願いが一つかなう!安珍清姫伝説の和歌山・田辺市「福巌寺」

願いが一つかなう!安珍清姫伝説の和歌山・田辺市「福巌寺」

更新日:2025/06/12 13:42

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
和歌山県田辺市にある福巌寺(ふくがんじ)は、一度の参拝で一つだけ願いをかなえてくれると言われる「一願地蔵尊」が祀られていることから通称「一願寺(いちがんじ)」と呼ばれています。またこの寺は、歌舞伎や能楽の演目にもなった「安珍清姫伝説」の清姫の菩提寺でもあり、伝説が描かれた絵巻が残されています。世界遺産・熊野古道の中辺路ルートにも近い古刹で、最もかなえたい一つの願いをお地蔵様に託してみませんか?

安珍清姫伝説の清姫の菩提寺「福巌寺(通称 一願寺)」とは

安珍清姫伝説の清姫の菩提寺「福巌寺(通称 一願寺)」とは

写真:モノホシ ダン

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福巌寺は、田辺市中辺路町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。江戸時代の1662年(寛文2年)、大洪水のため再建不能の萬福禅寺と福徳菴が合併し、寺名も雪峰山福巌寺と改め、清姫とその一族、並びに檀信徒各家の先祖の菩提を弔うために現在地に建立されました。

この境内には、「一つの願いを必ずかなえてくれる」という地蔵尊が祀られていることから「一願地蔵の寺」とも呼ばれています。

安珍清姫伝説の清姫の菩提寺「福巌寺(通称 一願寺)」とは

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福巌寺は、清姫の菩提寺ということもあり、伝説が描かれた絵巻が残されています。長い階段を上ったお寺の入口の土塀には絵巻が描かれ、安珍との出会いから清姫が蛇になるシーンまでが再現されています。

安珍清姫伝説の清姫の菩提寺「福巌寺(通称 一願寺)」とは

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境内は、雪峰山と書かれた扁額が掛かる本堂があり、その奥に一願地蔵尊を祀る地蔵堂があります。

1823年(文政6年)、20年あまり在住された6代目住職の道機和尚は83歳で亡くなりました。その際、死期を悟った和尚は本堂前で座禅を組み、「死後は供養と思って地蔵をつくり、人通りの多い場所にまつってほしい。そうすれば一度に一つの願いは必ずかなえて進ぜよう」との遺言を残しました。

一度の参拝で一つの願いがかなう!一願地蔵尊の縁起

一度の参拝で一つの願いがかなう!一願地蔵尊の縁起

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そこで里の人々は、お地蔵様を熊野古道の当時の主要ルートだった潮見峠に安置し、和尚の好物だった酒と唐辛子を供えました。

やがてルートが廃れ、熊野詣の人の往来が少なくなると地蔵は別の峠に移され、1950年代に現在の寺の境内に安置されました。

俗称「からし地蔵」と呼ばれ、杯の上に鎮座した一願地蔵尊は、柔和な表情で参拝者を出迎えています。

一度の参拝で一つの願いがかなう!一願地蔵尊の縁起

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一願地蔵尊は、参拝者が近づくとセンサーが感知してライトアップされます。願い事は、良縁祈願や厄除け、病気平癒など制限はありません。

願い事をされる方は、先ず住所・お名前・年齢・男女別を言って、次に願い事を心の中、または小さい声で一心に念じます。

最後に、地蔵大菩薩ご真言「おんかかかび、さんまいえい、そわか」を七回唱えます。なお、病気平癒をお願いされた方は、悪い所を備え付けの錫杖でなでながらご真言を唱えるようにしましょう。

一度の参拝で一つの願いがかなう!一願地蔵尊の縁起

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また、願い事を頼めるのは一度の参拝につき一つですが、複数の願い事がある方は何度訪れてもかまいません。

ほかに、地蔵堂の天井には、「十三仏と四天王像と四季の花々」という色鮮やかな天井画があり、インスタ映えスポットとして人気です。

2016年(平成28年)、信者の方によって奉納されたもので、ベニヤ板の格子60枚を生かして制作され、一部は紀州高野組子細工によって作られています。

願い事がかなったら御礼参りを忘れずに

願い事がかなったら御礼参りを忘れずに

写真:モノホシ ダン

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なお、願い事がかなったら、きちんと御礼参りをしましょう。御礼の絵馬は、地蔵堂の絵馬掛けにかけましょう。絵馬は毎月末日頃にお焚き上げされます。絵馬札のお焚き上げ料は500円です。

願い事がかなったら御礼参りを忘れずに

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ほかに授与所では、和尚の好物だった酒と唐辛子のセット(1本400円)を販売しています。参拝の際の、お供え用におすすめです。

願い事がかなったら御礼参りを忘れずに

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福巌寺の御朱印には、御朱印帳に直書きしていただける通常御朱印と、書き置きの月替わり御朱印があります。参拝の記念に授かってみてはいかがでしょうか。

「清姫の墓」で安珍清姫伝説に想いを重ねよう

「清姫の墓」で安珍清姫伝説に想いを重ねよう

写真:モノホシ ダン

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ところで、安珍清姫伝説のヒロイン、清姫は福巌寺から南に約2km離れた真砂(まなご)地区で生まれました。そこに「清姫の墓」があります。

清姫の墓は、福巌寺の境外地となっていて、墓所には清姫堂、薬師堂が建立されています。薬師堂は、耳の病に霊験あらたかといわれ、全快したときに穴の開いた耳石を供える風習が残っています。

「清姫の墓」で安珍清姫伝説に想いを重ねよう

写真:モノホシ ダン

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清姫の墓の隣に建つ石塔には、「煩悩の焔も消えて 今ここに 眠りまします清姫の魂」という御詠歌が刻まれています。

伝説では、思いを寄せた修行僧の安珍に裏切られ、蛇と化した清姫が鐘の中に隠れた安珍ごと焼き殺したとされ、二人は死後、供養によって成仏したと今に伝わります。

「清姫の墓」で安珍清姫伝説に想いを重ねよう

写真:モノホシ ダン

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清姫の墓が佇む富田川(とんだがわ)のほとりは、清姫が水垢離を行った場所といわれ、「清姫渕」とも呼ばれています。

また清姫の墓から約600m北には、清姫の父、真砂庄司清重が清姫とともに住んだ真砂一族の住居跡が残されています。

福巌寺で、一つの願いを一途に頼み、安珍清姫伝説の悲恋の物語にも想いを重ねてください。

<清姫の墓の基本情報>
住所:和歌山県田辺市中辺路町真砂374-1
電話番号:0739-64-1045(福巌寺)
アクセス:JRきのくに線「紀伊田辺駅」より路線バスで来栖川行き乗車「清姫バス停」下車すぐ。車利用の場合は、路肩に駐車可能

福巌寺(一願寺)の基本情報

住所:和歌山県田辺市中辺路町西谷575
電話番号:0739-64-1045
拝観料:無料
アクセス:JRきのくに線「紀伊田辺駅」より路線バスで来栖川行き乗車、「清姫バス停」下車、徒歩約30分。車利用の場合は、専用無料駐車場利用

2025年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2025/05/20 訪問

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