写真:モノホシ ダン
地図を見るJR高野口駅前にある「旧葛城館」は、明治時代後期の建築物で、木造3階建ての旅館建築です。現在はカフェとして営業していますが、旅館時代には多くの高野山参詣客で賑わいました。
建物の大きな特徴としては、ファサードの2階と3階部分が総ガラス張りになっていて、ジブリ作品に登場するような外観は、思わず見惚れてしまう不思議なノスタルジアを感じさせます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る正面の屋根には、瓦葺きの千鳥破風と銅板葺きの唐破風が二重に取り付けられ、まるで寺院建築のようです。軒下の立体感のある「葛城館」の看板もいい感じです。
さらに、外面のガラスはすべて手漉きガラスで、斜め横から見ると凹凸になっているのがわかります。2階と3階のガラス戸の内側には高欄があり、2階の高欄には円い穴が開けられていて、さながら現代アートを思わせます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る旧葛城館は、2001年(平成13年)に、国の登録有形文化財に登録されています。
引き戸を開けて玄関に入ると、「高野山金剛峯寺御用達」と「和歌山県指定旅館」と書かれた看板や長火鉢があり、過去にタイムスリップしたかのような雰囲気を漂わせています。
少し急な15段の真っ直ぐな階段は、カフェのある2階部分の客室に通じていて、階段を上るにつれ、異空間に踏み込んでいくような面白みがあります。
写真:モノホシ ダン
地図を見る2階から3階部分への踊り場には、明治・大正時代の常連客だった東京の火消し組の講札が残されていて、かつての賑わいを知ることができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る建物の3階部分の客室も自由に見学することができます。欄間や長押しには趣向を凝らした細工があり、天井のランプシェードや食器や鏡などのアンティーク品などは一見の価値があります。
写真:モノホシ ダン
地図を見る建物の2階部分は、「cafe葛城館」のカフェスペースとなっています。座敷席と椅子席があり、どちらもゆったりとくつろぐことができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見るcafe葛城館のメニューは、抹茶やほうじ茶をふんだんに使った絶品の和スイーツで、スイーツの材料は京都・宇治の老舗である「山政小山園」のものを使用しています。
写真は、「日替わりバスクチーズケーキ」(600円)。人気メニューのひとつで、甘さを控えめにしたケーキともっちりとしたホイップクリームの食感が絶妙です。
写真:モノホシ ダン
地図を見るバニラアイスに濃厚な抹茶ソースをかけていただく「抹茶アフォガード」(750円)もお勧めです。粒あんに白玉、アイスクリームの甘さに、抹茶のコクのある旨味の組み合わせが素晴らしく、満足感の高い逸品と言えるでしょう。
ほかにドリンクでは、「抹茶ラテ」(700円)が一押し。ホットとアイスがあり、ともにスッキリとした味わいを楽しめます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る建物の2階と3階の廊下からは、JR高野口駅を見下ろすことができます。現在の駅舎は、1912年(明治45年)に建てられた木造の駅舎で、かつては高野山の参詣者の表玄関として多くの人で賑わいました。
高野山へ向かう人々は、ここから人力車に乗り換えて約3km離れた九度山の慈尊院まで行き、弘法大師が自ら開いた高野山町石道を約7時間かけて歩いて、奥之院の弘法大師御廟までお参りしていました。
写真:モノホシ ダン
地図を見るところが、1925年(大正14年)に高野山により近い、現在の南海電鉄高野線の高野下駅が開業すると高野口駅の利用者は激減。
さらに1930年(昭和5年)に、南海高野線が高野山駅まで全通すると駅周辺の賑わいは完全に失われ、今では当時営業していた旅館はすべて廃業しています。
なお、cafe葛城館はトレインビューのカフェでもあります。窓からJR高野口駅を発着する列車を眺めながら、往時の賑わいに思いを馳せてみてください。
住所:和歌山県橋本市高野口町名倉1053
電話番号:0736-42-2017
営業時間:13:00〜18:00
定休日:月曜日〜水曜日
アクセス:JR和歌山線「高野口駅」下車すぐ。車利用の場合は、専用駐車場利用
2024年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
モノホシ ダン
旅行業に30年以上携わってまいりまして、おもに団体旅行の手配・企画・添乗業務などをおこなってきました。お客様には、次回もご指名いただくために、新規の観光地や、穴場の名所・旧跡めぐりの開拓のため現地への…
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