写真:乾口 達司
地図を見る「長命寺」は滋賀県近江八幡市にある寺院。琵琶湖畔にある長命寺山の中腹に位置しています。
寺伝によると、古代、多くの天皇につかえた伝説上の重臣として『古事記』や『日本書紀』にその名が記されている武内宿禰が当地で長寿を祈願したところ、300歳の長命を得たとのこと。
後世、聖徳太子が当地を訪れた際、宿禰の願文が刻まれた大木を発見。その木で十一面観音を彫り、当地に安置したのが「長命寺」の名の由来となっています。その後は近江国の守護・佐々木氏やその後裔である六角氏の庇護を受けましたが、1516年(永正13年)の兵火により、伽藍は全焼。現在の堂宇はそれ以降に再建されたものです。
写真は国の重要文化財となっている本堂。入母屋造・檜皮葺の大型の仏堂で、1524年(大永4)に再建されています。
写真:乾口 達司
地図を見る長命寺は西国三十三所霊場第31番札所としても知られています。写真は本堂の内部を撮影した一枚ですが、ご覧のように、白装束を見にまとった札所めぐりの巡礼者も数多く参拝します。
写真:乾口 達司
地図を見る本堂の向かって右奥には、国の重要文化財となっている三重塔がそびえています。三重塔は1597年(慶長2)に再建されたものです。
写真:乾口 達司
地図を見る本堂と三重塔とのあいだにあるこちらの小さな建物は、閼伽井堂。サンスクリット語に由来する「閼伽(仏前にそなえる水)」のわく井戸をまつったものであり、現在も水が湧き出しています。
ほかにも、本堂と三重塔のあいだには、国の重要文化財となっている護摩堂が建立されています。
写真:乾口 達司
地図を見る写真は本堂の西側に位置する建物で、三仏堂と呼ばれています。創建は1184年(元暦1)で、佐々木定綱によって建立された仏堂です。現在の建物は永禄年間(1558年〜1570年)に再建されたもので、堂内には釈迦如来立像・阿弥陀如来立像・薬師如来立像の三仏が安置されています。
その向こう側に建つのは、護法権現社の拝殿です。
写真:乾口 達司
地図を見る本堂・三仏堂・護法権現社は渡廊下で連結しています。
本堂にお参りした後は、そのまま、渡廊下を通って三仏堂と護法権現社にお参りしましょう。
写真:乾口 達司
地図を見る本堂・三仏堂・護法権現社が渡廊下で連結しているため、俯瞰的に眺めると、ご覧のように、それぞれの屋根が重なりあい、独特の景観となっています。
この景観も長命寺ならではのものです。
写真:乾口 達司
地図を見る長命寺のもう一つの特徴は、古代以来の磐座信仰が残されていること。磐座信仰とは、神が宿るとされる巨石を崇拝する信仰のことです。
たとえば、本堂の背面に立つこちらの巨石は「六所権現影向石」と呼ばれているもの。先に説明したように、 武内宿禰がここで祈り、長寿を得たとされています。
写真:乾口 達司
地図を見る鐘楼の近くの斜面にあるのは「修多羅岩(すたらいわ)」と呼ばれる巨石であり、長命寺では、武内宿禰の神体であるとされています。
写真:乾口 達司
地図を見る境内の西側に配置する太郎坊権現社の石段脇には「飛来石」と呼ばれる巨石もあります。
ほかにも、複数の巨石が露出しており、磐座信仰をいまに伝えているという点でも、長命寺は貴重な寺院です。
写真:乾口 達司
地図を見る境内は長命寺山の中腹にあるため、眺望も抜群。琵琶湖や三上山(近江富士)、さらにその背後にある湖南アルプスまでも見渡せます。
お参りを終えた後は、その絶景をご覧ください。
写真:乾口 達司
地図を見る長命寺は参詣者泣かせのお寺としても知られています。それは下界から本堂まで808段もの長大な石段を登らなければならないことに由来します。
下から登ると、本堂までは20分ほどかかりますが、伽藍の真下には駐車場が設けられているため、足の悪い方は自家用車かタクシーを利用して、伽藍真下の駐車場まで行きましょう。
写真:乾口 達司
地図を見るもちろん、頑張って自分の足で登るぞ!という方もいらっしゃるでしょう。石段の脇には無料の杖も完備されているため、杖をお借りして登りましょう。
長命寺がどのようなお寺か、おわかりいただけたでしょうか。確かに強烈な石段には苦労するでしょうが、登り終えた後には、軒を連ねる印象的な景観や抜群の眺望、さらには古代以来の磐座信仰の名残りも楽しめるため、頑張って長命寺に参詣されることをお勧めします。
住所:滋賀県近江八幡市長命寺町157
電話番号:0748-33-0031
拝観料:無料
拝観時間:午前8時〜午後5時
アクセス:名神高速「竜王インターチェンジ」より約30分
2024年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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