写真:Naoyuki 金井
地図を見る文部科学省の学校保健安全法施行規則が2014年4月末に改正され、「座高測定」とともに、昭和33年から小学3年生に義務付けられていた「ぎょう虫検査」が、2015年度限りで廃止されると発表されました。
寄生虫館内のパネルにはその理由が解説されていています。
現代の食生活や住環境、そして衛生環境の改善による寄生虫感染率の激減が、その理由です。
多くの日本人が行ってきた「ぎょう虫検査」が無くなるのも、ちょっと寂しい気もしますが、それもこれも日本の暮らしのクオリティが上がったと喜ぶべきでしょう。
このような機会に私たち日本人にとって寄生虫とは何であったのか、改めて知ってみるのも一興でしょう。
まずは第一歩、未知なる世界へ、ご一緒に踏み込んでみましょう。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る6階建ての建物の1、2階が展示室です。
1階は寄生虫の概要展示で、様々な寄生虫の説明と共に、数々の標本が展示されています。収蔵品は液浸・プレパラート標本だけでも45,000点あり、実際に展示されている標本は氷山の一角です。
決して広くは無い展示室に、ホルマリン漬けの標本や模型、パネルなどが所狭しと展示されています。その中で興味深いのはシーラカンスのエラに取り付いた、文字通り生きた化石の寄生虫『ダクチロディスクス・ラチメリス』や、天皇が展覧された『日本海裂頭条虫』などの全く見る機会も、知る機会もない貴重な寄生虫たちです。
ここでは写真はアップにしませんが、その不気味さと気持ちの悪さを充分堪能していただき、合わせて、しっかり知識を得ていただきたい展示の数々です。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る2階の展示は、ヒトに関係する寄生虫をピックアップ展示しています。
特に驚きなのは『バンクロフト糸状虫』です。古くからある寄生虫で、特徴はリンパ管に寄生して破壊し皮膚や陰嚢を肥大化させる、ショッキングな症状の写真が掲出されています。しかしながら興味深いのは、この症状を江戸時代に葛飾北斎が「北斎漫画」で描いていたことで、こちらの描写を見るとユニークで、微笑ましく感じてくるから不思議です。
そして当寄生虫館でもメイン展示といえるのが、天覧寄生虫『日本海裂頭条虫』で、体長8.8mある通称『サナダムシ』です。
同じ長さの紐が用意されていますので、是非、その長さを体感してみて下さい。「これが体の中に!」と驚かれること間違いなしです。
どちらも全てはお見せしませんので、実際に足を運んで、その驚愕の世界を目の当たりにして下さい。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る財団法人目黒寄生虫館は、亀谷了医学博士の私財により設立された研究機関で1953年に創設されて以来、60年の歴史を誇っています。
亀谷了医学博士の功績とともに、もう一人外すわけにはいかない功労者が山口左仲氏です。
山口左仲氏は、世界的に著名な寄生虫学者で、寄生虫に関する論文を数々発表しました。また、京都大学構内に自費で寄生虫研究所(現在は取り壊されています)を建て、日本の寄生虫学に大いに貢献した人です。
その山口氏の採集した約10,000点の標本と多くの文献・資料がこの寄生虫館に登録・保管されており、国内外の研究者に利用されているのです。
2階の一角に歴史のコーナーがありますが、こうした先人たちの功績があってこそ、世界で唯一の博物館を見学することが出来るのです。
是非、その恩恵に与れる機会を逃がさないでください。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る最後は記念のミュージアムグッズはいかがですか。
勿論、寄生虫グッズの数々が取り揃えられていますが、写真中央にある蝶のようなイラストにご注目ください。
これは『フタゴムシ』という寄生虫で、二匹が一対となった姿のイラストです。
このフタゴムシは鯉などのエラに寄生し、幼虫のときに出会った相手と一体となり、二度と離れることは無く生涯を送る珍しい生体の寄生虫です。
鯉=恋というのもロマンチックですが、無理矢理引き離すと本当に死んでしまうフタゴムシは、文字通り「死がふたりを分かつまで」の健気な寄生虫なのです。
お揃いの「寄生虫Tシャツ」や「寄生虫ストラップ」もなかなかユニークですが、あえてカップルにお勧めするのは「フタゴムシ付箋」です。
何処にでもペタペタくっつく付箋と、一生涯離れないフタゴムシのコラボレーションは、感動を呼ぶこと間違いありませんね。
「キモイ」だけの寄生虫が、少しは「キモカワ」に見えてきましたか。
入館は無料ですから、デートスポットとしては超穴場でしょう。多くの寄生虫の皆さんの応援と、生涯添い遂げるフタゴムシの心でプロポーズとか・・・(結果の責任は取りません(^^;)。
平日の午前中でしたが、私が訪れたときには女性が6名ほど見学されていましたから、意外と女性のほうがハートが強いのかも知れませんね。
カップル以外でも、ファミリーや女子会など、活用方法はさまざまです。
なんと言っても世界でたった1つだけの博物館ですから、貴重な施設で、日本の誇るめくるめく寄生虫ワールドを存分にお楽しみください。
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(2025/1/17更新)
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