長さ5mの竹竿で操る揚舟!群馬の水郷・板倉町

長さ5mの竹竿で操る揚舟!群馬の水郷・板倉町

更新日:2014/07/07 10:28

群馬県の最東部に位置する板倉町は、群馬県、栃木県、埼玉県、茨城県の4県の県境にあります。南側には利根川、北側には渡良瀬川、町の中央には谷田川が流れて、古来より水の恵みを受けるとともに、水の脅威にさらされてきた歴史があります。「揚舟」とは水害時に使われ、普段は家の軒下に吊り下げられていたことに由来します。
板倉町には、爺ちゃん、婆ちゃんの昔が今も生きています。「何処でもドア」を開けませんか。

長さ5mの竹竿で操る揚舟!聞こえるのは鶯の声と風の音

長さ5mの竹竿で操る揚舟!聞こえるのは鶯の声と風の音
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利根川と渡良瀬川に挟まれた板倉町は度重なる洪水に見舞われました。板倉の人たちは「水塚」と呼ばれる倉を建て米や味噌などの食料を保存し、水害時の移動に使っていたのが「揚舟」でした。「揚舟」とは普段は母屋の軒下に吊り下げられていたことから由来したものです。

治水事業により、使われなくなった揚舟ですが、平成13年に群馬県で開催された「国民文化祭」のイベントがきっかけとなり「群馬の水郷 揚舟 谷田川めぐり」が行われるようになりました。

谷田川は葦や、アケビ、クルミの木に囲まれ、穏やかに流れている」

谷田川は葦や、アケビ、クルミの木に囲まれ、穏やかに流れている」

「揚舟 谷田川めぐり」が行われるのは「群馬の水郷公園」、東北自動車道・館林ICより国道354号を古河方面に約10分の場所。受付で乗船申し込みを済ませ、船頭笠とライフジャケットを着けて、いざ出発です。普段、軒下に吊り下げられている「揚舟」の底は平らで、薄い造りになっているので乗船時には注意が必要です(これは数人いる船頭さんがフォローしてくれます)。

竹竿1本で操る揚舟はゆっくりと進みます。聞こえるのは、竹竿が切る水の音と、流れる風で葦が擦れる音、鶯、カッコウ、ヨシキリなどの鳥のさえずり。時間が止まっているように感じるのは私だけでしょうか?

船頭さんとの会話も揚舟の楽しみの1つ、「あれはアケビ、これはクルミの木、秋になるとお客さんが竹竿でたたいて取ってくれと言われる」と岸辺の樹木や周辺にいる鳥の話をしてくれます。最後のイベントは船頭小唄。この日の船頭さんは「私は唄が下手だから」ほんのちょっぴりでした。また、平成25年に女性の船頭さんが誕生しました、どんな船頭小唄を歌ってくれるのか楽しみですね。

「揚舟 谷田川めぐり」は春(5月〜6月)と秋(9月〜10月)の土、日、祝日に開催されます。

板倉町の雷電神社は雷電神社の総本山

板倉町の雷電神社は雷電神社の総本山
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板倉町の中心部にある雷電神社は関東一円、特に利根川中上流に点在する雷電神社の総本宮。神社は社殿、奥宮、末社、八幡稲荷神社からなり、社殿と奥宮は群馬県の重要文化財、末社は県内最古の木造建物とされ国の重要文化財に指定されています。

雷電神社の歴史は古く、推古天皇の御代、聖徳太子が天の神の声を聞いて、伊奈良(いなら)の沼に浮かぶ小島に祠(ほこら)を設け、天の神をお祀(まつ)りしたのが最初とされています。祭神は、火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)・大雷大神(おおいかづちのおおかみ)・別雷大神(わけいかづちのおおかみ)の3柱で、雷の神様であり、それとともにもたらされる雨や治水、稲作に関する神です。

かつては、日光例幣使街道の宿場町の太田宿から館林、板倉を経て日光街道の宿場町の古河宿へと至る道、古河往還の往来が盛んだったころ数多くの参拝者が訪れていました。天保6年(1835年)の造営とされている社殿は、左甚五郎10代目の名人彫物師・石原常八の華麗な彫刻は今でも目を見張る鮮やかさです。

また、境内裏手の別棟に置かれている「なまずさん」は、撫でると地震を除け、元気回復・視力改善・自信が湧き出る、などのご利益があるとされているので、参拝時には必ずひと撫ですることをお勧めします。

明治30年創業の「おうとし」で鯉、ナマズ、ウナギを味わう!

明治30年創業の「おうとし」で鯉、ナマズ、ウナギを味わう!
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国道354号線バイパス沿いにある、「川魚・郷土旬彩・うおとし」の創業は明治30年。食材にこだわり、お米は、お隣の埼玉県北川辺町の契約農家で育てられたコシヒカリ。苗と苗の間隔を広くとる疎稙栽培により、太く丈夫に育ったお米を自然乾燥器でゆっくりと乾燥されたものです。お店では、その日に必要な分だけお米を精米しています。

お魚は、館林の城沼や谷田川、板倉川で取れた、なまず、ウナギ、ハヤ、鮒、スジエビなど、キュウリや大根、アスパラガスなどの野菜は地元と、地産地消を目指しています。

定食メニューは、「エビ天重、なまず天重、とり重の3つのお重から選べる」と書かれている、「あらい・こいこくセット」、「あらい・お重セット」、「こいのあらい定食」など。そのほか、平日限定メニュー(日、祝日、正月やGWを除く)には、うなぎご飯を中心に、「あらい・こいこくセット」、「なまずの天ぷら」、「こいのあらいセット」と、川魚料理満載!!

写真の料理は、なまず天重と、なまず薄造り、お吸い物、香の物の「なまずセット」、お重に盛られているのは、なまずの天ぷらとたたき揚げ。天ぷらは黄金色の衣がサクッとして身はしっとりとしていて、甘さ控えめなタレがナマズの味を引き立てています。

頭の大きいナマズを余す所無くいただこうと考えられたのが、「なまずのたたき揚げ」。これは、なまずを骨ごとつぶし、ミンチにした身に豆腐、根菜を練りこんで揚げたもの。こちらは、さっぱりとしたナマズに豆腐、根菜のねっとり感が加わってなかなかのお味です。

グライダー発着場で飛び立つグライダーを見る

グライダー発着場で飛び立つグライダーを見る
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鬼怒川、妻沼など、関東に9カ所あるグライダー滑空場の1つが、渡良瀬川河川敷に広がる板倉滑空場です。グライダーは土手の外側に格納庫があり、普段は翼を取り外した状態でトレーラーに入れられています。使用時には、土手を超える細い道を車で運び、翼を胴体に取り付けて飛行します。

グライダーは向かい風で離着陸するので、その日によって方向は違います。プロペラ機のセスナで曳航されて離陸しますが、ジェット機のような爆音はしないのでとても静かに見学ができます。土手の上で風に吹かれながら、静かに離着陸を繰り返すグライダーとセスナを見ていると、自分もコックピットにいるような気持ちになります。

この滑空場を運営している日本グライダークラブでは、体験飛行・グライダー教室もあるようなのでお問い合わせください。。風の力だけで空を飛ぶグライダーの乗り心地はどんなものでしょうか、考えただけでもわくわくしませんか?

板倉町は総面積の半分以上を農地が占める広大な田園地帯!

度重なる水害は板倉を面妖な土地に育てました。「日本の米倉」と呼ばれる板倉では、「コシヒカリ」、「あさひの夢」「ミルキープリンセス」などのお米を作っています。渡良瀬川から水を引き入れる用水が整備され、田に早く水が溜るため他の地域より1ヶ月程度収穫時期が早いそうです。また、全国有数の生産量を誇るキュウリやナス、春菊などの野菜の生産も盛んです。

板倉町は総面積の半分以上が農地の広大な田園地帯です。日本がまだ農業が中心だった時代の姿がここに残っています。谷田川をゆっくりと進む「揚舟」はそんな板倉を象徴するものです。

水害に対する知恵を今に残す「揚舟」と、うおとしと雷電神社の「なまずさん」。それと、「おいしいお米」、「新鮮な野菜」が待っている板倉町は、首都圏からわずか60qです。

「おもてなし」の心とは「よくぞこんな所に来てくれた。」から始まるのではないでしょうか。板倉町にその答えがあります。旅人に優しい街、それが板倉町です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/06/21 訪問

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