館」です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る入り口が14番地にある博物館では、ヤコブ・フッガーの下で始まった時から第二次世界大戦で建物の半分以上がアウグスブルク爆撃の犠牲となった時までの変遷を年表形式で見ることができます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る建物内の奥で繋がっている13番地の住居内では、歴史的な室内の様子が再現されています。
ここに住む人々の日常生活を中心としたもので、漆喰壁に囲まれた板間の寝室にはわらマットレスのベッドやゆりかごとなる木製の箱が置かれています。居間のストーブは火災を抑えるためタイル張りや鋳鉄製のものが使われ、調理用の煉瓦造りの暖炉のあるキッチン、糸車のある作業場、大戦後に市の下水道システムに接続された木製の水洗トイレなど見ることができます。住居の一部は1517年にさかのぼるものあり、調度品も当時のものが忠実に再現されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこちらは、特別展としてリノベーション中の様子が公開されているお宅です。
フッゲライのほとんどの家は第二次世界大戦後の再建時にさかのぼりますが、それ以前の古い部分も残されていて改装と近代化が必要となります。簡単な修理では不十分な場合もあり、結局、完全な改修が必要とされるのです。このような改修には、一軒あたり約70,000ユーロの費用がかかることになります。
写真:Hiroko Oji
地図を見る設立以来、フッゲライの維持費は税金や公的部門からの助成金からではなく財団の資金で賄われています。フッゲライへの入場料も維持費の一部となり、住民が入場料徴収の役割を担っています。
こちらはキッチンの改修の様子で、近代的なシステムキッチンが設置されます。まだ1950年代の木製の床が残っている状態ですがこの後タイルになり、また壁のタイルも新しく張り替えられる予定です。
写真:Hiroko Oji
地図を見るその他、トイレや手摺付きのバリアフリーのバスルーム設備など、改修は多岐にわたります。
写真:Hiroko Oji
地図を見るヤコブ通りから入り口ゲートをくぐったところからまっすぐに延びるのが、フッゲライのメインストリートとなるヘレンガッセ。このヘレンガッセの入り口に近いところにあるのが「聖マルクス教会」です。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこぢんまりした可愛らしい教会内はシンプルですが、美しい祭壇が設置され、心が清められる空気が満ちています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る祭壇の対面には木製装飾のパイプオルガンがあり、その前のギャラリー壁の装飾画も素敵なもので、一見の価値があります。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこのフッゲライにはもう一つ見ておきたい所があります。それが、製本家であったヨハン・ゲオルク・モーツァルトの父フランツ・モーツァルトが住んでいたお家。彼はレオポルト・モーツァルトの祖父であり、かの有名な神童と謳われたヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの曾祖父なのです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るフランツ・モーツァルトが住んでいたのは、先ほどご紹介した歴史と生活の博物館の隣!ここに住んでいたということを刻んだ石のプレートが入り口上部に掲げられています。
現在は別の方が住んでいるため立ち入ることはできません。外から静かに眺めるだけです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るオクセンガッセ46・47番地では日常生活博物館があり、戦後のフッゲライと今日の状況下での生活と余暇、悩みなどに触れることができます。
またヘレンガッセの一筋西側に入った所にはヤコブ・フッガーの胸像のある広場があります。ここでは戦争博物館があり、戦争とその影響をテーマに1944年の空襲によって破壊されたフッゲライの姿と再建の挑戦に関する展示・記録など見ることができます。
さらにクリスマス時期には数軒だけですが教会前の小さな広場で屋台が設置されたり、モミの木が販売されたりしますので、この時期に訪問されるのもお薦めです。
住所:Jakoberstrabe 26,86152 Augsburg
電話番号:+49-821-3198810
開場時間:9:00〜20:00
2024年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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