写真:島塚 渓
地図を見る現在の祇王寺がある場所は、もともと浄土宗の開祖である法然の弟子にあたる良鎮(りょうちん)が創建した往生院(おうじょういん)がありました。源平の争いを描いた平家物語に登場する祇王(ぎおう)と呼ばれる悲劇の女性に因み、明治時代に現在の名称に変更されました。
写真:島塚 渓
地図を見る祇王は白拍子(しらびょうし)と呼ばれる踊り子として、時の権力者である平清盛から厚い寵愛を受けていました。しかし、平清盛の愛情が仏御前(ほとけごぜん)という別の白拍子に移ったことをきっかけに、祇王は母親の刀自(とじ)、妹の祇女(ぎじょ)とともに出家して往生院に隠棲してしまいます。
それから半年ほど後に、平清盛から寵愛を受けていたはずの仏御前も、将来への不安に苛まれ、祇王を追うように出家してしまいます。その後、嵯峨野の往生院で、祇王たちは念仏に明け暮れ、余生を過ごしたと伝わっています。
写真:島塚 渓
地図を見る江戸末期まで往生院は隆盛を誇ったようですが、明治時代になると荒廃し、明治28年(1895年)に元京都府知事が寄付した茶室を本堂とし、名称も祇王寺と改めて再興されました。移築された本堂の仏間には、本尊の大日如来を中心に、祇王とその母親の刀自、妹の祇女、さらには仏御前と平清盛の像が祀られています。茅葺き屋根の小さな草庵は、祇王の悲哀の物語を伝えるように現在でもひっそりと佇んでいます。
写真:島塚 渓
地図を見る祇王寺は、例年11月下旬から12月上旬にかけて紅葉の見ごろを迎えます。渡月橋や天龍寺など嵐山の著名な観光スポットからは少し離れているため、比較的落ち着いた雰囲気で紅葉を鑑賞することができます。境内はコンパクトにまとまっており、ゆっくり時間をかけて散策しても、歩き疲れるということはほとんどありません。
写真:島塚 渓
地図を見る紅葉のピークを過ぎても、祇王寺では散り紅葉が苔庭や本堂の茅葺き屋根に積もる景色も非常に美しいです。特に赤色の紅葉と緑の苔庭とのコントラストは、祇王寺を象徴する幻想的な光景となっています。竹林に囲まれた境内に一歩足を踏み込めば、非日常的な美しい紅葉を鑑賞することができます。
写真:島塚 渓
地図を見る祇王寺は、境内一面に緑色の絨毯のように苔が広がっているため、別名を苔寺と呼ばれています。苔寺と呼ばれる寺院としては、同じ京都市街の西端に位置する西芳寺が有名で、この一帯は湿度が高く日光が当たる時間帯のバランスも良いため、苔の生育に適しているとされます。
写真:島塚 渓
地図を見る祇王寺では、ヒノキゴケという淡い緑色をした柔らかな房を持った品種の苔を主に見ることができます。ヒノキゴケは、別名「イタチのしっぽ」とも呼ばれ、ふさふさとした手触りが特徴です。一般的にヒノキゴケは山間部に自生し、祇王寺のように街に近い場所で生育されることは珍しいです。また、庭園の所々にはスギゴケという苔がこんもりとした山のように積み重なっており、庭園の風景にアクセントを加えています。
住所:京都市右京区嵯蛾鳥居本小坂町32
料金:大人300円、小人(小中高)100円
拝観時間:9:00〜16:50(受付終了16:30)
アクセス:市バス/京都バス「嵯峨小学校前」下車、徒歩約15分
2024年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/11/10更新)
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