可愛いがあふれる「リクヴィ―ル」は アルザスで人気の“おとぎの国”

可愛いがあふれる「リクヴィ―ル」は アルザスで人気の“おとぎの国”

更新日:2025/03/07 10:59

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
ブドウ畑に囲まれた小さな村。それが「フランスの美しい村」協会に認定され、アルザス地方で最も人気があると言われている村「リクヴィ―ル」です。

ここは18世紀後半までドイツ公国の一部で、15〜18世紀のカラフルな建物がたくさん現存。さらにフランス風の飾りもされて何とも愛らしい!
“アルザスの真珠”とも“おとぎの国”とも讃えられる貴重な村を訪ねてみませんか。

アルザスの美しい暮らしを受け継ぐ「リクヴィ―ル」

アルザスの美しい暮らしを受け継ぐ「リクヴィ―ル」

写真:万葉 りえ

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フランク王国からリコという名の領主が移り住んできたのは6世紀のこと。そしてワイン用のブドウ畑を開拓し「リコ家の土地 Richo Villa」とよばれたことから村の名前が付いたという「リクヴィ―ル」。

ここは幸運にも幾度も戦禍を逃れることができた、中世の姿が残っている貴重な村。現在もこのようにブドウ畑の丘に囲まれ、1000人ほどの村人がアルザスの美しい暮らしを受け継いでいます。

それでは、フランス国内でも大変人気のある村へと入っていきましょう。ちなみにこちらの左側の黄色い建物は郵便局。壁には植物や楽器などが描かれていて、公共の建物でもこれだけの可愛さです!

フランス風の可愛い飾りがされた家々

フランス風の可愛い飾りがされた家々

写真:万葉 りえ

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かつてはアルザスの名門エギスハイム伯爵領にもなっていたリクヴィ―ル。14世紀からはドイツの名門貴族ヴェルテンベルグ伯爵領となりました。その時代に村が大きく発展したのですが、やがて30年戦争などが起きて領主の影響力も低下。フランス革命後の1796年にフランスに帰属します。

そんな歴史を持つ村が現在でもドイツ領だった頃の面影を濃く残せているのは、村を四角く囲むように造られた城壁のおかげ。二重の城壁が戦争の被害を防いでくれたのです。

郵便局の隣には、1809年に建てられた市庁舎(村役場)があり、そこに村への入り口が造られています。

フランス風の可愛い飾りがされた家々

写真:万葉 りえ

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東側にある市庁舎の入り口から西側にあるもう一つの入り口までは、緩やかなカーブを描きながら道が続きます。この道が「ジェネラル ド ゴール通り」と名付けられている村のメインストリート。

ご覧のようにアルザス地方らしいコロンパージュ(木骨組み)の家々が軒を連ねており、カラフル。そして、よく見ていただくと、そこここにフランス風の可愛いしつらえが沢山されている通りなのです。

フランス風の可愛い飾りがされた家々

写真:万葉 りえ

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道を進めばすぐに、高さ25mのこの大きな建物が目に入ってきます。こちらが、「グラッド・シエル(フランス語で摩天楼)」と名付けられたアルザスに残る最大規模のコロンパージュです。

他にもこの村には16世紀に建てられたワイン醸造家の民家等がたくさん残っています。このように立派な家々が多いのはワインのおかげ。この村のワインがヨーロッパ中から高い評価を受け、経済的な発展をもたらしたのです。

1291年から村を見守ってきた塔

1291年から村を見守ってきた塔

写真:万葉 りえ

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市庁舎側から歩いて10〜15分ほど。メイン通りを進んで行くと見えてくるのが「ドルテの塔」です。この塔は1291年に城壁とともに築かれた鐘楼で、村のシンボルとも言える存在。

コロンパージュの模様が印象的で、夏季になると色とりどりの花々でさらに美しさが増します。ドルテとはアルザス語で「最も高い」という意味。1911年からは村のミュージアムとして活用されており、村の歴史を伝える場にもなっています。

1291年から村を見守ってきた塔

写真:万葉 りえ

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そのドルテの塔の少し先には村のもう一つの入り口が残ります。その石造りの城門から外側へと出れば、塔と共に建造された1291年当時のままの城壁も見られます。1500年にも防衛機能の強化のために新たな城壁を加え、二重の城壁で村を守ってきました。

ここでは外側からぜひ城門も見上げてください。城壁の拡張に合わせてさらに重厚に改修された門は、敵の侵入を阻むためにヨーロッパ一古いといわれる落とし格子を備えています。これらから、いかに城壁や門の役割が大きかったかを想像できるでしょう。

アルザスのグルメも楽しもう

アルザスのグルメも楽しもう

写真:万葉 りえ

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そんな強化された防衛が村を守り、村内には往時の建物を利用してこのように可愛らしい造りのレストランなども点在します。そこではシュークルートやベックオフなどアルザスの郷土料理を味わえます。

また、通りを歩けば、きっと美味しそうな香りも流れてくるはず。ドイツ発祥のプレッツェルに、クグロフ、そしてリクヴィ―ル発祥と言われているココナツマカロン…、フランス菓子店やパン屋でテイクアウトするのもお勧めです。

アルザスのグルメも楽しもう

写真:万葉 りえ

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またドルテの塔の少し東側にはクリスマスショップがあり、クリスマスシーズン以外でもたくさんの可愛らしい飾りを見ることができます(店内撮影禁止)。

それ以外にもこのようにのぞいてみたくなる小物の店などもあるので、ゆっくりと村の雰囲気を楽しみましょう。

アルザスのグルメも楽しもう

写真:万葉 りえ

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また斜面に畑が広がり日当たりも良く、温暖で降水量が少なく良質のワイン用ブドウが育つアルザス。ボトルはドイツワインでよく見るような細長いフルート型ですが、この村ではアルザス独自のスタイルでワインを創り上げます。

90%以上が辛口の白ワイン。そしてワイナリーの多くが、今も伝統の大樽を使って発酵しています。

村内には幾つもワイン関連の店があり、ブドウの品種、また生産者によって全く異なる個性を楽しめます。ヨーロッパ中で評価が高かったこの村のワイン。こちらもぜひ味わっておきましょう。

伝統衣装に身を包んだアンシの可愛い看板たち

伝統衣装に身を包んだアンシの可愛い看板たち

写真:万葉 りえ

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建物のカラフルさ。窓の鎧戸の色や、ハート形のくりぬき。そして窓辺の調度品…。メイン通り以外でも可愛い装飾をたくさん目にするリクヴィ―ル。

こちらは皆で大きなブドウを担ぎながらも、プレッツェルを手にした男の子が一番前を歩いているという、なんとも微笑ましい看板。これはワイン商の店先ですが、この村では魅力的な看板にも注目してください。

伝統衣装に身を包んだアンシの可愛い看板たち

写真:万葉 りえ

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これらは、アルザスの伝統的な風俗画を描いたイラストレーター・アンシの作品で、伝統衣装をまとった人々の姿が村の魅力をひきたてます。また村内にはオンクル・アンシ資料館もあり、可愛い絵柄のお土産品も購入できます。

年間200万人もの人が訪れるという「アルザスの真珠」リクヴィ―ル。小さな通りへと入っていけば、さらに昔の雰囲気が濃く残ります。映画「美女と野獣」のモデル地とも言われる村へ、景色も食も楽しみにいらしてください。

リクヴィ―ルの基本情報

住所:Pl. Voltaire, 68340 Riquewihr(リクヴィ―ル市庁舎)
アクセス:コルマールからバス106番線で約30分。月〜土曜運行
※ご紹介した見どころはメイン通り「ジェネラル ド ゴール通り」にあります。

2025年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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